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絶滅寸前のベージュ内装!! 今やアルファードとマツダくらいと激減のワケ

 かつて黒基調のほか、ベージュなど明るめの内装色など選択肢が豊富であった。コンパクトカーやファミリー向けのミニバンなどにもラインアップされていたが、今やアルファードやマツダの各モデル程度と、採用例が非常に少なくなってしまった……。

 ざっくりいえば高級車に多く、お手頃価格のモデルはめっきり見かけなくなっている、汚れが目立つといった理由もあるだろうが、ほかにどんなワケがあるのか!?

文/小鮒康一、写真/TOYOTA、MAZDA、HONDA、ベストカー編集部

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■選択肢少なっ!! フツーに買える内装色は暗めばかりに

2022年8月に登場した3代目(現行型)トヨタ シエンタの内装。写真の内装色はカーキ

 クルマを購入するとき、当然ながらもっとも優先するのは車種ということになるが、車種とグレードが決まったら非常に悩ましいのがボディカラー、つまり外装色ではないだろうか?

 確かに日常的に乗るクルマなのだから、気に入ったボディカラーを選びたいというのは当然のこと。しかし、そんな外装色とは異なり意外と優先順位が低くなりがちなのが内装色ではないだろうか。

 一度クルマに乗ってしまえばほぼ見えなくなる外装色よりも目に入る時間が多いと言っても過言ではない内装色ではあるが、ボディカラーのように多くの選択肢を持つ車種はそこまで多くないのが現状だ。

 そんな内装色の中にあって、最近特に減少しているのがベージュやホワイトといった明るい系の内装色だろう。

 明るい系の内装色には室内空間を広く明るく見せてくれる効果もあり、もともと車両が大きくないコンパクトカーや軽自動車、ミニバンといった車種にはもってこいのカラーではある。

 だが、一部の車両ではインパネやドアパネルにはベージュやホワイト系のカラーを使いながらもシートはライトグレー系止まりの車種がほとんどで、すべてが明るい系のカラーで統一されているのは一部の高級車や輸入車に限られているのだ。

■さすがデザインのマツダ!! ほぼ全車種にホワイト内装を設定中

マツダ CX-8の内装(ピュアホワイト)。ダッシュボード上面のブラックとのコントラストが映える

 その一方で多くの車種にホワイト系の内装色を設定しているのがマツダだ。

 多くの車種、とはいうものの実は現在のマツダのカタログモデルのラインナップの中でホワイト系の内装色を持たないのはMAZDA3ファストバックのみ(MAZDA3セダンには設定あり)。

 それ以外ではコンパクトカーのMAZDA2やスポーツモデルのロードスターシリーズなどすべてにホワイト系の内装色を設定している(OEM車を除く)。

 そんなマツダに明るい系の内装色を積極的に取り入れている理由を聞いてみると、以下のような返答が返ってきた。

 「ピュアホワイトの内装色は、ブラックとの強いコントラストによって、スポーティかつ上質なインテリア空間を表現する時に使用しております。また、グレージュの内装色は、広くグローバル市場で受け入れられるスタンダードな内装色として使用しております。

 いずれの内装色も車種横断的に使用しておりますが、各車種の個性やイメージに相応しい表現を吟味して設定しております」

 確かに現在のマツダ車の内装を見てみると、車種によってホワイト一色のシートであったり、ブラックとホワイトのコントラストを持たせたシートとなっていたりと、微妙に組み合わせを変えているというのも特徴だ。

 このあたりは魂動デザインも含め、近年デザインにおいて高い評価を集めているマツダらしい考え方に基づいて、ホワイト系を含めさまざまなインテリアカラーを設定しているというワケだ。

 もしかすると内装を見られる機会の多い、オープンカーであるロードスターを長年手掛けているというのも、内装へのこだわりが色濃く出ている理由のひとつなのかもしれない。

■そもそも人気ない!? それに汚れも……明るい内装色が絶滅危機のワケ

トヨタ ノア内装。写真の内装色は一部グレードで選択できる「フロマージュ」

 マツダのように明るい系の内装色を積極的に採り入れているメーカーもある一方で、他社はやはりコンパクトカーやミニバンといった量販車種にそういった内装色を設定するケースはそこまで多くない。

 その理由として一番大きなものは、やはり「選ばれにくい」という根本的な理由があるのだろう。例えばミニバンの代表格、新型ノアには「フロマージュ」と呼ばれる比較的明るい系のシート表皮を持つ内装色が存在している。

 だが、これを選択するにはわざわざ指定しなければならず、標準はあくまでブラックとなっている。

 またコンパクトカーやミニバンにおいては内装の使い勝手も重要な要素となっており、デザイン性の高い内装とすることのハードルが高いことやコストも潤沢にかけることができないという内情もあることだろう。

 とはいえ、明るい系の内装色への潜在的な需要は決して低くないと筆者は考えている。ただ、子どもが乗ることの多いミニバンなどでは汚れが目立ちやすいという点や、汚れたときに黒系の内装色に比べてみすぼらしくなりがちというデメリットが、明るい内装色を選ぶ心理的な障壁となっているのではないだろうか。

 しかし現在では、テリヤキマヨネーズソースをこぼしてもシミになりづらくお手入れしやすいという特徴を持った「ファブテクト」を採用したステップワゴンを代表とするホンダ車など、汚れが付きにくい素材も開発されているので、次の愛車を検討する際はぜひ明るい系の内装色を選んでみてはいかがだろうか。

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