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中古の先代BRZを買ってわかった中古車の闇と今後やりたいちょっとチューン

 筆者であるモータージャーナリストの高根英幸氏が、息子と兼用するために中古のBRZを購入することを決意。中古車情報サイトや中古車店を探して、いざ購入!

 しかし、納車されてみると、いろいろなところに問題が……。やはり中古車購入は闇なのでしょうか? 筆者の中古BRZ購入顛末記を紹介していきたいと思います。いま中古の86&BRZの中古車の人気が高いので、購入の参考になれば幸いです。

文/高根英幸
写真/高根英幸、ベストカー編集部

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■高根家長男が公道デビュー!! 中古で2台目を増車

 久しぶりにクルマを買いました。買い替えではなく増車です。我が家の長男が今年、運転免許を取得して就職も果たし、晴れてドライバーとして公道デビューとなりました。

 しかし、私の愛車フィアット・ムルティプラは「デカいし、ドライビングポジションが合わなくて足が疲れる!」と苦情が出たので、セカンドカーとしてサイズの小さいクルマを購入することに。

 本当はFFホットハッチ系のクルマを買おうと思っていたのですが意外と割高で、長男はいかにもやる気満々のクルマはちょっと敬遠したい意向。クルマに愛着を持ってもらうことも重要なので、最終的には息子の好みで車種を決めることにしました。

 長男はスーパーGT選手権やWEC(世界耐久選手権)のファンなので、GT300クラスで頑張っているBRZがお気に入り。特にボンネットが低い初代BRZが、現行モデルよりも気に入っています(ホットハッチとやる気モードの高さは変わらない気も……)。

 それでクルマをスバルBRZに絞り込んで、中古車店を何店か回りました。それで分かったことは、安い個体はやっぱりボロい、ということ(当たり前?)。それでも走行距離が7万km以下の車両は150万円くらいはするので、最近の中古車の高騰ぶりと86/BRZの人気ぶりも、なかなかのものがあります。

 そこで予算を200万円に引き上げて、BRZでも年式の新しい後期モデル(2016年以降)にシフトして探してみることにしました。すると程なく走行距離2.7万kmで外観はノーマルというコンディションの良さそうな個体に出会えたのです。

某中古車販売店で出会った2016年式スバルBRZ。走行2.7万kmで190万円ほど(プライスタグは値下げ前の金額)と、なかなかお値打ちに見えました。純正のスチールホイールにスタッドレスタイヤという仕様ですが……

 Rカスタマイズパッケージというアルミホイールさえ履いていない、「素うどん」のようなクルマですが、オートエアコンやメーターパネル内の液晶ディスプレイなどがない分、故障の心配が少なく維持しやすい仕様ということもできます。

 何より86/BRZはアフターパーツが豊富で価格も安く、フリマアプリなどで個人から購入すれば、様々なパーツが激安で手に入る機会もあります。さらに現行のGR86/BRZの純正部品をグレードアップパーツとして流用できるなど、DIYでクルマいじりを楽しむ筆者にとってはメリットがたくさんある車種です。

■中古車情報サイトでの総額表示との差に驚き!

 しかし見積もりをとってビックリ! 車両価格は190万円くらいで、諸費用も含んで200万円ちょっとという中古車情報サイトに掲載されている内容を鵜呑みにしていた訳ではないのですが、提示された金額は280万円ほど。

 そこには3年間の保証制度とガラスコーティング、パンク保証(パンクした場合、4輪とも新品に交換する保証)が含まれていて、この3つで60万円前後にもなります。

 クルマのメカに疎いドライバーなら、3年間クルマにトラブルがあっても無償で直してくれるのは安心できる内容でしょうが、私はオイル交換はもちろん、足回りや駆動系のメンテナンスも自分でやるDIY派。

 ガレージ保管なので20万円もするガラスコーティングを依頼するメリットはそれほどありません。むしろ自分で磨いてコーティングやワックスの違いを試してみたいほうです。

 どうやらこの販売店は、車両価格と総額表示を低めに設定して、それで来店したお客に、保証とガラスコーティングをセットにして利益を上げるビジネスモデルのようです。

 それはそれで悪いことではありませんし、ガラスコーティングは飛び切りの腕前をもつプロに外注しているのですから、金額には根拠があります。

 しかし200万円のクルマに20万円のガラスコーティングはちょっとオーバークオリティです。粘り強く交渉した結果、保証は1ヶ月(しかもエンジンのみ!)、エンジンオイルとバッテリーのみ新品に交換してもらうプランを追加するだけで売買契約をすることができました。

 それから金融機関に正式に融資を申し込み、車庫証明を取得して契約から約1ヶ月……いよいよ納車の日がやってきました。ボディのキズや仕様の確認をして、車両を受け取ります。個体はスチールホイールにスタッドレスタイヤを履いた仕様なので、まずは自宅まで運んでタイヤホイールを交換です。

自宅ガレージに到着したBRZ。この時にはMTの感触が渋い程度しか異常は見当たらなかったのだが、リアタイヤを交換すると……驚愕の事実が!

