2022.10.15 - 全日本ラリー選手権 第8戦 第49回M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ2022 Leg1
厳しい戦いのなか、最終日の挽回を期すSUBARU勢
10月15日(土)、2022年全日本ラリー選手権第8戦『第49回M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ2022』の競技初日が行われました。SUBARU WRX STIの新井敏弘/田中直哉はJN1クラスの5番手、鎌田卓麻/松本優一は同クラスの6番手につけて、この日のステージを終えています。
■好天のターマックラリーで新井、鎌田が力走
全8戦で開催される2022年の全日本ラリー選手権。今季最終戦は、岐阜県高山市を拠点として周辺エリアにスペシャルステージが設定されます。第5戦MONTRE以来となるターマック(舗装路)ラリーで、今回は2019年大会以来、3年ぶりに有観客での開催となりました。この日は、『ひだ舟山スノーリゾートアルコピア』でセレモニアルスタートが行われたほか、SSの観戦エリアも設定。『道の駅 モンデウス飛騨位山』にはサービスパークが設けられ、多くのラリーファンが見学に訪れました。
10月15日(土)に行われたラリー初日は、サービスを挟んで3SSを2回ずつ走行する6SS・30.44kmの構成。サービスパークから北上した場所に設けられたSS1/4千光寺は3.02km、サービスの南部に設けられたSS2/5牛牧上りは6.15km、SS3/6アルコピア‐無数河は6.05kmと、比較的SS距離が短いステージでの戦いとなり、接戦が繰り広げられました。天候は、前日のレッキから晴天に恵まれ、ドライコンディションのもとで競技が行われました。
新井は今回のラリーに向けて新しく製作した車両でスタート。SS1で首位に2.6秒差の4番手タイムをマークしましたが、その後は思うようにペースが上がらず、午後のサービスでサスペンションを調整するなど挽回を試みましたが、この日を5番手で終えることとなりました。一方の鎌田は、この日を通して5~6番手タイムが続き、新井同様にセッティングの変更で対応。競技初日は、首位に50.4秒差の6番手で終えました。
なお、SUBARU BRZが参戦するJN3クラスでは、タイトルがかかる選手権リーダーの竹内源樹/木村悟士がクラス首位につけており、最終日の決戦に臨みます。
■新井敏弘「クルマは完璧、調整で徐々に改善しています」
JN1クラスの5番手につける新井は、「クルマもタイヤも良く完璧ですが、いいタイムが出ません。セッティングも問題はありませんでした。アンダーステアがやや強かったので、少しだけサスペンションを調整して、午後はリヤを旋回させるようにしたので、明日もこれでいこうと思っています」と語っています。
クラス6番手でこの日を終えた鎌田は「頑張っていますが、苦戦しています。セッティングを変えて午後のSSで様子を見ましたが、だんだんイメージどおりに乗れるようになっています。クルマの限界は引き出せていると思います」と奮闘の様子を伝えています。
競技最終日の10月16日(日)は、SS7~SS12の6SSで争われます。2車線道路のSS7/10 大山線 (5.34km)と、深い森の中を走るSS8/11 無数河‐アルコピア(6.01km)、路面コンディションが良好な中速ステージのSS9/12牛牧下り(6.18km)と性格が異なる3本のステージで構成され、この日の総SS距離はラリー初日とほぼ同じ35.06kmが設定されています。今季の全日本ラリー、最後の戦いに挑むSUBARU勢ふたりの巻き返しにご期待ください。
■SUBARU勢は鎌田が5位、新井が6位でフィニッシュ
2022.10.16 - 全日本ラリー選手権 第8戦 第49回M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ2022 Leg2
10月16日(日)、2022年全日本ラリー選手権第8戦「第49回M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ2022」の競技最終日が行われました。SUBARU WRX STIの鎌田卓麻/松本優一がJN1クラス5位、新井敏弘/田中直哉は同クラスの6位で今季の最終戦をフィニッシュしました。
■挽回を期するも新井は不運なペナルティ
10月16日(日)の競技最終日は、SS7~SS12の6SSで争われます。1.5~2車線道路のSS7/10 大山線 (5.34km)と、深い森の中を走るSS8/11 無数河‐アルコピア(6.01km)、路面コンディションが良好な中速ステージのSS9/12牛牧下り(6.18km)と性格が異なる3本のステージを2回ずつ走行する構成で、この日の総SS距離は35.06kmに設定されました。
