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Image:Qualcomm

米クアルコムは15日(現地時間)、年次イベント「Snapdragon Summit」にて、アップルのM1/M2チップ対抗となる次世代CPUコアの名称が「Oryon」になると発表した。いつ、どれだけの範囲で出荷するかは不明だが、ARMベースのノートPC市場で本格的な競争が始まる可能性がある。

同社の上級副社長およびコンピュート&ゲーミング担当ゼネラルマネージャKedar Kondap氏は、「当社のビジョンはモバイルとPCの融合を推進し、スマートフォンの良さをノートPCにもたらすこと」と発言。

それに続きエンジニアリング担当上級副社長Gerard Williams氏が壇上に現れ、「このクラス最高のCPUは、新しい時代のプレミアムクラスのWindows PC向けに、高速でパワフル、かつ効率的なパフォーマンスで業界に革命をもたらす」などのプレゼンを行なった。

さらに「複数のプラットフォームやデバイスカテゴリ」および「モバイルからXR、コンピュートまで」Snapdragonを強化するとも述べていることから、OryonはCPUコアを意味しているようだ。

このGerard Williams氏は、かつてアップルに勤務してAシリーズプロセッサ(A7~A12X)の開発を主導していた人物だ。アップルから独立後にスタートアップNuviaを設立したが、この会社は2021年にクアルコムにより買収。クアルコムのCEOが「アップルのM2チップを上回る、最高のチップを開発できる」と豪語していたのも、このNuviaチームが根拠と見られている。

クアルコムはそれ以上の詳細を明かしていないが、これまでいくつか噂やリークがあった。その1つが、コード名「Hamoa」と呼ばれるSoCだ。このチップはNuvia Phoenix設計に基づいており、8つの高性能コア+4つの高効率コア=12コアのCPU構成になると予想されている。

このHamoaの初期テスト結果は「非常に有望」であり、M1/M2チップと同様のメモリやキャッシュ構成を備える上に(アップル独自開発チップではサポートされない)専用の外付けGPUにも対応すると伝えられていた。

しかし、登場は早くても2024年だという。もし“現時点で”M2チップに匹敵するとしても、2年後のApple M3、あるいはM4チップはさらなる進化を遂げているはずである。

それにOryonコアを搭載した初のSnapdragonチップセットを投入する際に、クアルコムがどの製造プロセスを採用するのかも不明だ。アップルは台湾TSMCの最先端プロセス技術を優先的に利用できる立場にあり、そこでも差が付く可能性は否定できないだろう。

とはいえ、これまでクアルコム製のノートPC向けArmベースチップ性能は、M2チップはおろかM1チップにさえ見劣りしている。Arm WindowsノートPC用チップとしてはクアルコム以外の選択肢が(今のところ)存在しない以上、Oryonコアがバッテリー持ちの良さと優れた処理能力を両立することを期待したいところだ。