ボルボXC40は、アウディQ3やBMW X2と競合する。2リッターのガソリンエンジンを搭載した3台の優れたコンパクトSUV、アウディQ3とBMW X2とボルボXC40を比較してみた。
「最初のマイナーチェンジの前に新車を買ってはいけない」と叔父はよく言っていた。もちろん、そのことは以前からわかっていたことだ。今回の3台のコンパクトSUVは、1台が5年前に開発され、残りの2台は4年間、すでに道路を走っている。我々は、ボルボXC40、アウディQ3、BMW X2の3台を比較してみた。
誕生から5年目を迎えた「ボルボXC40」には、ようやく競争力のあるマルチメディアが登場した。スウェーデンの4.44mのSUVには、Googleベースのシステムも組み込まれており、我々の試乗車は最高装備ライン「アルティメット」で、ようやくアウディやBMWで長年知られているボイスコントロールさえ機能するようになった。だから「ハンブルクのアクセル=シュプリンガー広場1番地まで送ってくれ」とか「ラジオNDR2を流してくれ」と言えば、システムは数秒で反応してくれる。しかしなんと言っても、どれも5万ユーロ(約700万円)前後のクルマなのだから、それくらいは期待できて当然だ。
手狭になるのはXC40が一番早い
「XC40」は、サブメニューの画面による空調コントロール、低すぎて狭いリアシート、428リットルの最小ラゲッジルームなど、他の弱点もそのまま残されているのが残念だが、買い物袋をかけられるフック付きの折りたたみ式ダブルロードフロアは便利だ。ボルボは、メイド イン ベルギーの「XC40」の細部にまで気を配っている。例えば、ドアポケットにカーペットを敷いて、ガタつきがないようにしているなどなど。
ガラケーといえば。アウディ!「Q3」は全高が4.48mとこの比較では最も高く、ラゲッジルームは530リットルと最も大きく、そして – もちろん – アウディの後部座席は3台中、最も居心地が良い。大きなドア開口部、快適な乗降性、十分なヘッドルームとレッグルームを実現している。そして何よりシートも快適なので「Q3」のときだけ、後ろに乗って長旅をしたくなる。
アウディQ3は品質上の欠陥が見られる
しかし、それでも我々は認めざるを得ない。アウディは、もはや品質世界王者ではないということを。この比較では、「Q3」は品質部門で20点満点中16点しか与えられず、ボルボより1点、BMWより2点劣っている。
なぜかというと、ボンネットは裏面を塗装していないし、小物入れやドアの棚板にも安っぽい硬質プラスチックが使われているし(ここはガタガタする)、荷室床のカーペットの端は縫われていないし、トランクを仕切るプラスチック部品は多分冗談だろう!? まだ開発責任者がハッケンバーグと呼ばれていた時代なら、「Q3」も道筋が違っていたかもしれないが・・・。
BMWはマルチメディアのアップデートが必要
「BMW X2」がなぜ今回の比較テストに参加しているのか、簡単に説明する必要がある。4.36メートルと最も短く、傾斜したルーフラインを持つが、470リットルのトランクは最も小さいものでもない。しかし、本来なら、「X1」がこの比較テストに参加すべきだろう。しかし、「X1」はまだ新しすぎて、今回の比較テストには不適切だったのだ。
「X2」は、中身が少し時代遅れなことに気がつく。デジタルインスツールメント?いや!マルチメディア?いい感じだが、「iDrive 6」は一世代前の「3シリーズ」から搭載されているため、ナビゲーションとラジオコマンドしかコントロールできない。当然のことながら、他の新しいBMWモデルのデジタルインスツールメントやマルチメディアは、競合他車よりずっと進んでいるのだ。
「X2」はハッチバックSUVとしての役割を十分に果たし、リアシートもまずまずで、フロントのMスポーツシート(500ユーロ=約7万円)はスリムフィットタイプ用で、完璧な横方向のサポートを提供する。広いCピラー、傾斜したルーフライン、狭い窓のために、風景が見えにくくなっていること? それらは、この「X2」は走るためにあるため犠牲となっている。
