中国・鄭州市にある世界最大のiPhone組立工場で、数百人の従業員が抗議デモを起こしたと報じられている。警棒を持った機動隊や防護服を着た警官らしき集団と衝突する映像が、SNSなどで広まっている状況だ。
米The Wall Street Journal(以下、「WSJ」)によると、火曜日(22日)の夜、従業員の宿泊施設近くで抗議デモが始まったとのこと。工場を運営するFoxconnは、工場内での新型コロナ感染拡大を防ぐために20万人以上もの従業員を集団隔離し、現場での生活や労働(限られた食料や物資のもとで)を余儀なくしていたという。先日も逃げ出す従業員を引き留めるため、Foxconnは特別ボーナスを出すと報じられたばかりだ。
その給与やボーナスの支払いが遅れていることが、今回の抗議活動のきっかけとなったようだ。現地で撮影されたビデオ映像では、数百人の労働者が地元の警官らしき人々に囲まれながら「給料をよこせ」と抗議の声をあげている様子が映し出されている。
さらにAgence France-Presseによると、労働者は「我々の権利を守れ!」と叫んでいたという。またReutersは、現場で催涙ガスが使われていることや、一部の従業員が陽性反応が出た同僚と共同生活を強いられたと不満を漏らす映像を確認したと伝えている。
ほか、給与の支払い遅れに加え、食料不足にも抗議しているとのこと。BBCはライブ動画配信で「彼らは私たちを隔離しているが、食料は提供していない」「もし彼ら(Foxconn)が私たちの要求に応じないなら、我々は戦い続けるだろう」との証言があったと報じている。
これらの動画の大半はすでに削除されているが、WSJはそこに映っていた出来事が事実だと、現場の従業員から裏付けを取ったとしている。中国SNSのWeiboでも23日夜まで「Foxconn Riots」(Foxconn暴動)というハッシュタグが広まっていたが、中国当局に検閲されたようだ。
中国における労働者の権利擁護団体China Labor Watchのスポークスマンは、この混乱について「アップルが需要(iPhoneの生産)を満たしたい結果だ」とコメント。アップルは同工場にスタッフを常駐させており、サプライヤーのせいにすることは許されないと述べている。
アップルも社員を常駐させていると認め、状況を確認しつつ「従業員の懸念に対応するよう、Foxconnと密接に協力している」との声明を出している。先日、同社はiPhone 14 Proモデルの納期が遅延すると発表していたが、それよりも何よりも、工場の従業員らの健康や安全の優先を望みたいところだ。
- Source:The Wall Street Journal
- Source:The Verge