今さら解説する必要もないが、この新たな消費行動は、購入によって所有するというこれまでの形から、毎月の定額会員費の引き落としと引き換えに、利用したいときにだけ好きなだけ利用するという形へ、という言葉で表現できる。サブスクによって提供されるばく大なサービス・コンテンツ量は魅力的で、多くの支持を集めている理由の一つでもあるだろう。
消費概念そのものを変えてしまったサブスクだが、映像や音楽といった領域だけでなく、昨今はファッションでも登場している。ファッション業界では、原料高や円安といった悪材料による商品の値上げが進む。そんな中、今回はファッションのサブスク普及の可能性について、7月に東証グロース市場への上場を果たしたエアークローゼットを基に考えてみたい。
エアークローゼットは、国内在住の女性に対して、好みに合わせた洋服を選定し、指定先まで配送するレンタルサービス「airCloset」を提供している。
創業は14年で、翌15年にairCloset事業を開始した。その後、18年にトーマツが発表した「デロイト 日本テクノロジー Fast50」において、急成長企業ランキング1位を獲得。コロナ禍でも順調に数字を伸ばし、22年6月期の売上高は前期比17.4%増の33億9000万円に成長している。
airClosetの基本サービスは「(1)ライトプラン(月額7800円)」「(2)レギュラープラン(月額1万800円)」「(3)ライトプラス(月額1万3800円)」の3コースから選べる。ライトプラン・ライトプラスは、届いたアイテムの交換回数に限りがあり、それぞれ月に1回3/5着が届く。レギュラープランはアイテムの交換回数に制限がなく、月に1回3着が届く仕組み。月額会員数は22年6月末時点で3万2204人であり、利用期間が半年超のロイヤル会員が58%を占めているという。
事業収益の柱は、会員からの月額料金と、気に入ったレンタル商品の購入によって生じる売り上げの2つ。後者の販売率は、期間中の配送着数に対して約6%であり、売り上げは総売上全体の約13%を占めている。
売り上げこそ好調に推移しているように見えるが、18年以降、経常利益がプラスだった年は21年の一度だけで、毎年純損失を計上している。22年の経常利益は6774万円の赤字(営業利益は5177万円の赤字)だった。
airClosetでは、1人当たりの限界利益を年次で出している。売上高から、売上原価および販売費、一般管理費に含まれる変動費を引いた額に年次平均会員数を割り返して算出。22年の1人当たりの限界利益は6万3154円で、ライトプラスプランで5カ月、レギュラープランの場合6カ月、ライトプランで9カ月は継続してもらえないと利益が生まれない構造になっている。
月額会員の退会率の詳細は分からないものの、同社によると、登録当初から約3カ月を境に緩やかになっているとのこと。月額会員の平均顧客単価が「8909円/月(22年6月期実績)」ということから想像するに、ユーザーはお試しの感覚で手ごろなプランに申し込み、意に沿わなければ3カ月以内に退会しているのが、現況なのであろう。
airClosetを利用した人たちの口コミを見てみると、「ファッションのサブスク」という新奇性への期待値の高さに必ずしも応えられていないようだ。そもそもファッションのサブスクそのものを体験した人が少なく、どのくらいの満足度が得られて、お得なのかさえ、なかなか見えてこないのも課題だ。
ファッション自体、いつ・何処で着るというオケージョンや、都心や郊外といった居住ロケーションに個人の好みがついてくるもの。個人のこだわり度合も千差万別なことから、ユーザーが事前に細かく自分の好みなどを伝えないと、決して「お好みの洋服が安価に自動的に送られてくる」サービスは実現できない点は、企業にとってなかなか難しい問題だ。
セレクションへの信頼感を醸成するのも一つの手であり、airClosetではスタイリストからのアドバイスやセレクション・サービス機能もあるようだが、期待値のハードルを上げたことにより、送られてきた商品とのギャップによって、かえって満足度を毀損(きそん)してしまうことも考えられる。
※以下リンク先で
ITmedia ビジネスオンライン2022年11月21日 06時00分
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2211/21/news028.html
引用元: ・【アパレル】なぜ、環境にも財布にも優しいのに「服のサブスク」は広がらないのか [七波羅探題★]
最初は新しいだろうけど
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