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 フランス生まれの個性派ワゴンとして、高い人気を誇るルノーカングーの新型モデルが、ルノー公式ファンイベント「ルノーカングージャンボリー2022」の会場で、日本初公開された。

 これまでの情報は、本国仕様の写真とスペックしか得ることができなかったが、イベント会場では、なんと3台の実車をサプライズお披露目。さらに日本仕様の情報の一部も明かされたことで、カングーオーナーたちからは熱い視線が注がれていた。現地取材で得られた新型カングーの最新情報をお届けしよう!

文と写真/大音安弘

【画像ギャラリー】ひと足早く! 来春登場予定の新カングーの内外装をお披露目!!(15枚)画像ギャラリー

■3年ぶりのルノーカングージャンボリーでのファンサービスに

 ルノー公式ファンイベント「ルノーカングージャンボリー2022」が2022年10月16日、3年ぶりにリアルイベントとして開催された。山中湖畔にあるイベント施設「山中湖交流プラザ きらら」には、なんと全国各地から1783台ものカングーが集結する大盛況ぶり。その会場で、ファンへのサプライズとして、3代目となる新型カングーの日本初公開が実施された。

3年ぶりのリアルイベント開催となった「ルノーカングージャンボリー」には1783台ものカングーが集結した

■日本だけ!? ファンのニーズを取り入れた専用仕様に

 すでに現行型となる2代目カングーの販売は終了。現在、最終限定車となる「リミテッド ディーゼル」は、初上陸のディーゼルエンジンと人気のMTの組み合わせということもあり、中古車は超プレミア価格に。さらに2代目カングーの中古車価格も高値安定となっており、人気の高さを伺わせる。

 2代目は2009年9月より日本導入を開始。最初期のモデルは、13年目を迎える。さらにフランス本国では、2021年11月に3代目のフルモデルチェンジが発表され、2021年5月より販売を開始されたことで、熱心なファンたちも基本的な情報を得ていただけに、日本への導入時期や日本仕様の詳細についてファンたちの話題となってきた。

 その熱意に対し、ルノーがイベントでの実車お披露目という形で応えたというわけだ。

サプライズお披露目された3代目となる新型カングー。注目すべきは、本国仕様ではなく、きちんと日本仕様に仕立てられたものであることだ

 ルノージャポン広報部によると、新型カングーは、日本のニーズを取り入れた専用仕様だという。そのひとつが、カングーの象徴である観音開き式となる「ダブルバックドア」だ。

 新型カングーにも、ダブルバックドアは採用されるが、それは商用車仕様のみ。実は、乗用車仕様は、跳ね上げ式テールゲートのみとなのだ。ダブルバックドアは、現行型同様に、180°の開口が可能なので、使い勝手も同様だ。

現行型同様に、180°の開口が可能なダブルバックドアが装備されるのは、日本だけのスペシャル。その事実を知った現行型カングーのオーナーである安田大サーカスの安田団長も大歓喜!

 もうひとつの専用仕様となるのが、イエローのボディカラーだ。日本では、カングーの定番カラーとして黄色が定着しており、本国で郵便車として活躍するカングーの黄色も限定発売されたことがあるほどだ。

 しかし、3代目となる新型カングーには、本国では黄色は非設定。それを日本専用色として導入するという。さらにドレスアップとして好評だった無塗装の黒バンパー仕様が選べるのも、日本だけのスペシャル。

 黄色の「ジョンアグリュム」は、黒バンパー仕様の組み合わせのみに。ほかのボディカラーは、黒バンパーとボディ同色のカラードバンパーが選択できるという。

 現時点の日本専用仕様をポイントを整理すると、「ダブルバックドア」、「黄色のボディ」、「無塗装のブラックバンパー」の3点が挙げられる。この3点は、日本のファンが支持するカングーらしさの象徴ともいえる部分だけに、その期待に応えようと奮起したルノージャポンの姿勢が感じられる。

■懸念の車幅の拡大は30mmに留まる

 現時点で明かされた日本仕様のスペックを見ていこう。本国でのスペックからもわかるように、ボディはサイズアップされている。しかし、それはほんの少しだ。

 ボディサイズは、全長4490×全幅1860×全高1810mm。ホイールベースは、2715mmだ。現行型と比較してみると、全長が+210mm、全幅が+30mmとなるが、全高はキープ。ホイールベースは、+5mmとほぼ同等だ。

 全長が長くなったとはいえ、トヨタノアや日産セレナなどのミニバンよりもコンパクト。さらに全幅は、現行型も3ナンバー車であり、片側+15mmずつの拡大の拡大ならば、駐車スペースや取り回しなどの不安は極めて少ないのではないだろうか。

