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 罰則が強化されたのにもかかわらず、いっこうに減らない煽られにくい運転。どうにかして減らないものか?

 そこで自己防衛手段の一つとして、煽られにくいクルマを買って煽り運転を防ぐという手段はいかがだろうか? 筆者の個人的な観点から、なるべく安く、200万円以下で煽られにくい中古車はないか、探してみた。

文/伊達軍曹
写真/TOYOTA、メルセデス・ベンツ、BMW、ボルボ

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■煽られにくいクルマを買って自己防衛

リアウインドウにこのステッカーを貼ることも自己防衛の1つ(lastpresent@AdobeStock)

 「煽られないための車種選び」という主題に、マジメなクルマ好き各位は嫌悪感を露わにするかもしれない。「クルマというのは、そのような目的意識で選ぶべきものではない」と……。

 そのお気持ちもわかるつもりだが、しかし「煽られたくない」というマインドも間違いなく切実なものであるため、一概に否定すべきではないはず。

 多くの人が経験していることだと思うが、“煽(あお)ラー”は前走車の車種に応じて自分の行動を変える。

 筆者も仕事でベンツやらレンジローバーやらの広報車を運転している際に煽られたことは一度もないが、軽やほのぼの系デザインの普通車に乗っているときには、たまに煽ラーと遭遇する。

 ベンツやらレンジローバーやらというのは、人間で言うと「筋肉モリモリで身長185cmの人」みたいなものなので、見知らぬ他人からいきなり攻撃を受けることはほぼない。

 だが逆に軽やほのぼの系デザインの普通車というのは、仮にドライバーが筋肉モリモリの185cmであっても、外から見れば「かよわい存在」に見える。そのため、一部の狼藉者は「こいつを攻撃しても反撃されないだろう」と思い込み、躊躇なく煽りをカマしてくるわけである。

 煽られた際にはクルマを降りて煽ラーをぶん殴り、ついでにチョークスリーパーで眠らせたいところだが、そうすると逆に自分がお縄となってしまう。

■「都合のいい総額200万円以下のクルマ」を探す……

 ならば、ということでベンツのSクラスやらレンジローバーの新車や高年式中古車に買い替えれば、煽ラーがちょっかいを出してくることもないはずだが、それにはおおむね1000万円以上のマネーが必要。そんなカネは、ハッキリ言って持っていない筆者である。

 なるべく安く煽られない車種……。となると出せるのは「200万円以下」といったニュアンスだろうか。

 支払総額150万円から190万円ぐらいでもって、煽ラーの脳内に「……こいつをあおったら、逆に俺がヤバいかも?」という警戒アラート信号を送り込める、若干オラオラなクルマを購入する。そうすれば、不愉快で迷惑な煽ラーとは無縁の日々を静かに送れるはずなのだ。

 だが、そんな「都合のいい総額200万円以下のクルマ」はあるのだろうか……と長考に入ってみると、何車種かの候補が発見できた。ご紹介しよう。

■候補1:トヨタ クラウンマジェスタ(最終6代目S210型または5代目S200型)

5代目S200型クラウンマジェスタ
6代目クラウンマジェスタ

●中古車相場:総額130万~190万円

 「クラウンとセルシオの中間ぐらい」として設定されていた、言わずと知れたトヨタの元高級サルーンである。これの最終型(2013~2018年式)が総額200万円弱で狙えるが、その価格帯だと走行距離多めの物件が多くなってしまう。

 そのため「距離少なめのほうがいい」と考える場合には、走行3万km台から6万km台ぐらいの5代目(2009~2013年)を総額130万~190万円あたりで狙うのがいいだろう。

 後方を走る煽ラーから見たクラウンマジェスタは「謎のクルマ」である。運転席に座っているのは小柄なおじいちゃん経営者かもしれないが、総合格闘技のジムにも通ってるイケイケな30代自営業者である可能性も否定できない。

 いやもしかしたら覆面パトカーなのかもしれない……ということで、煽ラーはその煽り行為の開始を躊躇せざるを得ないのだ。

■候補2:先代メルセデス・ベンツ Eクラス(W212後期型)

2009年に登場したW212型Eクラスは2013年6月にビッグマイナーチェンジ。前期型のフロントマスクが不評で大がかりなフェイスリフトを敢行した

●中古車相場:総額170万~190万円

 メルセデスは、いや「ベンツ」は、日本の道路上で煽られにくい自動車ブランドの筆頭格である。こういった話の好き嫌いは別として、事実そうなのだ。Aクラスとかは別だが、たとえ中古の激安Cクラスであっても煽ラーに向けて警戒信号を発するブランド。それが「ベンツ」だ。

