ホンダは、同社初のBEVであるSUVのデザインを全面的に公開した。ホンダ初の電動SUV「プロローグ」は、ブランド固有のデザインと、「シボレー ブレイザーEV」やキャデラック リリック」にも搭載されているGMの「ウルティウム」プラットフォームを組み合わせたもので、2024年に北米市場に投入される予定だ。
外観はSUVとして独立し、フロントには新型シビックのロアエアインテークなどのディテールを採用している。ラジエーターグリルは、ヘッドライトに直接合流するクローズドタイプだ。リアも、「イヴォーク」や「ヴェラール」などのレンジローバーモデルと同様、ブラックのエレメントでライトをつないでいる。
ホイールベースは3.10メートル弱といわれ、「ホンダCR-V」より40センチも長い。E-SUVの全長は4.88メートルと、現在の「CR-V」を30センチ近く上回り、全幅も13センチ近く上回る予定だ。
インテリアは広々としており、乗員や荷物のための十分なスペースを提供している。また、11インチのデジタルコックピットと11.3インチのインフォテインメントディスプレイも標準装備される。
シボレー ブレイザーEVのパワートレインを採用したSUVの可能性
ホンダは、「SUVの多用途性とBEVのゼロエミッションのメリットを求めるアクティブな顧客」をターゲットにしていると言う。性能についてはまだ不明だが、「プロローグ」には全輪駆動が用意されるとのことだ。
「プロローグ」は、「シボレー ブレイザー」のEVのデュアルモーター仕様のいずれかを搭載することが考えられる。ただし、最高級モデル「SS」の410kW(557馬力)のパワートレインではない。航続距離は約400kmになると想定される。
ホンダは2030年までに、全世界で30車種の新型電気自動車を発売する計画だ。北米では、2024年の「プロローグ」を皮切りに、GMと共同開発した手頃な価格の電気自動車を含め、ホンダ独自の電気アーキテクチャに基づくモデルを追加していく予定だ。
【ABJのコメント】
今回の「ホンダ プロローグ」はその名前の通り、これからのホンダの未来を背負うほどの大切な一台となると思う。大きさは日本では持て余すほどのものだから、主にその主戦場はアメリカなのだろう(なにしろGMとLGで共同開発したバッテリーを積んでいるのだから、意味深である)。
プロローグは一年間に7万台、ということは月産6,000台程度だというが、ホンダは2026年には、30万台を目標としているので、その4分の1にあたる。どことなく「マツダCX30」と「レンジローバー イヴォーク」を足して、いいとこどりしたようなデザインは完成度も高く見えるし、あえて(だと思う)従来のようなエアコンスイッチや、馴染みやすいディスプレイなどが残された室内も、テスラほどの先進的な空間に慣れていない者たちには、ちょっとほっとできる空間にみえる。価格によってはなかなか良い販売成績を残せそうな気もするが、気になるのは先週報道されていた、ソニーとのコラボレーション企画?のBEVである。この「プロローグ」がベースになるのかどうかは不明だが、あちらはこのプロローグとは別の世界(ということは、かなりハイエンドな)のBEVとなるのだろうか。ホンダというブランドと、アキュラというプレミアムライン、そしてソニーとのモデル・・・、その棲み分けはどうなるのだろう。まだまだ未知数ながら、ぜひホンダらしく、ソニーらしい車で世界の舞台で勝負してほしい。プレイステーション標準装備くらいの勢いで良いかもしれない、と外野から、なんとも無責任ですいません。(KO)
Text: Sebastian Friemel
加筆: 大林晃平
Photo: Honda