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中古GT-R市場に異変! 不人気と言われたR33型スカイラインGT-RがR32の中古車平均価格を逆転!

 今から27年前、1995年の1月に東京オートサロン会場で華々しいデビューを飾ったR33型スカイラインGT-R。

 16年振りに復活したR32型スカイラインGT-Rの後継モデルだが、やれ「ボディサイズが大きくなった」だの「ホイールベースが延びた」だのネガな部分ばかり強調され、正直、第2世代スカイラインGT-Rの中では不人気と言われ続けたモデルだ。

 しかし、最近になってR32型とR33型スカイラインGT-Rの中古車の平均価格が逆転した。苦節24年、ようやくR33型スカイラインGT-Rから「不人気」というレッテルが剥がされたのだ。

 ここでは、R33型スカイラインGT-Rの中古車相場の動きを検証しつつ、どのようなモデルだったのかを振り返ってみる。

文/萩原文博、写真/日産自動車、ベストカーWeb編集部

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■R32型と比較され続けた不運なGT-R

1995年1月、東京オートサロン会場でデビューした日産 スカイラインGT-R(R33)。先代のR32型GT-Rと常に比較され続けていた

 以前、R33型スカイラインGT-Rの開発を担当した渡邉衡三さんにインタビューをした時、渡邉さんはこのように話してくれた。

 「バブルが弾けてしまって原価や会社の経営も厳しく、どうやってコストを抑えるかというのが全社的な雰囲気だった。そうなると、ローレルとスカイラインを共有化すればいいという結論になる。ホイールベースも同じにすれば、いくら安くなる」

 「さらに販売現場からは、R32型スカイラインの評価として、2ドアは人気だけど、4ドアが苦戦した。4ドアの居住性が良ければ、走りの性能が良ければもっと売れたと言われた。会社の声、販売現場の声を考えて、ローレルとシャシーを共有化し、ホイールベースを長くして、居住性を確保するという結論になった」

 「そして、R32型スカイラインGT-Rはゼロベースで出てきたクルマなので、60点ぐらいでもインパクトは抜群。さらに性能を向上させたR33GT-Rは、絶対的に見れば80点であってもR32GT-Rの60点から20点しか上がっていない。

 そういう風に見えてしまうR33GT-Rを訴求するために、どうしたらいいか。そこで本来、気持ちの良さ、速さというGT-Rとしてのあるべき姿を速さにちょっと特化したVスペックを(最初からグレードとして)作った」

 バブル景気崩壊による景気後退もあり、1990年代の日産は経営も芳しくなく、その後ルノーに助けてもらったのはご存じのとおり。そんな逆風の中で登場したR33型スカイラインGT-Rは、常にR32型スカイラインGT-Rと比較され続ける、不運な存在だった。

■ニュルのラップタイムを21秒短縮

日産 スカイラインGT-R(R33)。ニュルブルクリンクのラップタイムはR32型から21秒短縮。しかしその辺りにはあまり目を向けられず、車体の大型化や重量の増加を槍玉に挙げられることが多かった

 さて、そんなR33型GT-Rとはどんなクルマか。

 1995年1月に登場したR33型スカイラインGT-Rは、先代のR32型から全長は+130mm、ホイールベースは105mm延長された。その分ボディには補強が施され、剛性を向上させている。

 ニュルブルクリンクのタイムアタックではR32型からラップタイムを21秒短縮。CMにも「マイナス21秒ロマン」というコピーが使われた。

 搭載されたエンジンはRB26型2.6L直列6気筒DOHCツインターボでR32型と同じだが、ECUの16ビット化をはじめ、吸排気系、圧縮比、フリクションロスの見直しや改良により、最高出力こそ280psのままだが、最大トルクは37.5kg-mまでアップした。

 グレードは標準車とVスペックそしてN1耐久レース参戦用のベース車両のVスペックN1の3種類。R32型ではVスペックとVスペックIIに採用されていたブレンボ製ブレーキシステムを全車標準装備としている。

 R33型スカイラインGT-Rの標準車とVスペックの違いは、VスペックにはリアデフにアクティブLSDを採用し、これに合わせて4WDシステムにアテーサE-TSプロを採用していることだ。

 1997年2月にマイナーチェンジを行い、外観ではフロントバンパーのデザイン変更をはじめ、ヘッドランプにプロジェクターキセノンヘッドランプを採用。さらにリアの右側後退灯がリアフォグランプに変更された。インテリアではドア内張りおよびシートを赤基調のものに変更している。

■中古車相場はR32を逆転。中でもオーテック記念モデルはバカ高!

近年の中古車市場では「R33は不人気だから安い」とは言えなくなっている。特にオーテックジャパン40周年を記念した特別仕様車の4ドアセダン(写真)は2ドアクーペを上回る平均価格をつけている

 そんなR33型の中古車事情だが、新車と違って中古車は“人気”という不確定要素が価格に大きな影響を与える。R32型そしてR33型スカイラインGT-Rのように「年式が古くても人気が高い」という理由で中古車相場は高くなってしまうのだ。

 2022年6月時点のR32型、R33型スカイラインGT-Rの中古車の平均価格を見てみると、R32型は約747.9万円。対してR33型は約698.2万円とR33型のほうが高かったのだ。

 7月もR32型スカイラインGT-Rの中古車の平均価格は約716.4万円。対してR33型は約706.7万円とその差は縮まり、翌8月にはR32型の平均価格が約690.1万円。R33型の平均価格が約729万円と平均価格が逆転した。

 ところが現在はどうか。R32型スカイラインGT-Rの中古車は約77台流通していて、平均価格は約655万円。中古車の価格帯は約478万~約1,698万円。

 一方、R33型スカイラインGT-Rの中古車は約47台流通していて、平均価格は約796.5万円。中古車の価格帯は約525万~約1780万円となり、R33型スカイラインGT-Rは不人気だから安い! とは言えなくなっているのだ。

 中古車の価格帯分布を見てみると、R32型は700万円以下が約35台で、700万円以上が約42台。対するR33型は700万円以下が約7台、700万円以上が約40台と、R33型スカイラインGT-Rのほうが高額車は多くなっている。

 こうなった理由の一つには、北米の25年ルール(※生産から25年以上経過したクルマは排ガスや安全基準を満たさなくても輸入できる)が関係している。

 つまりR33型スカイラインGT-Rの低価格車はアメリカを中心とした海外に流出してしまい、日本国内のタマ数が不足、それがさらなる相場高騰を引き起こしているのだ。

 ちなみにR33型スカイラインGT-Rで一番価値があるといわれるのは、オーテックジャパン40周年を記念した特別仕様車の4ドアセダンだ。現在、中古車は11台流通していて、平均価格は2ドアクーペを200万円以上上回る約952.3万円。価格帯は約850万~約1,500万円となっている。

 スカイラインGT-Rは各世代に思い入れのあるファンがいる。本来ならば中古車は、そういった人の手が届くような価格帯で推移してもらいたいのだが、中古車市場がグローバル化した現在ではそういった期待は残念ながら、無理なのかもしれない。

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