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玉鈴が黒目がちの瞳を仲麻呂に向けた。「明日でお別れという時になって、そのことが心残りになってきたのです。そこでお互いを知るために、生涯の秘密をひとつずつ打ち明けることにしませんか」「それは個人的なことで構わないのでしょうか」仲麻呂は慎重だった。帰国の船が港を出るまでは、警戒を解く…