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 ファンのために熱いレースを展開してくれるスーパーGTドライバーたち。SNS等でも散見されますが、所属するチームやメーカーによって差はあれど、多くのドライバーが“繋がり”をもっています。そんなGTドライバーたちの横の繋がりから、お悩みを聞くことでドライバーの知られざる“素の表情”を探りだす企画をお届けしております。今回はR&D SPORTの井口卓人選手(と一緒に相談に乗ってくれた山内英輝選手)から、KONDO Racingのジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手に繋がりました。

 しばしばSNS等でも見られる、気になる2ショット。「へえ、あのドライバーたち、仲良いんだ」とファンの皆さんも驚くこともあるのでは。そんなGTドライバーの繋がりをたどりつつ、ドライバーたちの“素”を探るリレートークがこの企画です。これまでの連載は、まとめページを作りましたのでぜひご参照ください。

スーパーGTドライバー勝手にお悩み相談ショッキングの連載まとめページです。
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 第8戦もてぎで展開されたGT300チャンピオン争い。結果は皆さんご存知のとおりですが、そんなタイトル争いの渦中にあったR&D SPORTの井口選手と山内選手から、「JPの強さは何から生まれているのかということと、何を目標に生きているのか」を知りたいという質問をもらいました。

 そんなタイトル争いのかかった最終戦もてぎでオリベイラ選手に時間をもらい、よりスムーズな取材を行うべく、伊藤ソニアさん(いつも表彰台等で外国人ドライバーの通訳を行っている素敵な女性)を手配……していたのまでは良かったのですが、ソニアさんが週末同行していたVIPのスケジュール変更により、まさかの同行できず。筆者のカタコト英語と、オリベイラ選手に日本語を頑張ってもらうという作戦で、なんとか取材を敢行しました。

 ではいってみましょう。

* * * * *

■モチベーションを保ち続ける秘訣

──JPさん、今日はよろしくお願いします。ホントはソニアさんを呼んでいたんだけど、残念ながらちょっと遅れてしまって。
ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラさん(以下JPさん):あ〜なるほどね。オッケーオッケー。日本語がんばるよ(笑)。

──というわけで、こんなコーナーがありましてね。ひとりのドライバーの悩みを、次のドライバーに相談するというコーナーです。
<翻訳ソフト等使いながらなんとか説明>
JPさん:なるほど。オッケー。

──今回の相談は、井口くんと山内くんから来ました。そもそも、JPさんいま何歳になったんだっけ?
JPさん:41歳だよ。

──もうそんなになるのか〜。ふたりからは、「その年齢でどうしてずっと強さを保っていられるのか?」という質問が来てます。
JPさん:日本語で頑張って答えるよ。……それについては、自分のキャラクターかな。ずっと変わらないよ。F3に乗っている頃からファイティングスピリットは自分でも強いと思ってる。インスピレーションもモチベーションもたくさんあって、それは無くならないんだ。

──モチベーションを保つ秘訣はある?
JPさん:僕のモチベーションは、いつも何かを良くしたい、少しでも良くしたいと考えていることかな。予選でも公式練習でも、『もっと何かできるんじゃないか』と考えていることだよ。いつもステップアップしていきたいし、改善していきたい。何かから『学ぶこと』を止めたことはないんだ。だから、モチベーションの秘訣は『改善を止めないこと』かな。

──そもそも、JPさん日本に来たのはいつだっけ?
JPさん:2004年だね。

──そんなになるか〜。長いねぇ。
JPさん:ホントだね。長い(笑)。

──そのJPさんのスピリットというか、モチベーションはブラジルにいる頃から身につけたものなのかな?
JPさん:ブラジルからヨーロッパに渡って、ずっとひとりで住んでいたんだ。ブラジルのことを思って寂しくなったりもしたけど、ずっと『勝ちたい』という思いで過ごしていたし、プロフェッショナルドライバーとして上に行きたいと思っていたんだ。その気持ちはブラジルにいた頃からずっと変わらないね。

