KDDIは、SpaceXが展開する衛星インターネットサービス「Starlink」の法人・自治体向けサービス「STARLINK BUSINESS」を提供することを発表。2022年内の提供開始を予定している。
Starlinkが日本でのサービスを開始したのは既報の通り。従来の衛星通信では高度約36,000kmのところにある静止衛星を使っていたが、Starlinkは数千もの衛星を高度約550kmの低軌道に打ち上げてネットワークを構築しており、地上との距離を約65分の1にまで縮めたことで大容量・低遅延通信を実現したという。
KDDIはかねてよりStarlinkと協業しており、昨年には山口衛星通信所にStarlink地上局を構築。au基地局のバックホール回線への利用も昨年9月に発表されていたが、こちらも年内提供開始というところまで来ている。
そして今回発表の「STARLINK BUSINESS」だが、ビジネス仕様ということで個人向けよりもさらに高速、安定、高耐久なサービスになっているという。例えばStarlinkが提供している一般家庭向けプラン「レジデンシャル」は、現時点では東京から北海道南部の一部地域のみが対象となっているが、本プランは基本的に全国で利用が可能。
またアンテナも長方形の高利得アンテナとなっており、受信最大速度は350Mbps、送信最大速度は40Mbps、遅延時間は20-40msと、個人向けのものの2倍以上の性能を実現。帯域も優先的に利用できるうえ上空視野角も140°(従来より35%拡大)、かつ厳しい気象条件でも使えるようIP56準拠、融雪能力75mm/hと、安定性や耐久性もしっかり確保されている。
さらにKDDIは「Starlinkインテグレーター」に認定されており、設置・導入支援のみならず通信/DX総合提案、カスタマーサポートなど、包括的に導入のサポートを行うとアピール。同社によるとStarlinkインテグレーター認定企業は現時点で世界に4社しかなく、国内では同社が唯一の認定企業だという。
KDDI 事業創造本部長の松田 浩路氏は、「高性能なStarlinkを利用すれば、さまざまな社会課題を解決できるのでは」と語る。例えば山中などの工事現場に持ち込めば、怪我や事故が起こったときにもすぐに連絡ができるうえ、現場作業員も休憩時間にスマホを使えて満足度が向上できるとする。
また、被災地や避難所の通信環境の改善であったり、山小屋、離島、海上といった電波の届きにくいところにもWi-Fiを引くことなども可能で、実際に山岳会の方々とも話を進めているという。
なお、Starlinkの海上向けサービス「MARITIME」は、まだ日本周辺の海域では利用できない状況だ。ここに関しては総務省とも話を進めており、領海内であれば準備ができているため、早期に利用できるようにしたい、と述べていた。
そして肝心の料金プランだが、ニーズに応じた複数の料金プランを用意する予定ながら、価格などの詳細は追って発表するとのことだ。
- Source:KDDI