しかし、それでもBMWは品質王者であることを強調しておきたい。ボンネットの貫通塗装、上質なプラスチック、フロントドアとリアドアの間のシールによる風切り音の防止、コックピットのガタつきのなさ、などなどだ。
スポーティなドライバーのためのX2
走りとドライビングダイナミクスの章ではBMWが勝っている。178馬力とライバルに比べると馬力は劣り、0-50km/h加速2.7秒、0-100km/h加速7.9秒とアウディ(2.5秒&7.4秒)に劣るものの、スポーツドライバーにとって笑顔が似合う車だ。
以下、テストの詳細は、フォトギャラリーとともにご覧ください。
上質なコンパクトSUV3台をテスト
そろそろレジに行こう。ボルボはアウディ(43,050ユーロ=約600万円)、BMW(45,150ユーロ=約630万円)を大きく引き離して、51,600ユーロ(約720万円)となっている。
第3位 800点満点中528点: BMW X2 xDrive20i
スポーティなチューニングを施したBMWそれは素晴らしい出来栄え、素晴らしい走り。しかし、装備などは貧弱だ。
第2位 800点満点中533点: ボルボXC40 B4 AWD
デザインファンのための居心地の良いヘビー級、最終的に優れたマルチメディアを備えた最適な装備だが室内が狭い。
第1位 800点満点中551点: アウディQ3 40 TFSIクワトロSトロニック
最高の空間を持つ快適なオールラウンダー。素晴らしいエンジン、素晴らしいシート – しかし、品質はもっと良くあるべき。
結論:
車は4、5年後で陳腐化してしまうのだろうか??No!この3台のSUVは、永遠の若さが存在することを示している。結局、「アウディQ3」がオールラウンドに最高の特性を発揮して1位を獲得した。最も小さな価格で多くのスペースを確保した、それが勝因だ。「ボルボXC40」がようやくナビ時代と肩を並べた。しかし、「BMW X2」がここでは真のドライビングマシンだった。
【ABJのコメント】
今回の比較テストのポイントは、3台とも、モデルが発表されてからそれなりの時間が経過しているというところである。「アウディQ3」も気がついてみれば発表以降結構な時間が経過しているし、あんなに新鮮で今までにないボルボという感覚を覚えた「XC40」もすっかり見慣れた感じがする。「X2」も「X1」と「X3」に挟まれた、なんともニッチなモデルを出してきたものだと思っていたけれど、CピラーにBMWのエンブレムをつけたX2を街中で見ない日はないほど浸透している。
そしてこういう風に街中で見慣れて、こなれてきた時点だからこそ、冷静にかつ客観的に比較することができるのではないかと考えることもできよう。そんな今回の比較テストの勝者は「アウディQ3」だったが、これはAUTO BILDのテスターがバランスの良いSUVという視点から選んだものであると考えることができよう。やはりこういう比較テストの場合、どの部分を重視してテストするかで、結果はがらりと変わるものなのである。そして今回のようにバランスよく、かつ優等生的な視点から選べばやはり「Q3」はかなり高得点を得る結果となろう。
「X2」はその点やや精彩をかいてしまうが、「Q3」と(特に優等生な評価をするのであれば)比較するのならば「X3」を持ち出すほうが良かったのではないか、と思ってしまう。そういう部分がちょっと残念である。「ボルボXC40」は大変スタイリッシュで、お洒落だと思うが、実用面では特にスペースユーティリティの部分で見劣りがしてしまうし、個人的にはパワーユニットのディーゼルが選べないのが残念である。もうボルボはEV化まっしぐらであり、ディーゼルエンジンはオワコンであることは理解していても、SUVのパワーユニットにはやっぱりディーゼルエンジン悪くないのになぁ、と小生はついつい思ってしまうのである。(KO)
Text: Berend Sanders and Andreas May
加筆: 大林晃平
Photo: autobild.de