 で、まぁさすがに激安中古のCクラスだといささか弱いわけだが、「Eクラス」であれば“防衛力”はかなり高い。

 そして今、現行型のEクラスを総額200万円以下で買うのはさすがに不可能だが、現行Eクラス(の前期型)と素人目には似たようなカタチに見える「先代Eクラスの後期型」が、実は総額100万円台の後半で買えてしまうのである。

 このクルマにつっかかってくるバカはそうそういないはずだが、仮にいた場合でも、逆に「その勇気(蛮勇)、あっぱれ!」という気持ちにはなれそうだ。

■候補3:レクサス GS(最終型、最初期の2012~2013年式)

2012年に登場したレクサスGS。この時代は現在のスピンドルグリルを採用する前のモデルとなる

●中古車相場:総額160万~200万円

 「煽られにくいクルマ」の輸入ブランドにおける筆頭がメルセデス・ベンツなら、国産車においては当然「レクサス」ということになるだろう。

 まぁこれもメルセデスのAクラスとかと同様に「CT」やら「UX」ではさほどの防衛力たり得ないが、「GS」であれば、クラウンマジェスタと同様の効果(運転しているのが普通のおっさんである可能性は高いが、ゴリマッチョなエグ〇〇〇系である可能性も捨てきれない)を発揮するため、幹線道路や高速道路で煽ラーからの攻撃に遭う可能性は「ほぼゼロ」と言っていいだろう。

 問題は「激安価格で買える初代GSを買っても、さほどの防衛力は期待できない」ということ。

 レクサスGSによって煽ラーを「戦わずして倒す」ためには、今やオーラを失った初代ではなく最終型(2012~2020年)に乗ることで、「あ? なんか用?」というようなビームを、煽ラーに対しては射出する必要があるのだ。

 そして真の問題は「総額200万円以下で最終型のレクサ GSが買えるの?」ということだが、それが実は買える。といっても最初期の2012~2013年式限定になってしまうが、総額190万円前後のゾーンで、走行4万kmから8万kmぐらいのガソリン車またはハイブリッド車が普通に狙えるのである。

■候補4:BMW X3(先代、前期型)

2001年に登場したX3(前期型)

●中古車相場:総額150万~190万円

 本当はこれよりも1クラス上となるBMW X5、すなわち日本でもっとも有名な煽ラーだった「M氏」が事件当時に乗っていたSUVのほうが、防衛力は格段に高い。

 しかしX5は現行型の中古車相場が700万円以上で、先代でもメインは総額300万円以上。そして総額200万円以下で狙える先々代は今やいささかボロいものが多く、購入後のメンテナンスが心配――ということでここは車格をひとつ落として、その分だけコンディションの良い「X3」を狙ってみるのが正解となる。

 同じ先代X3でも2014年6月以降の後期型のほうがシュッとしていてカッコいいのだが、残念ながら総額200万円以下でイケるのは前期型のみである。

 それでも全長4650×全幅1880×全高1675mmのサイズ感と、BMWという“印籠”には、アホな煽ラーを躊躇させるだけの力は確実にあるのだ。

■候補5:ボルボ XC60(先代)

2009年に登場した初代ボルボXC60
2013年8月のビッグマイナーチェンジでフェイスリフトした

●中古車相場:総額150万~190万円

 ボルボの中型(といっても日本ではそこそこ大きく感じる)SUVの先代である。決していかついイメージおよびデザインのクルマではなく、むしろ知的でやさしい雰囲気を持っているSUVだが、もしもこのクルマに煽りをカマしたら、運転席からは「元スポーツマン」が降りてきそうな気がする。

 「元スポーツマン」氏は36歳で、現在は準大手の企業でマジメに働きながら幸せな家庭を築いているが、もともとは大学の体育会ラグビー部(またはサッカー部、または野球部)に所属していた人で、白いポロシャツの下は今も筋骨隆々。

 表向きは穏やかな性格で、暴力沙汰も大嫌いだが、「でもいざとなったら俺はやりますよ。家族を守るためにも」と、そんなことを内心考えている――というのはすべて勝手な妄想だが、このクルマには、そんな人物が乗っていそうな予感がある。

 もしも私が煽ラーなら(もちろん違いますけど)、そんな人につっかかっていく勇気はない。

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