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 かつては景気のいい話も聞こえたトラックドライバーの賃金だが、今は「それほど悪くはないけれど、決して良くもない」といえるのかもしれない。

 国税庁による2020年の民間給与実態統計調査結果によると、給与所得者の平均給与は年収433万円(賞与も含む)。月に均すと36万円となる計算だ。

 この数字を頭に入れて、トラックドライバーの賃金の実態を見てみると、「キツい仕事なんだからもう少し上がってもいいんじゃないか」「給料が良くなればトラックドライバー不足も少しは解消するのではないか」と思えてくる。

 以下に全ト協(全日本トラック協会)がまとめた実態調査の概要をお伝えしよう。

文/フルロード編集部 写真・表/フルロード編集部・全日本トラック協会
*2022年9月発行「フルロード」第46号より


全ト協がまとめたドライバーの賃金等の実態調査

 全日本トラック協会は8月1日、トラック運送事業に携わる従業員の賃金や労働時間、福利厚生等の実態について調査した結果を「2021年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態」として取りまとめた。

 労働環境改善の基礎資料とするために、令和3年(2021年)の5、6、7月に支給された給与の1か月平均額等について調査したものだ。

 有効回答数は特別積合せ貨物(特積=不特定多数の顧客の貨物を1台の車両に積み合わせて運ぶ運送形態のこと)が40社、一般貨物が802社。

 集計は、業種、性別、職種(けん引、大型、中型など)、従業員規模、年齢階級、地域別に分類した。

 全職種の平均賃金は特積が33万2600円(前年比5.7%増)、一般が32万2700円(同1.6%増)となった。年間賞与を加えると特積が39万1500円、一般が35万7200円となっている。

一番稼げるのは特積の大型という結果 

 中核となる男性運転者では、特積が35万2900円(賞与込みで41万1500円)、一般が34万0200円(同36万8900円)だった。なお、女性従業員の集計については「サンプルが少ないため参考程度とお考え下さい」としているため、以下は主に男性運転者の集計である。

 平均賃金の高い職種は、特積では高いほうから順に、大型、けん引、準中型、普通、中型となっており、大型と中型の差額は1か月平均で9万3200円、賞与込みで10万円となった。一般では高いほうから順に、けん引、大型、中型、準中型、普通となっている。

特積・一般を合計した車種・業種別の賃金表

 1カ月賃金は、けん引と中型では一般が特積を上回ったが、それ以外は特積が上回っている。大型ではその差額は3万9600円(賞与込みで6万4500円)となった。

 賃金のうち、歩合給や時間外手当などの変動給が占める比率は一般の運転者のほうが高い傾向にあるが、もっとも高かったのは特積の大型で55.2%だった。

 変動給の内訳は、特積で50.8%、一般で49.8%が歩合給によるもので、時間外手当などを上回っている。男性事務員の歩合給は9.4%だったので、トラック運転者の給与では歩合給の割合が非常に高いことがわかる。

 男性運転者の平均年齢は47.6歳で、前年より0.4歳若返った。男女合わせた全職種の平均年齢は46.5歳だった。年齢階級別の賃金では、20~29歳を100として場合、50~59歳が127.1で最大となり、次いで40~49歳の125.9だった。

詳細はこちらの全ト協ホームページリンクからどうぞ!

投稿 ドライバー不足の解消には給料を上げるのが一番!? トラック協会が運転手の賃金の実態を調査自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。