今回の乗りバスレポートは、都県を跨ぐ京成タウンバスの新小52系統だ。以前は長距離路線だったが、現在は区間利用が多く、地域の人にも利用価値のある路線だ。新小岩駅東北広場から市川駅まで、移り行く沿線風景をレポートする。
文/写真:小野寺利右
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
都外に出る民鉄系のバス路線
今回は、東京都から都外に向かうバス路線だ。東京都の隣接県は、千葉県、埼玉県、神奈川県である。その中の千葉県に向かう京成タウンバスの「新小52系統」市川駅行きに乗車した。
この新小52系統は古くは新小岩と市川双方から、上野や浅草方面に足を伸ばしていた。当時は都営バスも共同運行していた。平成に入り上野浅草方面を打ち切り、現在の新小岩と市川を結ぶ路線となり現在に至る。打ち切り前は毎時3本程度はあったようだ。
新小岩東北広場とは
乗車したのは新小岩東北広場から。この新小岩東北広場とは新小岩地区の街づくりの一環として計画され実現した。元々新小岩駅北口にはバスターミナルはなく、南口に集中していた。
新小岩東北広場を発着する路線は、主に葛飾区北部に向かう路線が使用している。すぐそばの蔵前橋通りを都営バスは、ここには入らない。乗車したバスは、京成タウンバス奥戸営業所のいすゞエルガミオで、社番はT047だ。
新小岩地域と四ツ木周辺
バスは出発すると、広場を大回りして、蔵前橋通りに出て西に進む。途中に都営バスの巽橋停留所があるが、ここには止まらずに平和橋通りとの交差点を右折した所に停留所がある。そして平和橋通りに入り北に進む。
この区間は南口ターミナルから出てきた京成バス系列の綾瀬や亀有方面のバスとも並走する。中関橋、東上平井停留所に止まり、次の信号の上平井消防出張所前を左に曲がり、上平井橋を目指す。
曲がった通りは古い商店街のようになっていて、道路はなかなか狭い。しばらく進むと有名なキャラクターが施された停留所が見えてくる。このキャラクターはモンチッチで、この近くに本社がありそれに因んで公園があるようだ。公園の様子は別稿でレポートすることにして、先を急ぐ。
上平井橋で中川を渡り、綾瀬川沿いの首都高速下の道路を走る。次の停留所は木下川薬師停留所で、ここも有名なスポットだ。木下川薬師は、天台宗の寺院で、都内でも由緒あり葛飾区内でも4番目に古く、徳川家の祈願所としても有名だ。
この付近の新小岩方面は一段下がった側道上に停留所がある。以前は本線上にあったようだが、周りに道がないので利便性を考慮し付け替えたと思われる。そのまま進むと木根川橋を右に見ながら京成押上線のガードを潜って、右に曲がると四ツ木駅停留所に着く。
この周辺は漫画キャラクターの聖地のようだ。その漫画はキャプテン翼で、作者がこの四ツ木出身なので、主人公などの銅像が公園にあるようだ。
奥戸街道をひたすら進む
四ツ木駅を過ぎ、線路沿いの通りを進み、再び平和橋通りに出て京成押上線の踏切を渡る。渡って直ぐ左折すると奥戸街道だ。この付近は葛飾区立石で、安く飲める居酒屋などがある下町の風情を残した地域だ。本奥戸橋で中川を再び渡ると葛飾区奥戸になる。
橋を渡って直ぐ右に見えてくるのが京成バスの奥戸営業所だ。ここは高速バス中心の営業所で(一部コミュニティバスあり)23区東部の空港バスなどはここが本拠地だ。停留所名は奥戸車庫。次の停留所が京成タウンバスの車庫で、こちらは進行方向右側にある。タウンバス車庫の出入り系統は多い。
奥戸街道から蔵前橋通りへ
奥戸地域から、環七通りをクロスして新中川を渡り、葛飾区から江戸川区小岩地域に入る。奥戸街道は六軒島信号で蔵前橋通りと合流する。そして小岩駅北口停留所に着く。駅から離れてはいるが、JR総武緩行線に乗るのは便利だ。まだまだ蔵前橋通りを走り市川橋を目指す。
JR総武線でもこの区間は少し時間がかかるように感じるがバスも同様だ。市川橋まで、柴又新道・小岩警察署入口・江戸川駅通りと三つ停留所ある。柴又新道停留所は柴又街道との交差点で、柴又街道を南北に走る京成バス小55系統、小岩金町線と乗り換え可能だ。
いよいよ千葉県へ
三つの停留所を過ぎると、いよいよ市川橋を渡り千葉県に入る。橋の手前で、千葉街道と合流し国道14号線に名前を変える。橋を渡り大きい交差点を過ぎた所に市川広小路停留所があり、交差点名も同じである。
次は終点の市川駅で、市川駅入口交差点を右に曲がると市川駅北口ターミナルに入り終点だ。実際に千葉県の区間は橋を渡るとすぐで距離は短い。その間には停留所は1つだけだ。新小52系統は市川駅から乗車すると千葉県内の運賃は170円である。とはいえ170円なのは1停留所だけだ。
乗車したのは日曜日の午前中だったが、区間利用は多かった。この系統の運転間隔は日中は概ね30分に1本と首都圏では決して多いほうではない。これくらいの間隔だと乗車する沿線の人はバスのダイヤに合わせている印象だった。
都県を跨ぐ貴重でもあり利用価値の高いこの路線、本数は多くないが残って欲しいものだ。
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