いよいよ開催が目前に迫ってきた「ラリージャパン」。12年ぶりとなるWRC日本ラウンドは、愛知・岐阜の両県にて2022年11月10日~13日の日程で開催される(サービスパークは「豊田スタジアム」に設置)。先日エントリーリストも発表。ゼッケン47番には国沢光宏氏の名前が!! ラリーをこよなく愛する国沢氏が、ルノールーテシアラリー5で参戦します!! 以下、ルーテシアのガチな実力をレポートしてくれました!!!
文/国沢光宏、写真/佐久間健、国沢光宏
■「自動車好きにとって見果てぬ夢」……とは?
最後のエンジン車をあれこれ考えている。フェアレディZをオーダーしたけれど、納車はいつになるかわからない。シビックタイプRなども魅力的に思える。そんななか、「ルーテシア ラリー5」というバリバリ武闘派のホットハッチを購入したのだった。海外だとナンバーを付けて公道を走れるけれど、日本だと安全燃料タンク(後述)付きのためナンバーは取れないですが。
私の師匠である徳大寺有恒さんは、クルマ談義になると、よく「国際格式の競技に家から乗っていけるようなクルマを所有することは自動車好きにとって見果てぬ夢だよな!」と言っていた。往年のル・マンやモンテカルロラリーをイメージしていたのだろう。私も100%そう思う。ルーテシア(欧州名クリオ)のラリー5って正しくそんなクルマで、欧州じゃ家から乗って行き、WRCに出場できちゃう。
この夢、2005年に涙目インプレッサWRCで家から自走し、WRCジャパンに出場して叶えたのだけれど、人間って欲張り! またやりたくなってしまいました。
ルーテシアラリー5のスペックを並べると、日産ノートと共通のCFM-Bプラットホームを使い、車重1080kg。搭載されるエンジンは1300cc直噴ターボで180馬力/300Nm+5速のシーケンシャルドグミッションです。
■「ガチョン」でテンションMAXに!!
試乗と行きましょう! 意外や意外! エンジン始動はキーを捻るだけ。「ラリー4」という、このひとつ上のクラスになると「クランキングして油圧が上がったのを確認してイグニッションを入れる」的な儀式を必要とする。いっぽうルーテシアラリー5はクランクキングの後、普通に火が入る。エンジン音は少し元気なくらいで静か。ただエンジンはリジットマウントのため、振動は賑やか。
けっこう重いクラッチを踏んで「床から生えている」長いシフトレバーを後ろに引くと、ドグミッションを使っているバイクのギアを入れた時のような「ガチョン!」という音と振動を出す。少しばかり神経質なミート感のクラッチ(回転を上げずに坂道発進すると簡単にエンストする)を繋いで走り出すと、けっこう大きいギアノイズ。平ギアを使っているためですね!
されどクルマ好きだとギア音で気分アガリます! ぐおーというエンジンの上昇とギューンというギア鳴りが上昇し、いい頃合いでシフトレバーを引けば「ガチョン!」で回転が下がる。楽しいです! こんなクルマを公道で乗れるなんて「幸せ」以外ナイモノでもない。ちなみに触媒付き。日本で車検が取れない理由は、転倒してもガソリンが漏れない安全燃料タンクを認可しないためです。
普通の道を流れに乗って走っている限り、騒音&振動は大きく、乗り心地が相当硬い。
いずれにしろ本来の使い方じゃないので、いよいよ全開インプレと行きましょう!
■対向車が絶対に来ない林道で全開テスト!!
試乗コースは飛騨高山の林道。もちろん公道だ!(編集部注/国沢氏は2022年10/14~16に岐阜県高山市で開催された「JAF全日本ラリー選手権 第8戦 第49回 M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ 2022」に、このルーテシアラリー5で参戦いたしました)
道路は封鎖されており、対向車は絶対に来ない。速く走ればホメられ、路外に落ちたら「よく攻めました!」と健闘を讃えられるという状況。本当の限界インプレだ(笑)。
まず0~400m加速のようにフル加速! シフトアップはクラッチを踏まなくてもOK。全開のまま6200回転くらいでシフトレバーを引くと、クロシレシオのギアがちょうどいい感じ! 欧州の道を走り込んで決めたギアレシオだけれど、日本のタイトな林道でバッチリ決まる。ちなみにシフトダウンもクラッチ操作不要。ブレーキ掛けながら前に叩き込んでいけばよい。
買ったクルマは舗装ラリー仕様のため、写真のように車高ベタベタ。ハンドルを切ると超素直に曲がる。フラットな路面ならアクセル踏めばLSDがキッチリ効いて、ハンドルを切った方向に曲がっていく。コーナリング速度は履いているタイヤで決まります。私は硬いFIA認定タイヤのなかでも一番減らないハードコンパウンドのため、溶けてグリップするSタイヤほどの横Gがでないものの、十分にコントローラブル。
ただ、欧州の高速ラリーに合わせたのか日本の荒れた林道だと硬すぎ! 先日群サイ(群馬サイクルスポーツセンター)を新型シビックタイプRで走った際、スポーツモードを選んだらハネまくってダメ。ノーマルモードでちょうどよかった。ルーテシアラリー5も、もうワンランクソフトにしたいところ(レギュレーションによりダンパーの交換は出来ない)。距離を走れば馴染んでちょうどよくなるんだろうか?
仕方なく空気圧を前輪180、後輪170に落としたら、ずいぶんよくなりました。シビックタイプRのパワーを30%くらい落とし、コーナリング速度を上げたようなクルマというイメージ。
素敵なのは競技なので対向車が来ない林道を全開で走れること! 今や公道を全開走行したいならラリー仕様車を買うしかない。以上。こんな「最後のエンジン車」もあります。
■ぜひ応援しに来てください!!
さて! このクルマでラリージャパンに出場します! 全日本ラリーに出場してクルマの特徴も掴んだ。先日(10月17日)にエントリーリストが発表され、ゼッケン36番で確定! ラリー5は一番下のクラス。エンジンを愛するクルマ好きにとっちゃ3日間公道を全開で走れる(注/無事であれば)夢のような日々がやってくる。お時間あれば、ぜひベストカーチームを見に来てください。
【画像ギャラリー】ルーテシアラリー5の雄姿を蔵出し画像でチェック!! これいい!! すごくいい!!!!(11枚)画像ギャラリー投稿 祝 ラリージャパン参戦決定!! 本気で挑んでわかったルーテシアのガチな実力と「クルマ好きの見果てぬ夢」 は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。