まもなくFIFAワールドカップカタール2022が開催される(日本時間では11月21日午前1時)が、その期間中にTwitterに大規模な障害が発生し、オフラインになる可能性が50%あるとの予想が報じられている。
英メディアThe Guardianは、Twitter元社員の予想を伝えている。この人物はTwitterのコマンドセンター(トラフィックの急増やデータセンターの停止などの問題を監視するトラブル解決チーム)の仕組みを知っているそうだ。
その原因とされるのは、ツイッター社内での準備の欠如と人手不足である。実業家のイーロン・マスク氏は同社の買収を完了させて以来、CEOやCFOほか複数幹部を解雇したのを皮切りに、従業員の大規模リストラに着手。さらに「ハードコアに働くか、さもなくばクビ」と宣告したところ、新たに1200人の正社員が退職したとの報道もあった。
元社員は、ワールドカップの期間中に何らかの事故が起こることはほぼ確実と示唆し、ユーザーが気づく形で問題が発生する可能性は90%と推定している。そして全期間を通じて、Twitterがオンラインを維持し続けられる可能性は50%以下とのことだ。
特にキックオフ時(試合開始の瞬間)にトラフィックの激増に悩まされる可能性が高く、クラッシュするかもしれないという。「運が良ければ、最小限の混乱で回復するだろう」ということで、ごく短時間であれ、サーバーが落ちることはほぼ確実と見られている。
マスク氏による解雇の対象となった従業員(正社員および契約社員)には、トラフィック関連のトラブルに対処するコマンドセンターのスタッフも含まれているとのこと。このチームは元々小規模だが、その3分の1がここ数週間で離脱した可能性があるとの見方もある。
急激に人手が減ったとしても、Twitterのサーバーなど物理的なインフラは健在である。なぜトラフィック急増に耐えられない可能性が高いかと言えば、元社員は準備不足のためだと語っている。ワールドカップなど大規模なイベントでは、突然のファインプレーや論争が起こった場合、突如として急増するトラフィックの影響を吸収する体制を整える必要がある、というわけだ。
しかし、マスク氏がTwitterのソースコードを凍結して誰も変更できなくしたことが、準備を妨げているという。ワールドカップ期間中に発生しそうな問題に対してどんな計画を立てているのか、と尋ねられた元社員は「私が知っている限りでは、ない。何週間も前からやっておくべきだったんだ」と語っている。
元ソフトウェアエンジニアのJohn Ioannidis氏も、2014年のワールドカップでの問題に対処した経験を振り返っている。Twitterはその期間を通じてインフラを常に監視し、オンラインを維持できるようにしたそうだ。実際2010年のワールドカップでは、たびたびクジラ(トラフィックが集中してサーバーが重くなると発生)を目にしたことを覚えている人も少なくないはずだ。
おりしもマスク氏は「日曜日にワールドカップ初戦! 最高の報道とリアルタイムの解説は、Twitterでご覧下さい」とツイートしている。もしも「Twitter社内で何の準備もしていない」ことが本当であれば、どのような思いでつぶやいたのか、興味深いところではある。
- Source:The Guardian