もっと詳しく

岸田首相が政権発足時の株価低迷から、一度は引っ込めたはずの「金融所得課税」の構想が、年末の税制改正に向けた恒例の「秋の陣」で再浮上してきた。そしてここ数日、増税に関する発言で知られる、2人の政治家の発言にツッコミが続出した。

宮沢氏(左)と足立氏

宮沢発言と「1億円の壁」

ツイッターでは17日、「金融所得課税」がトレンドワード入り。発端はブルームバーグが報じた、自民党・宮沢洋一税制調査会長による「“1億円の壁”についてきっちり議論をしたい」との発言だ。

「1億円の壁」とは1億円の所得を超える高所得者の税負担が抑えられることを指す。1億円の所得を超える高所得は株式売却益で得ているケースも多い。しかし現行の税率が、金融所得では一律に20%の分離課税である一方で、給与所得では最高55%と開きがあるため、結果的に納税額が減るという実情を、政府や自民党の税調では度々問題視されてきた。

宮沢氏と記者団の間では、コロナ禍入り直後の株安や最近の円安で収益を上げた投資家の存在も話題に上がったようで、「格差が広がる方向の動きが間違いなくあるのではないか」と発言したと伝えられた。

ツイッターでは投資家が早速反発。投資系ユーチューバーの「Sho’s投資情報局」は、

もうさ、いい加減気づけよ。増税ばっか考えてるから海外勢が日本株から逃げてることに。インボイスも具体的な答弁せず逃げ切ろうともしてる。 「INVEST IN KISHIDA」を誰が信じると思ってるの?

など苦言が止まらない様子だった。

他の投資からも

金融所得課税20%をこれ以上上げたら、世界で最高課税になるんだよ

やるならせめてNISA恒久化と併せてやってほしかったけれど、記事の内容を見る限りでは、NISA恒久化がどうなろうが増税は「やる」という断固たる意志を感じさせる。

などと怒りや呆れる声が続いた。

足立氏「むしろ投資促進」

他方、減税派が宮沢氏以上に標的にしたのが「因縁」の維新・足立康史衆院議員だ。足立氏は宮沢発言の報道に先立ち、「金融所得課税は投資を抑制するというのは誤解で、推定金融所得課税(みなし金融所得課税)は資産課税ですので、むしろ投資を促進します」と投稿した。

この発言、前夜に足立氏が高齢者向けのベーシックインカムの財源として消費増税か資産課税の創設を選択肢に挙げた上で、「特に経済活力を阻害しないためには後者、具体的には推定金融所得課税がベストと考えます」と述べたのに対し、ネット民から「金融所得課税は投資を抑制するので良い選択ではない」と反論されたことへの再反論で投稿されたものだった。

しかし、この足立氏の投稿に対し、減税派からは

具体的にどうゆう課税でどのように促進するのか計量的な実証データを出してください

政策で投資を促進なんて大きなお世話

「資産課税で投資促進」が失敗しても政治家は責任取らないし。カルトが応援するから議員は復活するから政府は制限されるべきなんよ。

などとツッコミが続出した。さらには

大金持ちは資産逃避が出来るからいくらでも対応策が取れることを、本気で察知できていなければ、ただの無能者。

などと、資産フライトにより徴税が困難になる実情を踏まえた指摘も。その「実例」として挙げられたのが、維新に多額の献金をしていることが明らかになっている村上世彰氏。シンガポールを拠点にしていることから、

「村上ファンド」の養分が増えるだけ。

との皮肉る人もいた。