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 改正保安基準に対応する「空室なし」の24KL(キロリットル)/30KLと、旧保安基準に対応する「空室あり」の24KL/28KLの4機種で構成される、極東開発工業のタンクトレーラに、改正保安基準に対応する「空室なし」の26KLモデルが登場した。

 空室なしの24KLと同等の連結全長で、26KLというタンク容量を実現する同車両はどこがどうスゴイのか? カタログに載っていない&台数も多くない「特別仕様」のタンクトレーラの独占レポートをお届けする!!

文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
※2022年9月12日発売「フルロード」第46号より


タンクトレーラの空室とは?

極東開発工業の26KLタンクトレーラ「KTT2301改」

 日本のタンクトレーラには、旧保安基準に対応する「空室あり」モデルと、改正保安基準に対応する「空室なし」モデルが存在する。空室とは、複数の部屋を持つタンクトレーラのタンクの一番前に設けられている、何も入っていない(入れることができない)部屋のことだ。

 なぜこのような部屋を設けているのかというと、旧保安基準ではトラクタの駆動軸重が10t以下に制限されており、第5輪荷重を抑えるため、タンク前方に空室を設け、タンクオフセットを後方に下げる必要があったからだ。

 この空室には、消防法により、誤って積載しないよう通気口や点検口を設けなければいけないなどの規定があり、車両の大型化や重量増の要因となっていた。

 いっぽう、2015年5月に施行された改正保安基準では、トラクタの駆動軸重の制限が引き上げられ、これに伴って第5輪荷重も10tから11.5tに緩和。これにより、タンクオフセットを後方に下げる必要がなくなり、これに伴って空室も必要なくなった。

 極東開発工業が保安基準の改正後も旧保安基準に対応するタンクトレーラをラインナップし続けているのは、旧保安基準に対応するトラクタを保有するユーザーの代替え需要に応えるためだ。

最新技術の採用で24KLに迫る連結全長を実現!

 今回紹介するタンクトレーラは、改正保安基準に対応する空室なし26KL積みモデル「KTT2301改」。極東開発工業が改正保安基準に対応する26KLモデルを生産するのは今回が初という。

 トレーラ単体のサイズは、全長9740mm×全幅2490mm×全高3095mmで、トラクタを繋げた際の長さ(連結全長)は約12680mm。連結全長は、旧保安基準対応の空室あり26KLモデル「KL26-47LS」と比べて、2m以上も短い数値となっている。

 ちなみに旧保安基準対応の空室あり24KLモデルは約12150〜12250mm、改正保安基準対応の空室なし24KLモデルは約11990mmなので、KTT2301改は、26KL積みでありながら24KL積みに迫る連結全長を実現していることになる。

 一体ナゼ、ここまで連結全長を短くすることができたのか? 理由は大きく2つある。1つは先述の改正保安基準への対応で空室がなくなったことで、もう1つは同社独自の角形断面タンクを採用したことだ。

 角形断面タンクは、その名の通りタンクの断面形状が角ばっているのが特徴で、従来の楕円形タンクに比べて断面積が大きいため、容量を減らすことなくタンクを短くすることが可能。楕円形タンクに比べて重心も低くなり、走行安定性も向上するという。

UD製トラクタとの組み合わせで総輪ディスクブレーキを実現

 トレーラシャシーは、2018年11月に発売した国内最大級30KL積みの最新モデルがベースで、足回りはBPW社製のリフトアクスル機能付きエアサスのディスクブレーキ仕様を標準装備。

 取材車両は磐栄ホールディングス(BHC、村田裕之社長、福島県いわき市)のグループ会社、金川運輸株式会社が導入した「ポンプ付き」仕様だが、トラクタにUDトラックス「クオン」の第5輪荷重11.5tの4×2セミトラクタを組み合わせており、総輪ディスクブレーキを実現していた。

 極東開発工業によると、国内のタンクトレーラ市場は全体の8〜9割を24KLが占めているが、少しでもタンク容量を多くしたいというニーズも少なくなく、タンク容量と連結全長を両立するKTT2301改はこうしたニーズに応えたもの。

 今後はさらなる品質面のブラッシュアップを図り、台数が見込めればカタログ掲載も考えているという。

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