前日を5番手で終えていた新井は、この日最初のSS7では4番手タイムをマークしましたが、続くSS8のスタートでフライング判定をとられ、10秒のペナルティを受けてしまい、総合6番手に後退。その後はこの順位をキープしてフィニッシュを迎えました。
一方、6番手からスタートした鎌田は、最終セクションまで様々なトライを繰り返しながら、新井の後退もあって5位に浮上してのフィニッシュとなりました。この結果、新井はシリーズ5位、鎌田は6位で2022年シーズンの戦いを終えました。
なお、SUBARU BRZが参戦するJN3クラスでは、竹内源樹/木村悟士が今季4度目のクラス優勝を飾り、新型SUBARU BRZで初めてチャンピオンの座を獲得しました。
■鎌田卓麻「シーズンを戦い切れたのはファンの声援のおかげ」
JN1クラスを5位でフィニッシュした鎌田は「最後のループで足まわりの仕様を大幅に変更したら、すごく良くなりました。クルマは進化しましたが、ライバルも進化するという厳しいシーズンをなかで、僕たちWRX STI勢にとっては厳しい1年となりました。それでも、皆さんの声援が力となって、シーズンを戦い切ることができました。毎戦、色々なことにトライして、限界と思っていたスピードを超えることができた点は大きな発見でした。このことは今後の活動でも活きてくるはずです。心機一転で来年に向けてまた頑張りますので、応援をよろしくお願いします」とファンへの感謝を語りました。
JN1クラス6位でラリーを終えた新井は、「サスペンションのセッティングは悪くありませんでしたし、クルマの性能の限界まで引き出せたと思います。SS8では、タイミングがズレてしまい、スタート前に少し動いてしまいました。今シーズンは1度も勝てず、厳しい1年でしたね。ライバルとの性能差がありすぎました。そのなかで、重箱の隅をつつくことで少し速くできたことは収穫でした。攻め続けた結果なので、仕方がありません。来年はいくらかよくなると思うので、期待していてください」と語りました。
■ディーラーメカニックコメント「コミュニケーションの意味を肌で感じました」
・担当車両:(富士スバル AMS WRX STI)
・源田光
・神奈川スバル株式会社 相模原店 テクニカルスタッフ
小学生の頃からGDB型インプレッサが大好きでスバルに入社したという源田。スバルといえばラリーというイメージがあったものの、実際に観戦などに出かけたことはなかったそうです。そんななか、上司から派遣プロジェクトへの参加を勧められ、「せっかくの機会なので」と参加を決めたとのことです。
「ラリーのサービス作業は、メカニックの動きがまったく違うと思いました。ディーラーでの作業では絶対にやらないような体勢になったりするのですが、クルマに装着されている色々な部品を避けるために、そんな体勢になるんでしょうね。そういった様子が新鮮に映る1日でした」と、初めての体験が新鮮だったようです。
また、実際の作業ではエンジンの下側のマウントや足まわりなどを担当。「フロントショックまわりのパーツが市販車とは違うことが印象的でした。整備手順がシンプルになっているところが多く、短時間での整備を考えてこのようになっているんだろうなと、競技用車両ならではの部分を見ることができました」と、振り返っています。
源田が勤務している店舗では、スタッフ同士が意見を交わす場が設けられているとのこと。そこではたびたび『コミュニケーション不足』が議題として挙がるそうです。
「実は今までコミュニケーションってなんだろう、と腑に落ちていなかったのですが、今回ラリーのサービスを経験して、クルマ1台の作業を複数のメカニックで行うことで、意志の疎通のことなんだなと実感しました。自分がこうしたい、というのと、一緒にやっている方がこうしたいと思っていることを伝え合うのが大事なんだということを肌で理解できたことが、大きな収穫だと思います。ディーラーの拠点にも、若い人たちが入ってきています。こうした現場で得られたことを、すべて口頭で伝えるのは難しいと思いますが、ほんのわずかでも伝えられたらと思います」
そんな源田に、ラリー現場への参加を周囲に勧めるかと聞くと、「チームのメカニックさんに聞いたら、グラベルラリーでは様々なトラブルが起きるそうで、『今回は平和だったね』と。なので、初めて来るならターマックラリーをお勧めします」とにこやかに語ってくれた。
2022年の全日本ラリー選手権は、今回のラリーをもってすべてのスケジュールを終了しました。ライバルがスピードを増す厳しいシーズンとなり、SUBARU勢は新井敏弘/田中直哉がJN1クラスランキング5位、鎌田卓麻/松本優一が同6位という結果になりましたが、多くの皆様に応援をいただき、戦い抜くことができました。今後もSUBARUドライバーたちに、引き続き熱い応援をよろしくお願いいたします。