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 道路上での「マナー」が取りざたされることが増えています。マナーとルールの線引きは難しいけれど、ルールは守るべき規則、マナーは礼儀・行儀・作法のことで、マナーには相手を思いやる心がその根幹にあるといいます。

 道路を仕事場とするトラックドライバーは、路上マナーの悪いクルマを頻繁に見かけます。マナー違反は乗用車だけでなく、同業のトラックにも言えること。プロドライバーなら他者(他車)を気遣う運転をしたいものです。

 「人の振り見て我が振り直せ」なんてことを言いますので、九州発の長距離運転手・ひろしさんに、「マナー違反じゃない?」と思うことを語ってもらいました。

文/長距離ドライバー・ひろしさん、写真/「フルロード」編集部


長距離運転手が直面する駐車枠問題

 「それってマナー違反じゃない?」と思う事は多々あります。長距離運転手が常に直面するのが高速道路のサービスエリア等での駐車枠問題です。一般車が大型車のスペースに我がもの顔で駐車しているのです。

 百歩譲って連休期間中やトラックが比較的少ない週末ならある程度の理解はしますが、平日夜のトラックがもの凄く多い時間帯にこれをやられると本当に困るので是非注意して頂きたいと思います。

 一般車の人達にいわせれば、「普通車のスペースに駐車しているトラックの責任!」と言われてしまいそうです。

 近年ニュース等で良く取り上げられるのでご存じの方も多いと思いますが、早い所では夕方から、それ以外でも夜から朝に掛けての高速道路のサービスエリア内は、トラックを止められる駐車スペースが全くと言っていいほど空いていません。

 ニュースでは、東京インターの深夜割引待ちの為にサービスエリアで時間調整するトラックが溢れて一般車両が止める場所もないといった、いかにもトラック業界が高速料金を浮かす為だけにサービスエリアを占拠してるかのような報道がされています。

東名海老名SAエリアのトレーラ駐車枠。一般車に人気のSAエリアだけあり混雑時には、溢れた車両が所構わず駐車する光景が頻繁にみられる

 実態はホントにそうなんでしょうか?

 交通量の多い東京インターが目立つのはしょうがないとして、関西圏のサービスエリアも京都、大阪近辺は駐車率が100%を超えています。

 関東、関西の主要都市近辺だけではありません。西に向かう山陽道、九州道のサービスエリアも21時以降は蟻の入る隙間もないくらいの駐車率です。

 これは何が原因なのか? 本当に深夜割引待ちのせいで起きている現象なのか? 僕は違うと思います。トラック運転手には、連続して8時間の休息や分割して合計10時間の休息が法律で定められています。

 これを取らないといけないが為にサービスエリア内にどんどんトラックが溢れかえっているのです。高速道路を下りて大型車を安心して長時間止められる場所はありますか? 荷主は全て工業団地内、もしくは港にあるわけではありません。

 工業団地内や港にあったとしても、駐車場がなければ結局は路上駐車での待機になります。過去に路上で仮眠待機していたトラックが駐車違反で切符を切られた話も聞きます。

 インフラが整ってないのに法律は運送業界を締め付ける。この状況は誰が作りあげたものなのでしょう? 運転手に充分な休息を取らせる為の法律が、かえって運転手の首を絞めている事に気づかないのでしょうか?

個人のモラルも問われている

 残念ながら長時間路上やサービスエリアで待機させられて、ゴミをポイ捨てする運転手も多いです。これはマナー違反云々の前に、個人個人のモラルの問題だと思います。

 自分の家の庭先にゴミをポイ捨てしますか? 自分の会社の敷地内にゴミをポイ捨てしますか? 「はい! 捨てます!」と言う人には通じない話になりますが、普通は自分の敷地内ではポイ捨てしないと思います。

 サービスエリアにはゴミ箱が設置してあるので食べカス飲みカスは、ゴミが出た時点で捨てれば良いのに……。どうしてこんな子供でもわかるような事ができないのか、甚だ疑問です。

 僕もサービスエリアから朝動き出す時に、道路や合流部にゴミが捨てられているのを毎回見かけます。運転手のこういった行為が運送業界のイメージを貶めている事だと気付きませんかね?

 ゴミをポイ捨てしているトラック運転手はごく一部だと思いますが、そのせいで運転手はゴミのポイ捨てする輩というイメージが世の中の認識になってしまっています。このような行為は業界のイメージダウンに繋がるので是非やめて頂きたいです。

高速道路の走行マナーが悪化している?

 駐車に関するマナー以外にも、最近ものすごく気になる事があります。これも高速道路にまつわる事なんですが、トラック、一般車問わず、キープレフトをしない車両がとても多い事です。

 高速道路を走る時の原則は左側通行でキープレフト遵守がマナーというか法律で決まっていると思います。2車線の高速道路では比較的守られていすが、3車線の高速道路などで真ん中車線を低速で走る車両が目立ちます。

 近年、車両の維持費の面や若者のクルマ離れが原因の一端を担っているのか、休日などは特にカーシェアリングなどのレンタカー利用者が増えた気がします。

 普段クルマを運転しない人高速も一般道も同じ感覚で運転しているのでしょう。3車線の一番右車線(追越車線)を低速で走行しているのも良く見かけます。速度差もありますし、万が一追突でもしてしまった場合には大事故は避けられないでしょう。

 一般ドライバーはプロではないので、キープレフトのマナーを知らなかった、自動車学校で習ったけど、高速道路を普段利用しないから忘れている可能性もあります。

高速道路は一番左側の車線を走るのが基本。3車線区間にはそもそも大型トラックの「車両の通行区分」が設けられているケースが多い

 しかしながら、一般車両のお手本となるべきプロドライバーもキープレフトの原則を怠り、3車線の真ん中を低速で走る姿をよく見かけます。

 特に社内速度を設定してるような会社の車両がよくやっている気がします。なんで追い越しが終わった後に左車線に戻らないのか、毎回不思議に思います。

 3車線の場合、右が追い越し車線、左車線も真ん中車線は走行車線なので、低速で真ん中を走る事は問題ないとはいえ、そこはやはりキープレフトの原則に従い、低速ならば一番左の車線を走るのがマナーだと思います。

 3車線設定されてる場所は、新東名高速や新名神高速、伊勢湾岸道など、比較的速度が速い路線になります。速度設定が速い路線で、速度差のある追突事故を起こした場合、必ず大事故に繋がります。

 事故を1件でも減らし、道路を快適に利用する為には、高速道路を利用する1人1人がマナーを守り、周りに気遣いのできる運転をすることだと思います。

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