2022 AUTOBACS SUPER GT Report
SUGO GT 300km RACE
第6戦 スポーツランドSUGO
ZENT CERUMO GR Supra
#38 立川祐路/石浦宏明
◆9月18日(日) RACE
決勝結果 4位
フロントロウとなる予選2番手と、今季最高位となるグリッドにつけ、セットアップの好感触とともに明るい雰囲気のなか予選日を終えたTGR TEAM ZENT CERUMO。迎えた9月18日(日)の決勝日、スポーツランドSUGOは朝から雲が厚く、決勝レースに向けたウォームアップ走行でも感触は良く、ほとんどセットアップをいじらずウォームアップを終えたが、その直後からサーキットには細かな雨粒がパラパラと舞った。
迎えた決勝レース。ZENT CERUMO GR Supraのスタートドライバーを務めたのは立川祐路だ。1周のパレードラップ、さらに1周のフォーメーションラップを終えて切られたスタート直後、いきなり立川が魅せる。4コーナー進入の一瞬のスキを見逃さず、わずかに接触しながらもポールポジションスタートの#19 GR Supraのインを突き、オープニングラップでトップに浮上した。
直後、GT300車両のクラッシュでセーフティカーが導入されるが、4周目のリスタート後も立川はペースが良く、10周が近づく頃にはGT300クラスの集団が眼前に近づくも、冷静に一台ずつかわしていき、後続とのギャップを広げていく。後半、もし何かが起きても十分なマージンができるようギャップを築きにかかったが、その頃、スポーツランドSUGOにはまたも雨が舞いはじめた。
スタート直前の雨は路面を濡らすほどではなかったが、13周を過ぎると雨量が増え、みるみるうちにウエットコンディションに転じていく。立川も状況を確認しながら、ウエットタイヤへの交換を判断。16周目にZENT CERUMO GR Supraはピットインし、素早い作業でウエットを履くと、ふたたび立川を送り出した。
GT500クラスではライバルたちもほとんどがピットインし、ふたたびZENT CERUMO GR Supraはトップに返り咲いていくことになるが、20周を過ぎるころになると少しずつ雨脚が弱まり、路面が乾いてきた。その状況になると、立川が履くZENT CERUMO GR Supraのタイヤに対し、ライバルたちが大きくペースアップ。まず26周目には#23 Z GT500が立川に接近すると、27周目の2コーナーで先行を許してしまう。さらに翌周には、同じタイヤを履く#3 Z GT500も急接近。ZENT CERUMO GR Supraは3番手に後退した。
立川はブリヂストン勢のトップを守っていたものの、今度は別のタイヤを履くライバルたちが近づいてきた。31周目、ウエットタイヤがかなり苦しくなっていた立川は、#16 NSX-GT、#64 NSX-GTに先行を許してしまい、これで5番手。レースは3分の1を消化しており、チームはウエットタイヤの状況を見ながら、石浦宏明への交代を決断した。
33周目、立川はZENT CERUMO GR Supraをピットに戻し、タイヤ交換と給油、そして石浦への交代を行う。この頃には少しずつ雨脚が弱くなっていたが、まだまだスリックタイヤでは走れない状態。幸い石浦のペースは良く、前を走るライバルたちをパス。2周に1台ほどのペースでポジションを上げていった。
石浦は42周目には3番手にポジションを戻すが、この頃には路面がかなり乾きはじめ、GT300クラスののなかではスリックタイヤを履くマシンが現れる。タイヤに熱が入ってからはウエットよりもペースが良くなり、TGR TEAM ZENT CERUMOもスリックへの交換を検討。51周目には石浦を呼び戻し、スリックへ交換した。
ピットアウト後、ZENT CERUMO GR Supraは4番手につけることになるが、わずかに濡れた路面ではトップ3のペースが速い。石浦はGT300車両をかわしながら表彰台圏内を追ったが、64周目には4コーナーでGT300車両とヒット。右フロントのカウルを痛めてしまった。
ただその後はダメージの影響はなく、石浦はふたたび雨が舞いはじめた路面にもしっかりと対応すると、84周のレースを走り切りチェッカーを受けた。予選2番手から、決勝結果は4位。序盤トップを走っただけに表彰台に届かなかったのは悔しいところではあるが、何よりチームにとって欲しかった完走、ポイント獲得、そして上位争いという結果をようやく成し遂げることができた。チームはこの結果にまずは安堵の表情をみせたが、これをきっかけにさらなる浮上を目指していく。
ドライバー/立川祐路
「昨日からクルマは変えていませんし、ウォームアップからフィーリングは良かったです。決勝に向けて手ごたえを感じて挑みました。1周目はポールの車両がタイヤをあまり温めていなかったので、とっさに動いた感じです。軽い接触はありましたが、抜けて良かったです。ドライコンディションでペースも良く、序盤で何かあっても大丈夫なくらいにリードを築いておこうと思っていましたが、雨が降るまでは思ったとおりの流れでした。その後少し濡れた状態でのドライタイヤは得意なので良かったのですが、思いのほか降ってきてしまって。完全に濡れたときにはまだ良かったものの、水が減ってきたら厳しくなってしまいましたね。今日は気持ちとしては絶対に勝つという強い思いでしたが、残念ながらそうはなりませんでした。しかしチーム全員が的確に判断し、ミスなく最後まで仕事ができたので、その点は良かったです。今日のレースは、このコンディションだったら何度やっても4位だったと思います。それくらい戦いきることはできた。今日は僕たちの番ではなかったということです。次にチャンスがきたときに、しっかりものにできるようにしたいですね」
ドライバー/石浦宏明
「当初の予想とは異なり、立川選手のスティントから雨が降り出すことになってしまいました。ウエットタイヤを履いたので少し引っ張るのかな……と思っていたのですが、状況が変わってきてしまいました。一度は雨が止む方向かと思っていたのですが、これは様子を見と思っていたら雨が強くなったので、僕に交代するときはウエットタイヤに交換しました。その後はペースも良く、オーバーテイクもできたのですが、雨が止み始めるとこれだけの台数が走っているのですぐに乾いてしまって、その後はドライに替えることになりました。今回のレースは自分たちが持っているもののなかではタイミングなども含めてミスはなかったと思いますし、ピットもしっかり送り出してくれました。全員がミスなく終えた結果が4位でしたが、自分たちのベストは出せたと思います。予選から含めて力強い、速さがある上位でのレースができたと思います。今季噛み合わないレースが続いていましたが、これをきっかけにファンの皆さんの期待に応えられるようなレースを続けていけば、結果は出ると思っています」
田中耕太郎監督
「チームとしてはあれ以上はやりようはありませんでしたし、三度もピットに入るとは思いませんでしたが(笑)、なんのミスもなく走りきることができたと思います。同じメーカーのタイヤを使うチームのなかではトップでしたし、結果については他メーカーさんのタイヤが非常に速かったということに尽きます。とはいえ、今回しっかりと走り切ったことで“失敗の連鎖”を断ち切ることができたと思いますので、今の調子をキープして今後に繋げていきたいですね。結果についてはタイヤメーカーも、自動車メーカーも競争しているので、そのなかで良い戦いができればと思っています」