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 いよいよ最低気温が10度以下、クルマの暖房やシートヒーターを付ける季節になってきました。我々、人間もダウンジャケットをそろそろ必要かなと思う季節です。

 もちろんクルマにも冬対策が必要です。冬用のオイル、濃度の濃いクーラント液、凍らないウォッシャー液、バッテリーチェックなど、本格的な冬を迎える前にクルマにしなければいけない冬対策を解説。

 早め早め、いまのうちにやらないとダメ。冬本番が来た時に「やっておけばよかった」と後悔しないようにしましょう。

文/高根英幸
写真/ベストカーWeb編集部、Adobe Stock

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■冬用のエンジンオイルを入れたほうがいい理由

冬用のエンジンオイルに交換したほうがいいのだろうか?

 そろそろ本格的な冬支度が、人にもクルマにも必要となってくる時期だ。関東以西であれば、気候変動もあって最低気温がそれほど下がらず、大掛かりな冬支度は必要ない場合もあるが、今年の冬は厳冬になる可能性が高いと予想されている。暖冬でも日本海側は降雪が多く雪対策に追われるが、厳冬ではさらに寒さ対策が必要になる。

 それでも最近のエコカーは超低粘度のエンジンオイルを採用しているため、真冬でもオイルの粘度が上昇してしまって不具合を起こすようなことはない。しかし劣化していたり、汚れていれば粘度が上昇することもある。

 広く使われているAPI(アメリカ石油協会)規格のSNグレード以上のオイルであれば、超低粘度でも1年間使い続けられるだけの耐久性を持っているといわれているが、劣化していくことは避けられない。それに近所への買い物などのチョイ乗りが多ければ、始動時のファーストアイドルなどによる燃料がオイルに混ざってしまうことで潤滑性能の低下が起こっている可能性もある。

 できれば夏前と冬前の半年に1度エンジンオイルを交換してやったほうが、エンジンの負担軽減になる。燃費節約分を相殺してしまうかもしれないが、長い目で見ればエンジンの良い状態が長く続くことで燃費低下を防ぐから、早めのオイル交換を心がけよう。

 純正指定が十分に低粘度なオイルの場合、冬季は後から登場したより低粘度なオイルに交換する必要はない。0W-7.5や0W-8といった超々低粘度オイルは、そのオイルと組み合わせることを前提にしたエンジンに使うことで本来の性能を発揮するから、設定されていないクルマで利用するのは避けるべきだろう。

SAE(米国自動車技術者協会の略称)規格によって、どれだけ温度変化に耐えうるかを示す基準が設けられ、粘度分類記号が決められている

 ちなみにマルチグレードオイルでは、昔は粘度レンジの幅広いオイルが高性能というのが常識だったが、最近は燃費対策や環境対策が優先され、とにかく低粘度で安定性の高いオイルにシフトしてきている。

 粘度レンジの幅が狭いオイルは高温域で潤滑性能が低いのではなく、全域で粘度変化が低い特性が与えられているのだ。それが最新のエコカー用高性能エンジンオイルなのである。

■電力消費の多い冬場にバッテリーが上がったら恐怖!

バッテリーは使い方しだいで長持ちする(BLKstudio@Adobe Stock)

 バッテリーはセルモーターの回転が弱く感じることがあれば要注意だ、交換時期が迫っている。補水不要のメンテナンスフリー(MF)バッテリーではインジケーターを見て充電不足を示しているのであれば、バッテリー充電器で補充電することで機能を回復させて長持ちさせることができる。

 心配ならカー用品店などでバッテリーの能力をチェックしてもらうといい。押し売りが心配なら、街の整備工場を利用するのも手だ。

 バッテリーチェッカーの診断が要充電となっていれば、パルス充電器で充電しておくのがいい。バッテリーの寿命の90%はサルフェーションが原因といわれており、パルス充電を定期的に行なうことで、サルフェーションを徐々に解消させ、物理的に壊れるまでバッテリーを使うことができるともいわれている。

メルテックのMeltecPlus MP-220は、バッテリーの診断機能やパルス充電まで行なえる多機能充電器だ。パルス充電をすることで、バッテリーの内部で起こっているサルフェーションを徐々に解消させることができる

 最近の充電器はパワー半導体を使ったデジタル制御で電圧を緻密にコントロールしているので、クルマにバッテリーを載せたままクリップをつなげるだけで充電できるので簡単だ。

 バッテリーにカバーを付けることで温度低下を和らげ、電圧降下を抑える対策方法もある。純正でバッテリーにカバーがついているならそれでも十分だが、アルミシートなどを使ったより断熱性能が高いカバーも販売されているので、必要に応じてグレードアップするなりして利用したい。

■バッテリーが寿命を迎える前兆とは
●エンジンをかける際、スターターモーターのかかりが悪い
●パワーウィンドウの動作が遅い
●バッテリー液の減りが早い
●エンジンの回転数によってヘッドライトの明るさが異なる
●バッテリーを3年以上交換していない
●バッテリー本体が膨張する
●バッテリー上面にバッテリー液が漏れている
●バッテリーターミナル端子に粉が付いている

窓を開閉するときの動きが鈍くなったり、セルモーターの回転が弱くなったりしていたら危険信号(Natallia@Adobe Stock)

