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やるべきか、やらざるべきか!? クルマにいいこと、悪いこと新常識4選

 クルマにかぎらず、ひと昔前の常識が現代では通じない、昔から言われていることの是非がいまだハッキリしないというのはよくある。ここではクルマに関するそんな疑問の「現代はどうするべきか?」について考えてみた。

文/永田恵一、写真/AdobeStock(トップ画像=kai@AdobeStock)

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■慣らし運転

クルマを生産する際の工作精度がよくなかった時代には、新車を買ったら慣らし運転をするのが当たり前だった(milatas@AdobeStock)

 特に昭和の時代まではクルマを生産する際の工作精度がよくなかったこともあり、新車を買った際の慣らし運転は儀式のように多くの人が行っていた。

 しかし、いつの間にか慣らし運転という言葉を聞くことは減り、自動車メーカーから「新車の際は急激な負荷をかけなければ、乗っているうちに当たりが付きます」という回答を受けるなど、新車の慣らし運転の必要性は薄れているようにも感じる。

 確かに工作精度がよくなっている現代のクルマは慣らし運転なしでも新車から当面の間、慣らし運転をしなかったことがトラブルの原因になるということはまずないだろう。

 しかし、今もクルマの取扱説明書を見ると、慣らし運転を2000kmまで走行距離ごとに細かく指示している日産GT-Rや、「1000kmまでエンジン回転は4000回転」と記載されているスバル車などがあるのも踏まえると、愛車を長くいいコンディションで乗るためにも慣らし運転はして損はない。

 また、新しいクルマにオーナーが慣れる期間という意味でも慣らし運転はしておきたい。

 具体的な方法としては取扱説明書に記載がなければ、「エンジン回転は500kmまではレッドゾーンの半分を上限に、500km以降は100kmごとに500回転もしくは1000回転上限を高める」というやり方などでもいいだろう。

 ちなみに、某元カリスマ自動車エンジニア氏に聞くと、「1000kmまで3000回転。1000kmから3000kmまでは適度な負荷をかけるために空いた道で3速ギアを使って3000回転から5000回転の間に回転を上げた後、アクセルを全閉するというやり方を10回程度1セットでできる時に行っていくのがオススメ」と聞いたことがある。

 また、慣らし運転が終わったら、新車時が一番出やすい各部の鉄粉を洗い流すためにATF以外のエンジンオイル、MTのミッションオイル、4WDのトランスファーオイル、デフオイルを交換しておいたほうが無難だろう。

■暖機運転

通勤でクルマを使っている人には、冬の朝の暖機運転は季節の風物詩だった(happycreator@AdobeStock)

 20年ほど前までだろうか、特に冬場はエンジンを掛け、水温計が中央に上がるくらいまで暖機運転を行う人をたまに見た。しかし、環境問題もあって今はそこまで暖機運転を行う人は見なくなったが、現代のクルマではどうするべきなのだろうか?

 答えはケースバイケースとなる。まず、外気温が30度などの夏場であれば、冷却水やエンジンがエンジン始動前からそれなりの温度となっていることもあり、「前に乗ってから1週間以上間が空いている」という場合でもないかぎり、エンジンをかけたらすぐ走り出して問題ない。

 ただし、エンジン始動直後にエンジン回転が大幅に上がるファーストアイドルが終わる前にアクセルを深く踏むのは、ファーストアイドルでは濃い燃料を噴射するため、燃え残った燃料でエンジンオイルが薄くなってしまう希釈という現象が起きやすいので、夏場でも厳禁だ。

 冬場はどうかというと、冬場は特にケースバイケースで、まず、「寒さでガラスが凍っている」などという場合は、視界が確保できるまで暖機運転が必要だ。

 では、冬場で視界などの環境が整っている場合、停止しての暖機運転はどうかというと、使っているエンジンオイルの種類によって大きく変わる。

 というのも各種性能に優れる化学合成オイルを使っていれば、化学合成オイルはクルマを駐車している際の油膜の保持もいいので10秒もすれば充分だからだ。しかし、安価な鉱物油は油膜の保持性もよくないので、30秒程度暖機運転してから走り出すようにしたい。

 また、走り出してからもクルマは各部が適温になって性能が発揮できる機械モノので、それまでは準備体操のように徐々に負荷をかけたい。

 具体的には走り出してしばらくはレッドゾーンの3分の1程度までのエンジン回転で走り、「各部の調子から硬さが取れた」という感覚や、水温計が定位置になったというあたりから普通に走るといいだろう。

■ふんわりアクセル

ガソリン高騰の影響で耳にする機会も増えてきた「ふんわりアクセル」だが、交通の流れを妨げる原因にもなりかねない(Imaging L@AdobeStock)

 「停止から5秒を目処に20km/hに加速する」というふんわりアクセルはしばらく聞かなかった言葉だが、ガソリン高騰もあって最近また聞くことが出てきた。

 しかし、ふんわりアクセルは次のふたつの理由で推奨できない。

 理由のひとつ目は仮にふんわりアクセルをすることで自車の燃費は上がったとしても、ふんわりアクセルにより1回の青信号で通過できる台数が減ってしまっては、広い目で見た燃費=環境負荷やクルマの流れという交通への負荷という意味で疑問が残る。

 また、クルマの運転は全体的にメリハリが大事だ。それは加速も同じで、単にユックリと加速するだけではかえって燃費の悪化につながることもある。

 といったことを総合すると、加速は「停止から5秒で30km/hに加速」がいろいろな面でバランスに優れるのではないだろうか。

■アイドリングストップ

提唱され始めた当時から疑問の声も少なからずあったアイドリングストップ。低燃費化には貢献するが弊害も目立ち始めている(tarou230@AdobeStock)

 アイドリングストップは2010年あたりから燃費向上(日本ではエコカー減税適合も含め)のため、普及が始まった。確かに停止中にエンジンを止めるのは合理的ではあるが、ここ数年アイドリングストップの弊害も目立ち始めた。

 その一番大きなものが費用対効果だ。確かにアイドリングストップを使えば特に市街地での燃費は向上するが、エンジン始動が頻繁になるため12Vバッテリーへの負担が大きくなり、アイドリングストップを使うと12Vバッテリーの寿命が短くなる。

 さらにアイドリングストップ対応の12Vバッテリーは通常の12Vバッテリーより高価なだけに、ガソリン代が節約できても12Vバッテリーの交換代のほうが高く付くことがほとんどだ。

 また、アイドリングストップにより12Vバッテリーの消費が増えるのも、環境負荷という意味で考え物ではないだろうか。

 もうひとつエンジンにとっても、エンジンの始動が増えるアイドリングストップは、エンジン始動の際には濃い燃料が噴射されるだけに、暖機運転のところで書いた燃料によるエンジンオイルの希釈が進むという懸念もある。

 といったことを総合すると、アイドリングストップはオフにするほうが無難というのが結論で、使うのは長い踏切待ちくらいの時で充分ではないだろうか。

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