 もちろんこの気持ちは今もずっと変わらないんだ。

2005年にTOM'Sから参戦し全日本F3選手権のチャンピオンを獲得したジョアオ・パオロ・デ・オリベイラと山田淳監督
2005年にTOM’Sから参戦し全日本F3選手権のチャンピオンを獲得したジョアオ・パオロ・デ・オリベイラと山田淳監督

2005年の全日本F3選手権参戦メンバー。中央がジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
2005年の全日本F3選手権参戦メンバー。中央がジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ

■お友だちを紹介してもらいました

──ところでJPさん、何かお悩みごとはない? レースのことでもプライベートでもいいんだけど。
JPさん:レースのことについては何も心配ごとはないよ。僕はこれまですごく力強いキャリアを築いてくることができたし、次のチャレンジもすごく楽しみにしているよ。モータースポーツはいつでもパフォーマンスが最も重要になるけれど、良いパフォーマンスをみせられれば居場所はある。

 もしパフォーマンスが落ちてしまったら、より困難になると思うけど、今のところは自分のパフォーマンスには自信があるから、心配していないよ。

──プライベートではどう?
JPさん:今のところは結婚して、子どもが欲しいけれど、そんなところかな。

──んと、誰かGTドライバーの友人を紹介してもらって、その人に悩みをぶつけて欲しいんだけどね。
JPさん:安田(裕信)はどう?

──この間出たばかりなんだよね〜。
JPさん:ん〜。ロニー(クインタレッリ)は?

──一度出てるけど、大丈夫だよ。……アウグスト(ファーフス)は?
JPさん:あ〜そうだね。

──では、アウグストに何か聞いてみたいことはある?
JPさん:そうだね。彼はアメリカでもヨーロッパでもたくさんの経験があると思うんだけど、日本のモータースポーツについてのレベルはどう思っているのか聞いてみたいな。

2022スーパーGT第8戦もてぎ リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R
2022スーパーGT第8戦もてぎ リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R

■もう30年ほどの付き合いになる友人

──オッケー。ではそれでいってみよう。ところでJPさんとアウグストは、どれくらいお付き合いがあるの? 初めて会ったのはいつ?
JPさん:1995年か96年かな。もう30年くらい経つよ。

──めちゃくちゃ長いね! 初めて会ったのはいつ?
JPさん:初めて一緒のレースに出たのは、1998年かな。ブラジルでのレーシングカートのレースだったんだけど、彼が優勝で、僕が2位だったんだよ。

──そうなんだ! いつも連絡は取り合っているの?
JPさん:そうだね。ずっと長いこと友だちだから。アウグストはブラジルからイタリアに渡ったんだけれど、僕はドイツに行って、ドイツF3に出たんだ。それから日本に来た。でもアウグストはカートからイタリアのフォーミュラ・ルノーに上がって、ずっとヨーロッパで戦ってきたよね。アウグストと、フェリペ・マッサは同じタイミングでキャリアを積んでいるんだけど、僕たち3人は同じようなタイミングでヨーロッパに行ったんだよね。

──なるほど。それは面白い。マッサはJPさんより年上?
JPさん:僕とマッサは一緒で41歳だね。アウグストは少し下だよ。38〜39歳くらいだね(編注:39歳でした)。

──そうなのか〜。それは知らなかった。ではこんなところで取材はオッケー。ありがとう!
JPさん:オッケーかな。こちらこそありがとう!

* * * * *

 というわけで、いつもの日本人ドライバーに比べるとちょっぴり短めでしたが、オリベイラ選手の日本語(もうけっこういけるレベル)のおかげでなんとか取材完了です。モチベーションの源、なんとなくご理解いただけたでしょうか。

 次回は友人であるBMW Team Studie x CSLのアウグスト・ファーフス選手です。なかなか面白い内容のはずなので、ぜひお楽しみに!

2022スーパーGT第8戦もてぎ チャンピオンを決めた藤波清斗、近藤真彦監督、ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
2022スーパーGT第8戦もてぎ チャンピオンを決めた藤波清斗、近藤真彦監督、ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