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石川真禧照のスーパーカーワールド ベントレー ベンティガ ハイブリッド

 スーパーカーは好きですか? 当編集部は大好きです!! 百年に一度の変革期にあって「社会におけるクルマの位置づけ」が変わりつつあるなか、「趣味としてのクルマ」はそうした世間の風潮とは隔絶した世界観のなかで、それでも進化を続けています。

 21世紀のスーパーカーはどんなふうに進化しているのか?? 自動車評論家の石川真禧照氏がじっくりしっかり動画付でお届けする当連載。今回は、ベントレーの高級SUVに加わったプラグインハイブリッドモデル「ベンテイガ ハイブリッド」をご紹介する!

文/石川真禧照、写真/萩原文博、動画/吉田海夕、コペル

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■ベントレーの高級SUVにPHEVモデルが登場!!

 英国の高級車メーカー、ベントレーは2015年に高級SUVのベンテイガを発売した。このモデルは世界中の富豪たちの間で人気車種になり、5年間で2万台以上が販売されるヒット商品になった。現行モデルは2代目で、2020年6月に英国で発表され、日本には8月に上陸している。

 当初はW12エンジンモデルだけだったが、「V8」「スピード」を追加し、バリエーションを拡大している。そのベンテイガの新型が「ハイブリッド」で、2021年初頭に発表された。

大型化されたグリルと高めの位置に取り付けられた楕円形ヘッドライトにより、先代よりも存在感が増したフロントマスクに!

 実車が入ってきたのは2021年秋。車名は「ハイブリッド」だが、実車はバッテリーに外部充電できるプラグインハイブリッド(PHEV)だ。

 パワーユニットはガソリンエンジンとモーターの組み合わせ。エンジンは、現行ベントレーとしては初のV6、3.0Lツインターボを搭載。340psの最高出力と450Nmの最大トルクを発生する。

 モーターは17.3kwhのリチウムイオンバッテリーで、128ps、350Nmを発生し、トータルの実効性能は、449ps、700Nmになる。このモーターはV6エンジンとミッションの間に収められている。EVモードでの性能は、一満充電での可能航続距離は約50km、モーターとエンジンを組み合わせると、約858kmが走行可能距離になる。

パワーユニットは、V6、3.0LツインターボとEモーターを組み合わせたPHEV。システム全体の最高出力は449ps、最大トルクは700Nm

 ベントレーは、モーターのみの走行距離を決定する際にユーザーのモニター調査を行なった。その結果、大半のユーザーは普段の走行距離が50km以下だったことから、この性能を決定したという。フル充電は家庭用200Vでも2時間半ほどで行なえる。リチウムイオン電池は10万マイルもしくは8年間の寿命が保証されている。

 Eモードは「EVドライブ/ハイブリッド/ホールド」の3種類があり、ボタンスイッチで切り替えることができる。スタータースイッチを押すとEVドライブモードになり、モーターで走行を開始する。ユニークなのは、モーター走行中に急加速しようとアクセルを踏みこむとペダルが瞬間的に重くなる。これがモーターのみの走行からエンジンも加わる合図。このようにドライバーにパワーユニットの状況を伝えることで、EVエコドライブを推奨しているのだ。

 ちなみにシステム上では時速130キロまでモーターのみで走行できるという。

■2.7トンの巨体が軽く感じるベストベンテイガ!!

コンチネンタルGTと共通の楕円形テールライトを採用したリアデザイン

 試乗、撮影のために借り出したモデルは、「1stエディション」2269万円。2代目になり大幅にリニューアルされている内、外装だが、とくに外観は、新設計の楕円形LEDマトリックスヘッドライトが、これまでより外側の高い位置に移動した。

 リアも先代とは異なり、コンチネンタルGTと同じ楕円形のテールライトが採用された。テールゲートも新設計で、車幅いっぱいに開き、開口部は大きい。ライセンスプレートも位置を低くしたので、「BENTLEY」のエムブレムが目立つようになった。Cピラーの「1st Edition」のエムブレムも目に入る。

 さらに「ブラックインスペシフィケーション」を選べば、エクステリアのクロームパーツがすべてブラックに置き換わる。最新の超高級車の世界ではクローム系をすべてブラックにする手法が人気。同じ英国の高級ブランド、ロールスロイスも「ブラックバッジ」シリーズが人気というのでこれからの高級車ブランドのトレンドになるのだろう。

ベントレーの翼をイメージしたダッシュボードには10.9インチのタッチスクリーンを搭載

 ぶ厚く、ガッシリとしたドアを開け、高めのシートに乗りこむ。クッションも厚く、本革の表皮も上質だ。先代と比較するとドアトリムやハンドルは新設計。インパネも液晶画面を大きくし、見易くするなどの変更を受けている。

 リアシートは2種類用意されている。標準設定は3人掛けで4/2/4の分割前倒式。リクライニングは8段階で、先代よりも可倒角度が2倍になっている。2人掛けはオプション。左右1名ずつのセパレートで膝まわりのスペースが広くなる。

 イグニッションボタンを押すと、スタート準備完了。セレクターをDにシフトし、アクセルペダルを軽く踏みこむと、2.7トンの巨体は静かに、しかし力強く動き出す。モーターでの走行はEV/HV/ホールドの3パターンを切り換える事ができる。基本はEVドライブ。試乗車は100%充電状態だったので、走行可能距離は約50km。ドライビングなどの設定はB(ベントレー)モード(ベントレーのテストドライバーが「一般走行ではこのモードに合わせておけば、このモデルの乗り味を充分堪能できる」と設定した運転モード)から。操舵力はやや重め。乗り心地は硬めだがゴツゴツとした振動にカドはなかった。

 スポーツモードに切り替える。EVモードでの走行は続く。音もなく、巨体は加速する。高速道路に入り、さらに加速をしようとアクセルペダルを踏みこむと、ペダルに抵抗が加わるポイントがある。そこでエンジンが始動する。

 エンジンが始動してからのベンテイガPHEVも、魅力的なクルマだ。その走りの楽しさは、V6エンジンのバランスのよさだ。V8モデルよりもフロントが軽いぶん、動きに軽快感がある。全体のバランスがよいのだ。これまでベンテイガは、「V8モデル」、「スピードモデル」を試乗してきたが、このPHEVが一番乗りやすく、走りの楽しさを感じた。しかもモーターで走行すれば、排ガスも出さず、V6エンジンでの燃費も良かった。

 もちろん動力性能は0→100km/hを6秒で走りきった俊足SUVだし(カタログ値は5.5秒)、最高速も254km/hを公表しているスーパーラグジュアリーSUVというポジショニングは変わらない。

 大柄なSUVが軽く感じる。個人的にはベストベンテイガは、このPHEVだ。

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