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 輸送事業とPDIを2本柱に、さまざまな事業を展開しているトランスウェブ(千葉県富里市)。

 同社が3本目の柱と位置づける新事業「ヨーロッパのトレーラの輸入/販売」が、いよいよ本格的に動き出した。新事業を行なうため立ち上げられた新ブランドの名前は「EUトレーラーズ」というらしいが、一体どんなことをするのか?

 同ブランド設立の狙いや製品特徴を、同社・前沢武社長に伺うとともに、「ジャパントラックショー2022」に出品された2台の新型トレーラを紹介する。

文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
※2022年9月12日発売「フルロード」第46号より


EUトレーラーズの設立の狙い

ヨーロッパのトレーラの販売を目的にEUトレーラーズを立ち上げたトランスウェブの前沢武社長

 トランスウェブは2001年に設立された運送会社で、新車をディーラーなどに届ける新車陸送、レーシングチームのマシンや機材をサーキットなどに届けるモータースポーツ事業、輸入車の通関後の出荷前点検を行なうPDI(プレ・デリバリー・インスペクション)など、さまざまな事業を展開している。

 PDIは、車両の状態を検査して新車の状態を維持する作業と、日本の保安基準に適合するよう、部品の取り付けや検査/改善を行なう作業の2つで構成される。現在同社は、ヨーロッパの高級車メーカーを中心に6ブランドを扱っており、取り扱い台数は年々増加中だ。

 同社のPDIは輸送も含めたワンパッケージなので、PDIの取り扱い台数に応じたキャリアカーの台数が必要。同社はキャリアカーの台数を確保するため、2016年にイタリアのキャリアカーを導入。その後もヨーロッパのメーカーからさまざまなタイプのトレーラを導入し、運用してきた。これがEUトレーラーズの原点だ。

 「最初は自分たちで必要としているトレーラだけを輸入して、自分たちだけで運用していましたが、徐々に『売って欲しい』という話が出てきました。それで商談の仲介なども始めたんですが、トランスウェブは運送会社。『運送会社が運送会社にトレーラを販売するのもどうかな?』と思って、会社の設立20年の節目に販売部門としてEUトレーラーズを立ち上げたんです(前沢社長)」。

 トランスウェブがEUトレーラーズを立ち上げたのは2021年の9月。現時点の取り扱いメーカーは、イタリアのキャリアカーメーカーのロルフォ社、オランダの特種トレーラメーカーのファンエック社、ドイツの総合トレーラメーカーのケスボーラー社の3社だ。

 「販売ラインナップは、自分たちで使って『間違いない』と思ったものを販売するスタイルです。価格と開発期間を抑えるため、当面はラインナップを絞り込んで、そのぶん価格を抑えます。イメージとしてはユニクロやZARA、H&Mに近いですね(同)」。

 なお、アフターサービスに関しては、EUトレーラーズが主要部品を一定数ストックする。ストックがなくても、大半の部品は4〜5日以内に調達できるというから安心だ。今後は国内に販売/修理を行なう代理店を置く予定で、すでに交渉も進んでいるという。

高性能で低価格なダンプトレーラ

 EUトレーラーズは2022年5月に開催された「ジャパントラックショー2022」にトレーラ5台を出品。このうち今回は、本邦初公開となったケスボーラー社のダンプトレーラとローベッドを別途取材した。

 ダンプトレーラは、トレーラGVW36t級の3軸車で、連結全長12m以内で最大積載量29t以上を実現しているのが特徴。

 テレスコ式ダンプ装置に組み合わせる鍋底型ベッセル(荷台)は耐摩耗鋼板製で、板厚は側面6mm、床面8mm。主な積み荷は岩石やコンクリートガラなどで、油圧開閉式テールゲートや電動開閉式荷台カバーなどのオプションもフル装備する。

 足回りはリフトアクスル機構付きのエアサス/ディスクブレーキ/ワイドシングルタイヤ仕様で、取材車両の最大積載量は29000kgだ。

 なお、EUトレーラーズでは現在、ベッセルの板厚を側面4mm、床面5mmとし、オプション装備も省略したスペック重視仕様も開発中。エアタンクやランディングギアのアルミ化、スペアタイヤレス化などにより最大積載量30000kg以上を目指し、2023年の販売を予定しているという。

 価格は前者が1680万円、後者が1480万円で、取材段階で10台以上が売れているという。なお、別途トラクタへの油圧架装も必要だ。

緩和申請不要のローベッド

 もう1つのローベッドは、重機運搬用の3軸低床トレーラ(GVW36t級)だ。グースネック後方を大きくドロップさせたフレーム構造と245/70R 17.5サイズタイヤの組み合わせで床面地上高875mmを実現し、荷台拡幅機能により荷台幅を標準の2500mmから2700mm、2900mm、3100mmに変更することもできる。

 足回りはエアサス/ドラムブレーキ/ダブルタイヤ仕様で、後後軸はステア機構を標準装備。ステア角度は最大18度だ。このほか電動式歩み板と電動式ウインチ(5t)も標準装備となる。

 取材車両は汎用2軸トラクタと組み合わせるカプラ高1200mmモデルで、このほかに3軸トラクタと組み合わせることを想定したカプラ高1350mmモデルも開発中。価格はどちらも1680万円で、後者は2023年発売の予定だ。

投稿 本場欧州のトレーラを日本へ!! トランスウェブの新ブランド「EUトレーラーズ」とは何者か?自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。