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イギリスのエリザベス女王の国葬が19日、ロンドン・ウェストミンスター寺院で行われた。イギリスの国葬は1965年のチャーチル元首相以来、57年ぶり。同寺院で君主の葬儀が行われるのは、1760年のジョージ2世以来、262年ぶり。

ウェストミンスター寺院に運び込まれるエリザベス女王の棺(ロイヤルファミリー公式ツイッターより)

BBCによると、同日午前10時44分(日本時間・午後6時44分)、女王の棺が安置されていたウェストミンスター宮殿から運び出され、8分後に寺院に到着。棺は海軍の砲車に載せられ、142人の海軍兵が砲車を引く儀式が行われた。長男のチャールズ3世やウィリアム皇太子らロイヤルファミリーが棺に続く形で寺院に入った。

国葬は、アメリカのバイデン大統領やフランスのマクロン大統領などの各国首脳や、日本の天皇・皇后両陛下も参列する中、同11時(同・午後7時)に開始。カンタベリー大司教が説教を行い、トラス首相らが聖書を読み上げた。また1947年の女王の結婚式でも使われた「主はわが羊飼い」など、ゆかりの楽曲も演奏、女王を在りし日を悼みながらも、荘厳な葬儀の様子が全世界へ中継された。ロイヤルファミリーの公式ツイッターも随時、画像や動画を投稿した。

日本でも国葬の様子はNHKやBBCの中継で伝えられ、ツイッターでは

まさに国を挙げて行われてて感動

重厚感があり、エリザベス女王の偉大さを讃えているのがビシビシ伝わってくる

気高く威厳ある美しい式典で、偉大なる英国そしてエリザベス女王に敬意を表します。

などの賛辞が続々と投稿された。

大国としてのイギリスの存在感を見せた国葬にはクリエイターも反応。電通のクリエーティブ・ディレクター。コピーライターの橋口幸生氏は「英エリザベス女王の国葬、ただただ圧倒される(真上から撮った十字形のウェストミンスター寺院のカッコよさよ…)。女王の治世への評価はどうあれ、この美しさや芸術性、荘厳さには抗いがたい」と惜しみない賛辞を送った。さらに「世界中がこれを見てイギリスの凄さを再認識するだろう。クリエイティビティは国力であることが良くわかる」とも指摘した。

『ミカドの肖像』や『天皇の影法師』など皇室にまつわる代表作がある、作家の猪瀬直樹氏(参院議員、元東京都知事)は国家と国葬の意義について再確認。「あらためて国家とは、単なる行政と実務のみではなく幻想の共同体として、歴史空間のなかで成立しており、そのための儀礼が不可欠であることを物語っています。国葬とはそういうものを指します」との持論を述べた上で、『天皇の影法師』の一説を紐解きながら「王(女王であれ、天皇であれ)の葬送の列はあらゆる時代の様式が混在している。そのありさまは大正天皇崩御で登場した柩を担ぐ八瀬童子の装束にも現れていました」と解説していた。