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Image:Golden Dayz/ Shutterstock.com

米国政府は、「世界最大の電子書籍図書館」を名乗る海賊版サイト「Z-Library」を運営していたロシア人2人を著作権侵害/電信詐欺/マネーロンダリングの罪で逮捕・起訴したことを発表した。このZ-Libraryは2009年から存在しており、今月初めに米国政府によりサイトを閉鎖されている。

米司法省によると、アントン・ナポルスキー(Anton Napolsky)とヴァレリア・エルマコヴァ(Valeria Ermakova)は今月3日、米政府の要請によりアルゼンチンで逮捕されたとのこと。それに伴い米政府は、Z-Libraryを支える「相互に関連する約249のウェブドメインからなる複雑なネットワーク」を応酬したと述べているが、一部のユーザーはまだダークウェブで約1100万冊のライブラリにアクセスできるようだ。

FBIの担当補佐官であるマイケル・ドリスコル(Michael Driscoll)氏によれば、被告らは「著作権法に違反し、盗んだ知的財産の提供を主な目的とするウェブサイトを10年以上運営してきた」と考えられるとのこと。ただし、今回の起訴状は2018年から2022年までの犯罪行為にのみ焦点を絞っているそうだ。

Z-Libraryでは、学術論文を含む膨大な数の海賊版電子書籍が無料でダウンロードできた。同サイトは長年にわたり、高価な大学の教科書を買えない学生が利用してきたという。

逆にいえば、なぜ10年近く放置されてきた海賊版サイトが摘発されたのか。その理由は、最近にわかにTikTokで「#zlibrary」のハッシュタグが大流行し始めたからだと伝えられている。

このハッシュタグは1900万ビューを記録しているとして、著作権団体The Authors Guildが米国通商代表部に声明を提出していたのだ。その中でロマンス小説作家のサリナ・ボウウェン氏は「Z-Libraryは私たちを殺している」「朝に発売した本が昼にはZ-Libraryにアップされている」と訴えていた。

また同声明では、別の海賊版電子書籍サイトLibgenにも言及があり、両サイトとも執筆コミュニティに「計り知れない、真に破壊的な」影響を及ぼしていると主張している。日本でも海賊版サイト「漫画村」の運営者らが逮捕されていたが、著作権侵害との戦いは国境を越えて果てしなく続いているようだ。