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Image:Yev_1234/Shutterstock.com

米ニューヨーク州のキャシー・ホチョル知事(民主党)は、州内での仮想通貨マイニングを規制する法案に署名した。米国においてマイニングを取り締まる初の州となり、より規制が緩い、あるいは優遇する他の州に関連企業が流出する可能性もありそうだ。

本法案は環境に与える影響に焦点を当てており、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)を採用するマイニングを目的に化石燃料ベースの発電所を使うことを2年間禁止するものだ。それと並行して、同州の環境保全局はマイニングが政府の気候変動緩和の取り組みに悪影響を及ぼすか否か、また、どんな悪影響を及ぼすかを調査する義務を負うことになる。

ここでいうPoWとは、コンピューター演算によって仮想通貨の安全性を確保するアルゴリズムのこと。膨大な計算量のため電力消費が大きく、地球環境に悪影響を与えるとの懸念が高まっている。

この法案は4月26日に州議会で可決されており、あとは知事の署名を待つばかりだった。米政治専門誌The Hillによると、10月の選挙討論会でホチョル知事は本法案に署名することを約束しなかったという。一方、共和党の州知事候補であるリー・ゼルディン氏は(もし自分が署名できる立場であれば)「署名しない」と述べており、ホチョル氏にとっても悩ましい決断だったようだ。

ここ数年、政治家や環境保護団体は仮想通貨マイニング、特にPoWによる採掘への批判を強めていた。そのためニューヨークの一部マイニング企業は、天然ガスを使う発電所を建設する必要に迫られたほどだ。

その一方で仮想通貨業界にも、環境への影響を最小限に抑えようとする動きが生じている。たとえばイーサリアムは今年9月、PoWからプルーフ・オブ・ステーク(PoS)への「統合」を6年越しで完了させた。これにより、ブロックチェーンのエネルギー消費を99.9%削減するという。

この動きに他の州も続くかどうか、今のところ定かではない。たとえば民主党の上院議員はテキサス州にマイニングのエネルギー消費に対策を講じるよう圧力をかけたが、記事執筆時点では表立った対応はない。またブロックチェーン同業組合のChamber of Digital Commerceは、ニューヨーク州の法律を「危険な前例」と主張し、PoWは経済成長の一端を担っていると述べている。

最近、仮想通貨ブームは下火となっており、GPU需要で潤っていたNVIDIAも在庫がはけないと明かしていたほどだ。しかし、再びブームが再燃するかもしれず、根本的な環境対策が必要なのかもしれない。