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Zもフェラーリも思いのまま! 妄想は最高のエンタメだ!! おっさんのクルマ妄想購入記【後編】

 これまで私は50数台のクルマを買ってきた。欲しいクルマが現われると矢も楯もたまらず現物に突進してきた。その結果が50数台。しかもそのうちフェラーリが13台、ランボルギーニが2台だ。我ながら「よくがんばったぞ、お前!」と声をかけたくなる。

 しかしさすがに年も年。収入は減る一方だし、120回ローンなんて怖くて組めやしない。そんなに現物を買っていられない。

 しかも世の中半導体不足やら人手不足やら原材料高やら円安やら気候変動やらで、新車の供給が追い付かず、買いたくても買えないクルマが出始めている。納車待ちも信じられないほど長くなり、その影響で中古車相場もドンと上がった。もう勢いまかせで後先考えずにクルマを買える時代は終わったようだ。

 しかし我々にはイマジネーションという武器がある。自由で強力な妄想力を駆使すれば、買わなくたって満足できる! さあ飛び立とう、妄想の翼でクルマ好きの天国へ!

※本稿は2022年8月のものです
文/清水草一、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年9月26日号

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■日産 新型フェアレディZ

●初代S30が現代に甦った! NEW『悪魔のZ』で湾岸を疾走だ!!

 新たな伝説がここからはじまる。新型フェアレディZ登場─。

 うおおおお! ミッドナイトブルーの新型Z、カッコイ~! これはS30の再来だ! つまり悪魔のZだ! よし、新型Zを買おう!

 え、すでに受注停止? 納車4年待ち!? マジで!?

 いや、これは妄想する企画だ。妄想だから現実は考えなくてイイ! さすがに欲しいグレードくらいは決めたいが、そこから先、細かいことを考えるのはやめよう! 妄想はタダなのだ!

日産 新型フェアレディZ

 では新型Zを買って何をするか? 決まってる。首都高湾岸線を走るのだ。漫画『湾岸ミッドナイト』のアキオのように! 当時の最高速トライは、ひたすら千葉方面で行われていた。なぜなら、まだ横浜方面がなかったからだ。よって、ひたすら湾岸線千葉方面を突っ走る! そして市川PAで缶コーヒーを飲む!

 あるいは、首都高都心環状線内回りの「赤坂ストレート」。霞のトンネルを出て、アキオたちが時速300キロを目指した短いストレート……。新型Zを買ったら、そういった「聖地巡礼」をひたすら重ねる! 危なくない速度で! おっさんには未来はないが、昔の思い入れだけは山ほどあるのだ!

 俺には、新型Zに搭載されたVR30DDTTが、悪魔のZのL型改ターボの生まれ変わりに思えてならない。まだ乗ったこともないが……。

●支払いシミュレーション…なにしろ新型Zは受注停止。支払いもクソもない。できるのは、グレードを決めておくことだけだ。買うのはもちろん6MT。悪魔のZがATだったら気分が出ない。で、6MTには3つのグレードがある。

◆バージョンST…646万2500円
◆バージョンS…606万2300円
◆ベースグレード…524万1500円

 上と下とでは120万円も差があるが、装備の違いは意外とシンプル。グレードによって異なる走りの装備は、タイヤサイズ(18インチと19インチ)と、それに伴うブレーキ(19インチは前後とも対向ピストンのアルミキャリパー)、そしてメカニカルLSDの有無のみ。ベースグレードは全部ナシ! バージョンSより上なら全部付く。よし、バージョンSで決まりだ!

■ホンダ N-ONE RS(6MT)VS スズキ 先代アルトワークス(5MT/中古)

●「正統派」と「じゃじゃ馬」の間で中高年の心は揺れ動く……

 先日、自慢の軽トラ(1990年式ハイゼットジャンボ)がゲリラ豪雨で水没、廃車になった。

 古いMTの軽トラの運転は刺激的だったが、荷台に乗せるもののないライフスタイルのため、車内は狭いばっかりで、フェラーリが1台増えたような感じ。近々手放そうと思っていた矢先の出来事だった。

 やっぱり自分の生活には普通の4人乗り軽がいいかもしれない。運転の刺激を求めるなら、ターボのMTを買えばいい。

 となると候補は、現行モデルならNONE-RS(6MT)。中古なら先代アルトワークス(FFの5MT)以外にない!

