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新型発売目前!! でも経済性を重視するならプリウスは中古車でいいんじゃないの?

 ハイブリッド車はピュアガソリン車と比べると、優れた燃費性能などにより新車価格は高いものの、中古車となると価格差が縮まりバリュー感は高くなる。

 まもなくハイブリッド車のパイオニアである、トヨタプリウスがフルモデルチェンジを予定しているが、その前にプリウスの足跡と最新の中古車事情をチェックしてみたい。

文/萩原文博、写真/トヨタ、ベストカーWeb編集部

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■今年で発売25年を迎えるトヨタ プリウス

1997年12月に登場した初代トヨタ プリウス。手塚治虫の漫画キャラクターが多数登場したテレビCMが未来の到来を感じさせた

 約25年前の1997年12月に、「21世紀に間に合いました」をキャッチコピーとして、世界初の量産ハイブリッド自動車である初代プリウスが登場した。

 初代プリウスは当時流行していたやや車高を高くした5ナンバーサイズの4ドアセダンのボディに、1.5Lガソリンエンジン+モーターのハイブリッドシステムを搭載。10・15モードながら28.0km/Lという優れた燃費性能を実現し、高い環境性能を発揮した。

 2000年のマイナーチェンジで、ハイブリッドシステム用バッテリーが変更され、燃費性能も最終的には31.0km/Lまで伸ばしている。

 2003年~2011年まで販売された2代目プリウスは、初代の4ドアセダンから空力特性に優れた5ドアハッチバックへと外観デザインを変更。このスタイルは現行型でも継承されている。また、室内空間の拡大や走行性能を向上させるため、全幅は1,725mmと拡大され、3ナンバーサイズへと拡大された。

 搭載されたハイブリッドシステムは1.5Lガソリンエンジン+モーターと字面は変わらないが、THS-IIへと進化。10・15モード燃費は35.5km/Lまで向上し、当時4人以上が乗れる市販ハイブリッドカーで世界最高の低燃費を達成している。

 走行性能を向上させるために、横滑り防止装置と電動パワーステアリングを強調制御するS-VSCや駐車する際にハンドル操作を自動化できるインテリジェントパーキングアシストを搭載したのが特徴。ハリウッドのセレブ俳優たちが、アカデミー賞などにこのプリウスで乗りつけたのも話題となった。

 2代目プリウスまで、「ハイブリッド車は車両価格が高い」というのが常識だった。しかし2009年~2015年に販売された3代目プリウスはその常識を覆し、車両本体価格を下げてさらに大ヒットした。

 空力性能を向上させた5ドアハッチバックボディに搭載されたハイブリッドシステムは、約90%以上が新開発となったリダクション機構付THS-IIで、エンジンは高速域の燃費性能を向上させるために、1.8Lへと排気量もアップ。モーターも変更することで、10・15モード燃費で38.0km/L(Lグレード)を達成している。

 2011年のマイナーチェンジで、ボディ補強やサスペンションの設定変更が行われ、走行性能と乗り心地が大幅に向上した。

■現行プリウスはTNGAプラットフォームを採用した4代目

2015年12月に登場した4代目(現行型)トヨタ プリウス。低重心化やリアサスペンションにダブルウィッシュボーンを採用するなど、燃費性能だけでなく走行性能も高めた

 4代目となる現行型プリウスは、トヨタのクルマ構造改革であるTNGAを導入した第一号車として、2015年12月に販売開始。TNGAを採用したことで、従来モデルよりも低重心となったのをはじめ、リアにダブルウィッシュボーンサスペンションを採用するなど、燃費性能だけでなく、走りも磨きをかけた。

 1.8L直4DOHCエンジンと電気モーターを組み合わせたハイブリッドシステムを搭載しているが、最大熱効率を40%に高めたエンジンをはじめ、モーターや駆動用バッテリーなどシステム全体で小型、軽量化を実現し、さらに約20%ロスを低減させたことで、JC08モード燃費で40.8km/L(Eグレード)を達成した。

