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翌二十三日の早朝、仲麻呂は清河とともに一号船に乗り込んだ。出港は辰の刻(午前八時)と決めていたが、艫綱(ともづな)を解く直前になって、〓挑〓の使者が「出港はしばらく待っていただきたい」と告げた。「何ゆえでしょうか。すでに我々は、すべての手続きを終えていますが」清河が気色(けしき)…