 この日のために長男が用意していたのは、STIの17インチアルミホイールとタイヤのセット。アジアンタイヤの中古ですが残り溝は十分にあり、スタッドレスよりはまともな動き&グリップ性能を発揮してくれそうです。

 早速ドライブといきたいところですが、一つ懸念事項がありました。それはシフトフィールが渋い、ということ。納車前から懸念していたことですが、MTのギアオイル交換を怠っていた場合にありがちな渋さと硬さを伝えてくるのです。

 そこで自宅ガレージでストックしているギアオイルに、まずは交換してみました。するとどうでしょう、あの硬くて渋かったシフトフィールが軽やかになり、それでいてカチッとした節度感はそのままに絶妙なシフトフィールに変貌したのです。

 整備記録簿には記載がないことから、ひょっとすると新車時から無交換、もしくは初回点検時に交換して以来のギアオイル交換であることは明白です。MTのドレンプラグのマグネットには結構な鉄粉が付着していました。

 デフオイルはともかく、MTのギアオイルは1万km程度で交換しないと粘度低下と鉄粉による二次摩擦を起こしてしまいます。

 実際、MTから抜いたオイルは見たことないほどシャバシャバに粘度低下をおこしており、かなり汚れていました。ちなみにFFのムルティプラでも1万kmでシフトフィールが渋くなるためギアオイルを交換していますが、ここまでの粘度低下はありません。

■リアのディスクブレーキに異常が!

 そしてタイヤホイールを交換する時、驚愕の事実に気が付かされました。リアのディスクブレーキローターがなぜか真っ茶色に錆びているのです。自宅まで走ってきたのに何故? と思いましたが、良く見て状況が分かりました。

 どうやらこの個体は、走行距離は2.7万kmで間違いないのでしょうが、前オーナーがオークションに出品する前に、リアのディスクローターを多走行の車両とすり換えられていたようです。

 そうでなければ、負担の大きいフロントブレーキのローターに比べて、リアのローターが摩耗限界を超えるほど消耗している理由が見つかりません。

スチールホイールを外してみたところ。走行してきたのにディスクローターは茶色く錆びている。これはブレーキパッドがホンの一部しか接触していないから。つまりパッドとローターが馴染んでいない。外側だけで2mm以上摩耗しており、摩耗限界をはるかに超えたローターにすり替えられていた!

 スチールホイールによってリアのディスクローターが外観からは確認できない状態だったので、業者のオークション会場でのチェックをすり抜けて売却され、中古車販売店にそのまま並べられ、納車されてしまった、という訳です。

 しかし解せないのは、納車前にリアのブレーキパッドの残厚をミリ単位で点検してくれた(法定点検は無料サービス)にも関わらず、摩耗限界をはるかに超えたディスクローターに関しては何の言及もなかったことです。何のための法定点検か、目的を失っている印象です。

 しょせんは保証プランやメンテナンスパックに入るのが前提の点検整備であり、オプションを選ばない客にはおざなりの点検しかしない、ということでしょう。うーん、ちょっと残念な気がします。リピーターを作っていく姿勢のほうが得策だと思うんですが……。

■これから軽量化と走りの洗練を目指す!

 後日、ボディを磨いていてルーフパネルに凹みがあるのを発見しましたが、もう後の祭りです。納車時には販売店が用意したチェックシートでキズや凹みの確認をして受け取りましたが、ルーフに関しては何の説明もありませんでした。

 親切な印象である一方、一緒に確認すると細かいチェックを自分で行なう余裕はむしろなくなると知りました。

 これからウチのBRZは、過激なモディファイは避けつつも、走りを楽しむためのチューニング(パワーアップではなく調律という意味で)を施していく計画です。

 いたずらにパワーアップやボディ剛性を高めるのではなく、街や都市高速、峠道を走って楽しいクルマへと仕上げていくことを楽しんでいきたいと思っています。

 その方向性で重要なのは軽量化と足回りのチューニング。そして操作系にも自分たちの好みを盛り込んでいきたいと思っています。すでにホイール4本で12kgの軽量化を実現しているので、足回りをモディファイしつつトータルで100kgくらい軽量化できないか、と目論んでいるところです。

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