■寒冷地在住、もしくは観光レジャーに行くときに必要な準備

プラットフォームと呼ばれる残り溝が50%になった際にトレッド表面に現れるサインが出るまでは冬用タイヤとして使い、50%以下となったらそのまま夏まで使用して使い切って廃棄するのが、スタッドレスタイヤの正しい使い方

 ウインタースポーツや観光などで厳寒地へドライブに行くなら、スタッドレスタイヤだけでなくクルマ全体の冬支度をしておくことが大事だ。冬タイヤへの交換もショップに依頼するのであれば、雪が降ってから慌てて購入、交換の予約をするのではなく、気温がグッと下がる週間予報が出たころには交換の準備を始めたい。

 スタッドレスタイヤも5年以上経過したものは使用や保管状態によって、ゴムの硬化やトレッドの摩耗状態に差が出てくる。自分で判断がつかないなら、タイヤ専門店などで測定してもらい、早めに交換するようにしよう。

■意外に見落としがちなウインドウォッシャー液とクーラント

ウインドウウオッシャー液は不凍タイプを選ぼう

 水分が大半のクーラント(冷却水)やウォッシャー液は凍結対策をする必要がある。ウォッシャー液は凍結しても解凍できるまで使えなくなる程度の不便さしかない(それでも視界を確保できないと危険だし不便だが)からまだいいが原液を継ぎ足して氷点を下げておくか、不凍タイプを選びたい。

冷却水はリザーバータンクで量と変色具合を確認

 クーラントは万一凍ってしまうと、始動時に冷却水が循環しなくなってオーバーヒートを起こすこともあるし、最悪の場合シリンダーブロックが破壊されてエンジンが使い物にならなくなる可能性がある。

 クーラントの全量からリザーバータンクの容量を考えて、通常の希釈率から目的の氷点まで希釈率を下げるようにリザーバータンク内のクーラントを抜いて原液を継ぎ足してやる必要がある。

 そんな計算難しい(面倒くさい)からできないと言うなら、クーラントを全交換して原液のまま投入してしまえばいい。それでもオーバヒートするようなことはないし、真夏になる前に逆にリザーバータンク内を空っぽにして精製水を継ぎ足してやればいい。

 極寒の地ではドアなど開口部に汚れが付いていると水分を含んで凍り、貼り付いてしまうことがある。それを防ぐにはウェザーストリップの汚れを拭き取り、さらにシリコンオイルなど保護剤をスプレーしておく。これで貼り付き防止と破損予防の対策になる。

■窓が頻繁に曇ったり、寒い朝に窓に霜が降りていたら?

冬場に多いウインドウの曇り。曇りを取る一番早い方法は?

 寒い冬によくあるのは、ウインドウが曇ってしまうこと。フロントウインドウの曇りを取る場合、基本は窓を開けて車内の温度を下げ、エアコンのデフロスターを風量MAXにしてフロントウインドウの下から暖かい風が出ることで曇りを取る方法だ。エアコンとデフロスターの両方を使い、外気循環にすることによって、曇りを素早く取ることができる。

 ウインドウの撥水コーティングも施しておけば、降雪時の視界確保に役立ってくれる。ワイパーを雪用に交換したり、解氷スプレーやスノースクレーパーを搭載しておけば、降雪後の出発準備がはかどる。

 霜によるウインドウの凍結対策には、ウインドウカバー(やわらかい素材のサンシェードも使える)を利用するのが効果的だ。フロントウインドウの上から被せて左右ドアの窓枠で挟んで固定するもので、降雪時のフロントウインドウへの積雪やワイパーの貼り付きを防げるだけでなく、真夏にはサンシェードとしても役立ってくれる。

たった数時間クルマを停めておいたら、このように窓ガラスが凍結しまう。こうなるとなかなか溶けないからやっかりだ。この時の気温はマイナス2℃。フロントウインドウはデフロスターのスイッチを入れ、しばらくすると溶けていくが、サイドウインドウはなかなか溶けないので要注意。こうなったら解氷スプレー、スクレイパーの出番だ

■安全のための灯火類点検、下回りの防錆処理も後で差が出る

融雪剤も付着するので高圧洗車機などで洗車したい

 降雪時の視界といえば、灯火類の点検も忘れずにしておきたい。フォグランプは日常的に使わないため、バルブが切れていることに気付かないことも多い。テールランプ類も含めて、日暮れが早い冬季ドライブの安全のためには重要なことだ。

 最近は融雪剤、凍結防止剤を散布する自治体も多いので、塩害からクルマを守る防錆剤を下回りやエンジンルームに塗っておくと錆の発生をかなり抑えることができる。

 そして融雪剤が撒かれた道路を走る際にはなるべくスピードを抑えて、前走車との車間距離を広めにとって走行すること。また走った後は、できるだけ早いタイミングで下回りを中心に洗浄することだ。

 太平洋側は平均気温の上昇もあって、関東以西では真冬でも夏タイヤのままで不自由を感じないユーザーも多い。ほとんど使わないけれども、もしもの降雪に備えたいというのであれば、オールシーズンタイヤや布タイプのタイヤチェーンを利用するのも選択肢として覚えておきたい。

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