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ロシアの航空会社が政府から、18歳から65歳までのロシア人男性への航空券の販売を停止するよう命じられたという。航空情報専門のニュースサイト「エアーライブ」が21日、速報した。

モスクワの空港に駐機するアエロフロート機(VitalyEdush /iStock)

片道航空券の売り切れ相次ぐ

記事によると、ロシアの航空会社は、国防省からの渡航許可の証拠を提示できない限り、18 歳から 65 歳のロシア人男性への航空券の販売を停止した。モスクワ時間の21日正午には、モスクワからアゼルバイジャン、カザフスタン、ウズベキスタン、キルギスタンへの直行便もウェブサイトに表示されなくなった。

ロシアでは、ここ数日で国外に脱出する人が相次いでいる。プーチン大統領が、ウクライナ侵攻に関して、戦闘継続のために部分的な動員令に署名したことが理由だ。プーチン大統領は21日午前(モスクワ時間)、国営テレビを通じて演説を行い、次のように述べた。

欧米側の目的はロシアを弱体化、分裂させ、究極的には破壊することだ。(ウクライナ東部の)ドンバス地方を解放するために部分的な動員令に署名した。

招集するのは、軍務経験がある予備役に限定される。同日、テレビ出演したショイグ国防相は部分的動員の規模について、30万人と明らかにした。イギリスのシンクタンク「国際戦略研究所」(ISS)の年次報告書によると、ロシア軍の予備役の数は200万人だという。今回、全予備役の15%が召集されるということだ。

ロイターによれば、プーチン大統領が部分的な動員令に署名したと発表した直後からロシアからの片道航空券の価格が急騰し、売り切れとなった。エアセルビアの公式サイトによると、モスクワからベオグラードまでの片道航空券の料金は通常、800ユーロ(約11万円)ほどだが、この日は2000ユーロ(約28万円)以上に急騰したという。ほかの都市への航空料金も同様で、モスクワからイスタンブールも通常料金より2倍以上に急騰している。にもかかわらず、売り切れが続出している。

今回の、18 歳から 65 歳のロシア人男性への航空券の販売停止は、これ以上の国外脱出を防止するための措置とみられる。

ロシア軍の兵士ら(Valery Nutovtsev /iStock)

全土でデモ、拘束者は1400人以上

元アメリカ陸軍士官で、アメリカ欧州・アフリカ陸軍の司令官などを歴任したマーク・ハートリング氏は、ジョーク交じりに次のようにツイートしていた。

過去4日間でロシアからトルコへの航空券の価格が4倍になったことを考えると、これはプーチン大統領が市民のお金を食い物にしないようにしようとしているだけかもしれません。それとも、別の理由でしょうか?

元ブルームバーグ記者で、20年近くにわたってロシアの動向をウォッチしてきたアイルランド人ジャーナリストのジェイソン・コーコラン氏は現在のロシアの状況について、次のようにツイートした。

プーチン大統領の演説からわずか数時間でバクー、トビリシ、イスタンブール、エレバンへの直行便のすべてのチケットが売り切れました。

私の義兄は予備役として、真っ先にプーチンの肉挽き機に動員されるところでした。彼はすでにトルコに逃亡しているのでよかったですが、チケットを求めて奔走している他の人たちは遅すぎたと思います。

21日、ロシア全土で部分的動員令への抗議デモが行われ、時事通信によると、モスクワでも多くの市民が集まり、「戦争反対」「子どもの未来のために」といった声が上がった。これに対し、治安当局はデモの参加者を次々と拘束。ロシアの人権団体「OVDインフォ」によると、拘束者は38都市で1400人以上に上った。