米Googleが大手ゲームパブリッシャーに対して、同社の「Playストア」と競合するアプリストアを設立することを止めさせるため、莫大な金額を支払っていた可能性が浮上している。
もっとも、これは米Epic GamesがGoogleを相手取った独占禁止法訴訟において提出された文書に基づくものであり、あくまで「Epic側がそう認識して記録した文書」にすぎないことに留意されたい。
さてEpicの提出文書によれば、かつてActivision Blizzard(アクティビジョン・ブリザード)とRiot Games(ライオットゲームズ)は、Googleに独自のモバイルアプリストアを立ち上げる可能性があると伝えていたという。そこでGoogleはActivisionに、3年間で約3億6000万ドル、Riotに1年間で約3000万ドルを支払うことに合意したと述べられている。
ある資料によれば、現アクティビジョンCFOのArmin Zerza氏とGoogle幹部との契約(同社のCoDなどeスポーツのYouTubeでの独占配信)をめぐる交渉で、この話が出たとのこと。その場でZerza氏は、この契約が決裂した場合は(おそらくEpicと提携して)独自のモバイル配信プラットフォームを立ち上げ、Stadiaから撤退すると主張したとされている。
もう1つの資料は、Googleがアプリ開発者にインセンティブを与えて支援する「Project Hug」に関するものだ。この「Project Hug」の存在は、EpicがGoogleとの訴訟で提出した文書により存在が明らかとなったもので、当時Epicは、Googleが他社のアプリストアを利用しないよう、開発者を囲い込むのが目的と主張していた。
この「Project Hug」に関与したとされる匿名の証人は、宣誓供述書でライアット(略称)がGoogleに対して、競合するAndroidアプリストア設立を検討していると述べたと語っている次第だ。
そしてEpicは今週提出した修正版の訴状のなかで、Project Hug契約は「開発者が競合するストアを開設したり、Google Playストア以外でアプリを配布することを防ぐため」のものだと主張している。
The Vergeへの声明で、GoogleとアクティビジョンはEpicの主張を否定している。Googleは「Project Hug」について、開発者が独自のアプリストアを作ることを阻止するものではないと述べ、アクティビジョンはPlayストアと競合しないことに同意したわけではないと伝えている。
さらにGoogleは「Epicはビジネス上の会話を間違って伝えている」とも付け加えている。ライオットは、コメント要請に対して返答がないとのことだ。
もともとEpicは2018年にAndroid版『Fortnite』を自社サイトで配布を開始し(当時はベータ版)、それによりGoogle Playストアの手数料を回避していた。結局2020年にPlayストアで公開したものの、後に独自の課金システムを実装したことが規約違反とされ、わずか数ヶ月でストアから削除されている。
さらにEpicはアップルとGoogleがアプリ内決済を独占しているとして「Free Fortnite」運動を開始。2020年8月、両社を提訴し、現在に至る。
そうした文脈から、今回の裁判資料も鵜呑みにはできない印象がある。今後の訴訟でEpicとGoogleが繰り広げる論戦や、新たに提出される資料に注目したいところだ。
- Source:DocumentCloud