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10月22日(土)に開幕したフィギュアスケートの「グランプリシリーズ2022」。

初戦のアメリカ大会女子シングルには、日本の坂本花織が出場する。

The Asahi Shimbun / 寄稿者

昨シーズン開催された北京五輪で、日本女子としては3大会ぶりとなるメダルを獲得し、世界選手権では金メダルに輝いた坂本。

歓喜のシーズンから一転、今季はショートもフリーも振付師を変更し、今までのイメージを一新する“攻めたプログラム”に挑戦している。

10月15日(土)に放送されたCSテレ朝チャンネル2の人気番組『フィギペディア』では、海外で武者修行を積む坂本に密着取材した。

◆単身海外で武者修行

今年7月。新プログラムの振り付け指導を受けるため、カナダ・モントリオールに降り立った坂本。

コーチもマネージャーもいないなか、ひとりで海外にやって来たのはこれが初めてだ。

坂本:「不安90%ぐらい。リンクで『自分がこうしてほしい』というのをちゃんと伝えられるかというのが一番不安」

到着翌日。リンクで待っていたのは、フリーの振り付けを担当するマリー フランス・デュブレイユ氏。

アイスダンスのコーチとしても有名で、北京五輪ではネイサン・チェンやパパダキス&シゼロンらの振り付けを担当した“金メダルメーカー”だ。

マリー:「彼女が女性の振付師に依頼するのはシニアでは初めてのようです。女性的な動きを学びたいのだと思います」

今季のフリーのテーマは“エレガントで明瞭な動き”。

翻訳アプリも駆使し、コミュニケーションをとりながら振り付けを覚えていく。動きに工夫を加えたスピンには、とくに苦戦していた。

坂本:「難しいです。手の位置って結構大事。それだけで重心が変わるから練習しないと。直接点数につながるかはわからないけど、普通のスピンと一味違うというのはジャッジも見て感じるんじゃないかと思います」

練習が終わると、自炊のためスーパーで買い物。この日の献立は、サラダとサーモンの塩焼き、エビとアスパラガスのコンソメ炒めと玉子焼きだ。

坂本:「どうしても炭水化物が好き。ご飯をたくさん食べちゃうから、野菜を考えて採らないと野菜不足になっちゃう」

現地での練習は氷の上だけではない。ダンスコーチと振り付けのブラッシュアップも行う。

そこには、世界女王となってもなお、努力を惜しまない坂本の姿があった。

◆今シーズンのテーマは“変化”

坂本:「昨シーズンは、今後これよりいい成績を残せるのかなというぐらい、自分の中で一番いい成績を残せたシーズンだった。(今シーズンは)逆に初心に帰って、イチから次の4年間を目指すつもりでがんばっていこうと思います」

そんな彼女の今シーズンのテーマは、“変化”。

坂本:「自分のイメージもありつつ、『こういうこともできるんだ』という発見をして、固定観念を崩していけるようなシーズンにしたい。キツイと思うけどあきらめずにがんばりたいです

自らを追い込み、現状維持ではなく「変化」を選択した世界女王。たったひとりで海外に来たのもそんな決意の表れだった。

海外修行の終盤には、コーチから動きを褒められるようになった坂本。“エレガントで明瞭な動き”が身についたようだ。

グランプリシリーズ初戦のアメリカ大会でその成果が見られるのか、注目したい。