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Image:Miguel Lagoa/Shutterstock.com

米マイクロソフト(以下「MS」)が、現在のXboxストアを拡張し、モバイル端末に直接ゲームを提供する機能を追加する計画を、英競争市場庁 (CMA)へ提出したことが明らかとなった。

この「Xboxモバイルストア」ともいうべきショップは、同社が買収を進めているアクティビジョン・ブリザードのコンテンツに大きく依存することになる。

現在『Call of Duty Mobile』や『キャンディークラッシュ』などのモバイルゲームがアクティビジョンの収益の半分以上を占めているが、MSはこれらが新たなストアへゲーマーを引きつけるのに役立つだろう、と述べている。

一方でMSは、Xboxモバイルストアを消費者に定着させることが容易ではないとも認めている。申請書類には「アップルのApp StoreやGoogle Playストアから消費者を引き離すには、彼らの習慣を大きく変える必要がある」と書かれているのだ。

また、ゲーム開発者に対しても配慮するという。サードパーティ製アプリの平等な扱いやアプリ内決済の選択肢など、(従来の)オープンなアプリストアの理念をXboxモバイルストアにも適用するとのことだ。

MSが本気でXboxモバイルストアを立ち上げるつもりかどうか、まだ不透明というほかはない。そもそも、どうやってモバイル端末へゲームをインストールするかということに言及していないのだ。

Android端末であればサイドロード(公式ストア以外からのインストール)が可能だが、iPhoneやiPad向けのゲームをApp Store外で直接配布する手段は存在しないと言っていい。MSはXboxゲームパスとクラウドゲーミングをApp Store経由で提供しようとしたものの、アップルの規約により阻止され、結局はブラウザを通じて(クラウド経由で)実現せざるを得なかった。

さらに言えば、この計画の背景にも留意する必要があるだろう。CMAはMSのアクティビジョン買収について、特にコンソール(ゲーム専用機)市場における競争を阻害する恐れがあるとして、調査を行っている最中だ。

このMSの書類は、まさにCMAの調査の一環として提出されたものだ。そこには「他社のモバイル端末にもゲームを提供するため独占する意図はない」として、CMAを説得したいという意図がうかがえるとの趣旨を、米Engadgetも述べている。

しかしCMAは調査の中で、MSのモバイルゲーム参入の可能性にはほとんど触れず、かわりにコンソール市場に大きく焦点を当てている。

かたやMSがアクティビジョン買収に際して、サイトに掲載したグラフによれば、2020年のゲーム市場全体のうち、コンソールゲームが20%、PCが24%、モバイルゲームが51%とのこと。同社の独占が懸念されているコンソール市場は小さく、手つかずのモバイルゲーム市場は大きいと強調したいようだ。

Image:Microsoft

特にアクティビジョンのIPとしては、超人気シリーズ「Call ofu Duty」が焦点となっており、MSは(コンソール市場での独占への懸念を払拭するためか)「必須ではない」と言い、ソニーは「太刀打ち不可能」と述べるなど、主張が奇妙に食い違う一幕もあった

ともあれ、MSは真剣にXboxモバイルストアを立ち上げるつもりかもしれない。続報を待ちたいところだ。