NASAと日本政府が、NASAの月面探査計画「アルテミス」の月周回有人拠点となる宇宙ステーション「ゲートウェイ」で協力していく実施協定に署名した。
この協定は、2020年12月に両国間で締結した覚え書きにおける協力内容を具体的に記したものだ。
日本はゲートウェイの生命維持能力の中心となる国際居住モジュール(I-HAB)へ環境制御システム(ECLSS)、熱制御システム、カメラなどを提供し、クルーが生活、研究、アルテミスミッション中の生活や月面活動の準備をするためのスペースを提供する。
さらにゲートウェイを訪れる宇宙飛行士の初期クルーキャビンである居住・補給アウトポスト(HALO)モジュール、欧州の補給インフラ・通信システム(ESPRIT)モジュールにバッテリー設備を供給することになっている。
また日本は、2030年以降に予定されているゲートウェイへの物資補給ミッションのために、JAXAのHTV-XG宇宙船を打ち上げ・運搬することを予定している。
一方NASAは、日本人宇宙飛行士をゲートウェイのクルーとしてに搭乗させることなどが取り決められている。これはもちろん、日本人飛行士が将来Orion宇宙船に搭乗し、はじめて地球低軌道より遠くへ進出する機会を提供することになる。
NASAは、ゲートウェイはアルテミス計画にとって不可欠な要素であり、日本の貢献が月近傍での人類の長期滞在可能にすると述べている。ゲートウェイは、月から深宇宙に向けた持続的な探査と研究のための多くの機能を提供し、将来的に火星探査を支援する技術と能力を開発するための重要なプラットフォームとなる予定だ。
なお、ゲートウェイに関する協定とともに、NASAと日本政府は国際宇宙ステーション (ISS)の運用でも2030年まで協力を延長することを正式に表明している。日本はISSの実験棟「きぼう」で宇宙環境における多くの実績を築いてきており、今後もその関係を継続していく。