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「幸福度ランキング」が高い国ほど国民負担率が高い驚愕の事実
https://gentosha-go.com/articles/-/38107
引用元: ・【正論】有識者「日本の税金は安すぎる。 幸福度を上げるために税金を高くするべき。」 [633829778]
■租税率の見直し
租税率の見直しとは要するに「税金を上げろ」ということです。最近、私はいろいろなところでこの提案をしているのですが、このような提案をすると目を見開いて「コイツの頭は大丈夫か?」といった表情をする人が少なくありません。
おそらくは「これだけ生活が厳しいのにいったい何を言い出すんだ?」ということだと思いますが、モノゴトには必ずウラオモテがあるのですから、少し落ちついて、増税によって「奪われるモノ」だけでなく、「得られるモノ」についてもきちんと衡量してみましょう。
私自身は、ユニバーサル・ベーシック・インカムを導入し、さらに寄付等に代表される贈与のシステムを組み込むことを考えた場合、増税は避けて通れないと考えています。大体からして、現在の日本は税収で歳出を賄うことができない状態、いわゆるプライマリーバランスが恒常的にマイナスの状態が続いており、帳尻を合わすための借金が毎年積み上がっているのですから、現在以上の福祉水準を実現しようとするのであれば増税は絶対に避けられません。
そもそもからして日本の租税率は「低すぎ」ます。多くの人は「日本の税金は高い」と漠然と思っているようですが、日本の国民負担率は諸外国と比較して決して高い水準にあるわけではなく、OECD加盟36カ国のうち、8番目に国民負担率の低い国となっています。
【図1】を見れば、まず「日本の税率はそれほど高いわけではない」ということがわかると思います。
ここ数年、日本の国民負担率は40%台の前半から半ばをフラフラしている状況ですが、先進8カ国と呼ばれる国のうち、日本より負担率が少ない国はアメリカしかありません。一方でヨーロッパ諸国に目を転じてみれば、フランスの68%やフィンランドの63%をはじめとして、日本よりはるかに高い国民負担率の国が数多くあることがわかるでしょう。
日本の負担率でさえ高すぎると思っている人からすると、日本より20%も負担率が高いこうした国では、きっと国民が重税にあえぎながら道端の草を食べるような悲惨で貧しい暮らしを強いられているように思えるもしれません。ところが、これがまったくそうではないのですね。
■幸福度ランキングの高い国の国民負担率
【図2】を見てください。これは横軸に負担率を、縦軸に世界価値観調査の「幸福度ランキングの順位」をとって各国をプロットしたものです。
このようにして俯瞰してみれば、幸福度ランキングの上下と国民負担率の高低にはほとんど関係がないこと、特に幸福度ランキングの高い国はおしなべて国民負担率の高い国であること(幸福度ランキング上位5カ国の平均負担率は58.9%でOECD加盟国の平均負担率50.8%より8.1%ポイント高い)がわかると思います。
一方で、では国民負担率を高めるとどのようにポジティブな効果が期待できるのでしょうか。もちろん、先述したユニバーサル・ベーシック・インカムのような「高福祉」の実現というド真ん中の目的もあるわけですが、私は、国民負担率を高めることで、高原社会の価値基準を組定する上で三つの付加的な効果が期待できると考えています。
一つは高負担率の税制を寄付による税控除の仕組みと組み合わせることで「贈与の文化」を生み出すことができるのではないか、ということです。
これは特に富裕層を対象にしたものとなるかもしれませんが、たとえばフランスでは年収およそ2000万円を超えると(厳密には15万7806ユーロ)、45%の所得税が適用されます。この45%の税金はそのまま国庫に収めることもできるわけですが、仮に何らかの寄付をすれば、寄付した額を所得から差し引いた残金に税率がかけられるので節税になるわけです。
こうなると、自分の稼ぎの半分を政府に取られた上に、共感も納得もしていない用途に消えてしまうのであれば、個人的に応援している団体や個人に贈与したい、と考える人も増えるでしょう。
すでに触れた通り、私たちの社会に残存している問題の多くは、それを解くことで確実に大きな経済的リターンが得られるという類のものではありません。したがって、いわゆる市場原理だけに頼っていたのでは、それらの問題は永遠に解かれることのないまま、社会に残存してしまいます。もし、寄付による贈与の文化が社会に醸成できれば、そのような問題を解決するための資源を経済合理性の枠組みを超えて獲得する人や組織を増やす上で大きなプラスとなってくれるはずです。
【図2】世界幸福度ランキングの順位と税の国民負担率
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