 また、ハイブリッドのシステムバッテリーもニッケル水素電池からSグレードを除く全グレードはリチウムイオン電池を採用している。

 プリウスの駆動方式は、これまで2WD(FF)車しか設定されていなかった。しかし現行型はE-fourと呼ばれる電気式の4WD車が設定されたのがポイント。

 さらに、安全装備は歩行者検知機能付衝突回避支援型プリクラッシュセーフティ、全車速追従機能付のレーダークルーズをはじめ、4つの先進安全機能をセットにした衝突回避支援パッケージ「トヨタセーフティセンスP」を一部のグレードに標準装備している。

 ほかにも、ITS専用周波数を使用した路車間、車車間通信を活用した運転支援システム「ITSコネクト」を設定するなど先進安全装備を満載している。

 2018年12月にマイナーチェンジを行い、内外装の変更をはじめ、専用車載通信機のDCMを標準装備しコネクティビティ機能の強化。さらに、トヨタセーフティセンスの全車標準化に加えて、機能を追加するなど全方位の安全性を実現している。

■中古車は3代目がタマ数も多くお得感もある

2009年に登場した3代目トヨタ プリウス。歴代プリウスの中古車の中で流通台数が最も多い

 それでは、プリウスの最新中古車事情を見てみよう。

 現在、プリウスの中古車は約7,042台流通している。そのうち初代モデルは1台のみで、後期型が約23万円で販売されている。すでにクルマ世界遺産状態となっているので、手に入れるのは困難だ。ハイブリッドマニアでもない限り、初代を狙う必要はないだろう。

 2003年に登場した2代目プリウスの中古車の流通台数は約97台と減少傾向だ。平均価格は約38.7万円で、中古車の価格帯は約10万〜約85万円とすべて100万円以下で購入可能となっている。

 そして、歴代プリウスの中古車の中で最も多いのが2009年に登場した3代目モデルだ。約3,650台という豊富な流通台数を誇り、平均価格は約76.6万円。中古車の価格帯は約19.8万〜約359万円となっている。200万円以上の価格帯はすべてカスタマイズ済み中古車となっており、ドレスアップ車の人気は健在だ。

 逆に言えば、「ノーマルでよい」という人には200万円以下で圧倒的な経済車が手に入ることになるので一考の価値がある。

 さて、2015年に登場した現行型プリウスはどうか。こちらの中古車は約3,000台流通していて、平均価格は約205.8万円。中古車の価格帯は約97.8万〜約379.8万円となっている。個性的な外観デザインで不人気と言われた前期型のプリウスだが、100万円以下の中古車はわずか3台と値落ちは進んでいない。

 フルモデルチェンジを行えば、旧型となる4代目プリウスの中古車相場に変動が起きるはず。まだ高水準をキープする後期型はもちろん、前期型も値落ちは進むはずだから、現行型については新型の登場を待つのが吉といえそうだ。

 もし新型よりも100万円近く、安い現行型プリウスの中古車を手に入れれば、燃費性能は譲るとしても、100万円分の差額がある。それを燃料代に回せば、環境性能だけでなく財布にも非常に優しい。プリウスのようなハイブリッド車は中古車で購入すると、バリュー感が高くなるのだ。

 中古車でプリウスを購入するとなると、気になるのはハイブリッドシステム用のバッテリーの寿命だ。

 一般的に中古車は走行距離が少ない方がコンディションが良いと言われるが、ハイブリッド車の場合は年式が進んでいる割に極端に走行距離が少ない中古車は敬遠される。それは走行距離が少ないため、ハイブリッドシステム用バッテリーがバッテリー上がりを起こしている可能性があるからだ。

 いっぽうトヨタのメーカー保証では、バッテリーは“特別保証”の対象となっており、新車から5年または10万km走行時点のいずれか早い方となっている。

 またトヨタの認定中古車のハイブリッド車なら、保証期間は初度登録年から10年目、または購入から3年間の長い方で無償保証してくれる(累計走行距離が20万km以下)。普通に乗っている間は心配はないと言えるだろう。

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