2008年に発売された人気オープンワールドRPG『Fallout 3』における首都ワシントンD.C.。大統領官邸のホワイトハウスは核爆弾が直撃したらしく、柱以外は何も残っていない。
いかにも世紀末ゲームにふさわしい光景で不自然とは思われなかったが、実は開発したBethesda Softworks(以下「ベセスダ」)のチームが、建物全体を作る時間がなかったため爆破したことが明らかとなった。
先日『Fallout』シリーズが誕生25周年を迎えたことを祝い、ベセスダの公式YouTubeチャンネルでアニバーサリー映像がいくつか公開されている。そのうちの1本で『Fallout 3』の開発者達が当時の苦境を語っている。
リードアーティストのIstvan Pely氏は、「(ワシントン)D.C.の開発中に、ホワイトハウスをまだ作っていないことに気づいたんだ。また、ホワイトハウスを作るためのスケジュールの余裕もなくなっていた」と話している。
その頃には、すでに他のランドマーク(目印となる建造物)や街中に点在する多くの廃墟を制作ずみだったが、その中でもホワイトハウスは特に重要なものだったという。でも時間がない、どうすればいいんだ?
そこで開発チームがたどり着いたアイデアが「クレーターを作れ」だった。「ホワイトハウスは真っ先に破壊されただろうから、消し去ってしまおう。ここには存在しないんだ。インディ・ジョーンズの『鞭の代わりに銃を撃つ』ような瞬間だったが、上手くいったし、みんなに喜んでもらえたと思う」と述べられている。
ちなみに「鞭の代わりに銃で」とは、鞭を愛用する主人公が、剣を振り回す悪者をなぜか銃で仕留めたシーンのことだ。もともとは鞭と剣との大立ち回りが予定されていたが、主演のハリソン・フォードらが体調不良でアクションに耐えられなかったため、急きょ挿し替えられたところ、大好評となったことで有名だ。
たしかにPely氏が言うように、『Fallout 3』で再現されたD.C.にはリンカーン記念館やワシントン記念塔などの名所や跡地があり、それと跡形もなく破壊されたホワイトハウスとの対比が、核戦争の悲惨さを強調する効果を生んでいた。
他にも同じ動画のなかで、エグゼクティブ・プロデューサーのTodd Howard氏は、スタッフが参考写真を撮るため実際にホワイトハウスを訪れ、時には警備員に止められた経験を振り返っている。そのとき「この建物が核兵器で吹き飛ぶところを想像しているんだ」と答えると、「ここから出て行け」と言われたそうだ。
PC用『Fallout 3: Game of the Year Edition』は、記事執筆現在、Epic Gamesストアで無料配布中だ(2022年10月28日0:00まで)。すでに14年前のゲームになるが、興味のある方は際限のない自由とやり込みの奥深さを体験してはいかがだろうか。
- Source:Bethesda Softworks(YouTube)
- Source:Gamesradar