サイズアップしたものの、まだまだ手頃なサイズは維持。もともと3ナンバー車なので、取り回しの影響は極めて限定的だろう

■パワートレーンも進化! 待望のADASも投入

 さて引き続き、判明した情報をお伝えしていこう。パワートレーンは、ガソリンとディーゼルの2本立て。ガソリン車は現行型同様、ターボ車となるが、エンジンが最新のものに。ルーテシアやキャプチャーで好評の1.3L直列4気筒DOHC直噴ターボエンジンを搭載。最高出力130ps/5000rpm、最大トルク240Nm/1600rpmを発揮する。

 もちろん、燃料はプレミアムガソリンとなる。現行型のラストを飾ったクリーンディーゼルは、カタログモデルに昇格する見込み。1.5L直列4気筒SOHC直噴クリーンディーゼルターボを搭載。最高出力116ps/3750rpm、最大トルク270Nm/1750rpmを発揮する。

 トランスミッションは、いずれも7速のDCTタイプオートマチック、「7EDC」を搭載。デビュー時は、AT仕様のみとなる。ただし、MPVとしては異例の人気を誇るMTも、将来的には導入することを前向きに検討しているというから、期待していい。駆動方式は現行型同様に前輪駆動車のみとなる。

 今や時代の必須アイテムといえる先進の安全運転支援機能も初導入される。現時点の情報では、先行車追従機能付き「アダプティブクルーズコントロール」(ストップ&ゴー機能付き)、車線中央維持支援の「レーンセンタリグングアシスト」、衝突被害軽減ブレーキの「アクティブエマージェンシーブレーキ」、後側方車両衝突防止支援の「ブラインドスポットインターベーション」が採用されていることのみが明かされた。

 これらの装備だけでも、ロングドライブでのドライバーの疲労軽減効果は大きく、アクティブなカングーライフを支援してくれるだろう。

ガソリン車とディーゼル車が選べるのは、朗報だ。ATが基本となるが、将来的にはMTの導入にも前向きというから楽しみだ

■インテリアは機能と質感が向上

 実車確認の情報も追加したい。内装は機能性の高さが追求されるとともに質感が向上。従来型では、標準がCDラジオユニット、ディーラーオプションで日本製のナビゲーションシステムを装着していたが、新型ではインフォメーションシステムを搭載。基本的な機能は、最新ルノー車に準ずるものとなるだろう。

 テールゲートを確認すると、バックカメラが存在したので、標準化される可能性は高い。個性的だが、使い勝手に優れるハンドブレーキは残念ながら廃止されるが、便利な電動パーキングブレーキに置き換えられる。その代わりに、センターコンソールのドリンクホルダーが増設されて2個に。前席頭上にある小物入れ「オーバーヘッドコンソール」も継承される。

 便利機能としては、「ハンズフリーカードキー」を初導入。カードデザインのキーを携帯するだけで、自動的に開施錠を行える便利なものだ。もちろん、エンジン始動もスイッチ式に改められている。

質感の高まったインテリア。機能も現代車らしくアップデートされ、より乗用車ライクに

 後席では、シートバックテーブルや60:40の可倒式後席などを継承。時代を反映し、後席専用のUSB給電ソケットも新設されている。ただし、後席頭上収納である「3連オーバーヘッドコンソール」の姿は見当たらず……。

 しかし、その分、車内の広さをより感じられたのも事実だ。ただ、スライドドアの開閉がスムーズとなるなど、細やかな部分までのアップデートが感じられた。

■ファンからは好印象! 導入は来春予定

 イベントで、ステージ前やカングーの駐車スペースに展示された新型カングーの前には常に多くの人が集まり、外観を写真に収めたり、内装の様子をガラス越しに伺ったりするなど注目の的に。

 特に日本オリジナルとなる「黄色」、「黒バンパー」、「ダブルバックドア」への評価が高く、写真よりもカングーらしくてよかったなどの好意的な意見が聞かれ、新型への乗り替えが現実的な検討課題にシフトした人もいた模様だ。

 気になる導入時期は、来春予定とだけ伝えられているが、現時点では3月下旬から4月上旬当たりの可能性が高いようだ。ただ、最大の関心事ともいえる価格や細かい仕様については、まだ非公表。

 価格については装備の向上もあり、価格上昇は確実と見られるが、円安の影響に加えて不安定な世界情勢による為替の動向予測が難しいこともあり、発売目前まで価格情報を掴むのは難しいだろう。その愛らしいスタイルと優れた機能性が愛される実用車だけに、少しでも現実的な価格での提案を期待したい。

展示された新型カングーの周囲には、常にファンの姿が……。手前の新カングーのボディカラーは、ブルーソーダ―ライトMだ
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