N-ONE RS 6MTは、ホンダからカーマニアへの贈り物

 この2台は、一見似たようなキャラクターに見えるが、乗るとまったく違う。NONE-RSはあくまでカッチリ作られたスポーツモデルで、シャシーがしっかりしすぎている分、あまり刺激はない。

 しかし先代アルトワークスは、シャシーのデキがそれほどでもないし、なによりも非常に軽い。車両重量はなんと、わずか670kg! 古い軽トラ並みだ。

スズキ アルトワークスは生産終了。絶版となってしまった。涙

 対するNONE-RSは860kg。さすがにN-BOXクラスよりはだいぶ軽いが、アルトに比べると断然重い。馬力はともに64馬力。それで重さが200kg以上違えば、まったく別のクルマにもなろうというものだ。

 なによりも刺激を求める私としては、答えは簡単。先代アルトワークスだ。今ならまだ新古車も存在する! 定価より少し高いけど! ヤベ! 妄想なのに現実的に考えちゃったよ!

●支払いシミュレーション

 まずは価格をおさらいしよう。

◆NONE-RS…199万9800円

 これにフロアマットやスタンダードナビを付けて、総額226万円強。頭金諸費用のみの残価設定60回ローンで、月々3万2100円と出た。

 しかし、すべてがしっかりしたNONE-RSを、こんな堅実なローンで買うのは、人生石橋を叩いて渡るようだ。やっぱりじゃじゃ馬アルトワークスの中古で行ってみよう!

 本文にも書いたが、先代アルトワークスには、数は少ないが新古車がある。つまりまだ新車同士を比較検討できるのだが、価格は200万円強。なんとNONE-RSの新車より若干高くなってしまう。それでもアルトワークスに心が動く。ちなみにそこそこの程度の中古車なら、100万円強でイケる。よし、それだ!

■フェラーリF40 (中古)

●男の夢の終着駅 赤い狂獣を買ってみよう!?

 妄想するだけならもれなくタダ! せっかくなので、最後に思い切りデカい妄想をしてみよう。男の夢の終着駅・フェラーリF40だ!

赤い狂獣の異名を取るフェラーリF40

 中古フェラーリ専門店『コーナーストーンズ』の榎本修代表(エノテン)に聞いてみた。

清水「店長! いまF40を買うには、いくら用意すればいいですか?」

榎本「F40にもいろいろありますが、程度がイマイチのいじくりもので2億円、パリッとしたノーマルですと3億円くらいです」

清水「えっ、3億円なの? バブル全盛期でも、確か最高で2億6000万円だったよねぇ?」

榎本「実は最近、それを超えました」

清水「い、いつのまに?」

榎本「今年に入ってからです。しかも、流通台数が少なすぎて、モノを選べません。F40が欲しいなら、どんな状態であってもすべてを受け入れてとりあえず購入し、そこから手を入れていくくらいの覚悟が必要です」

清水「3億円持ってないんだけど、ローンは組めますか?」

榎本「オートローンの限度額は、近年、モノによっては1億円までオッケーになりました。頭金を2億円ほどご用意いただければ、頑張って探しますよウフフフフ~!」

 そこまで聞いて、さすがに夢も醒めた。地道に生きることにします! 敬礼!

●フェラーリ458イタリア(中古)で手を打とう!

 F40にはどうやっても手の届かないことを思い知ると、俄然、458が輝いて見える。お値段は2800万円前後で、値上がり傾向にある。最後のV8自然吸気、最後のピニンファリーナデザインで、この価格はお買い得だ!

かつて愛車だった458。乗ってみると、F40より速かったりする(跳ねているのは筆者です)

■結論!

 カーマニアの最大の楽しみはクルマを妄想で買うことかもしれない! しかも妄想を現実的に考えて、支払いシミュレーションまでやってみると、ほとんど買ったような気分になれる! それだけで満足できるのだ! 妄想しないのはソンソン! 妄想するだけならタダだから、無限に妄想を膨らませよう! さあ次に買うのは何だ!? もちろん妄想で!

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