もっと詳しく

 毎年、全日本ロードレース選手権をまわり、シャッターを切り続けるカメラマン「Nob.I」がお届けする『カメラマンから見た全日本ロード』。2022年最終回は11月5~6日に開催された第8戦鈴鹿MFJ-GPです。

* * * * * * *

ロードレースファンの皆様、いかがお過ごしでしょうか?
MotoGP日本GPが終わってから早くも2カ月が経ち、サーキットにも冬の足音が近づいています。

全日本ロードの2022年シーズンは、鈴鹿で最終戦を迎えました。
昨シーズンの最終戦は、新型コロナウイルスの影響で9月のオートポリスとなりましたが、今シーズンは例年通り、11月上旬に行われました。
寒いなぁとぼやきながら鈴鹿入りする、恒例のMFJ-GPが戻ってきて嬉しい限りです。
ウイーク中はずっと晴れ、ドライコンディションのまま全日本ロードはフィナーレを迎えました。

好天に恵まれて選手はもちろん、フィールドワークのカメラマンも嬉しい
好天に恵まれて選手はもちろん、フィールドワークのカメラマンも嬉しい

JSB1000は先の岡山ラウンドで中須賀克行選手(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)のチャンピオンが決定しましたが、他の3クラスは最終戦までもつれています。

それでは、今シーズン最後となる『カメラマンから見た全日本ロード』をお楽しみください。
レース詳細は、「MotoGP最終戦と被って猫の手でも借りたいッ!」と嘆いていた編集部へお任せしていましたので、毎度のこと私の視点からお送りします。

まず、嬉しいことに全日本ロードへピットウォークが戻ってきました。
制限があるものの、選手がサインをしたり、ノベルティを配布できたりするようになりました。

サインをする渡辺一樹選手(YOSHIMURA SUZUKI RIDEWIN)
サインをする渡辺一樹選手(YOSHIMURA SUZUKI RIDEWIN)

ピットウォークが行われているのを見ると、やっぱり選手とファンとの交流は大事だなぁと思い、また、その賑わいを嬉しく思います。
他のスポーツ競技と比較しても、ピットウォークは「選手と最も近いファンサービス」だと思っています。

さてさて、最終戦は何といっても、年間チャンピオンを撮るのが最大のミッションです。
そのために、あれこれ苦心しながら撮影しました。
今回は2022年シーズンの4クラスチャンピオンを紹介することとしましょう。

まずはJ-GP3チャンピオン、尾野弘樹選手(P.MU 7C GALESPEED)。

グリッド上の尾野弘樹選手
グリッド上の尾野弘樹選手

レースは赤旗中断となり、5ラップで再開となった第2レースでも危なげなく表彰台に立ち、J-GP3連覇。

2位ではありましたが、チャンピオン記者会見で「今年のベストレース」と語っていました。
彼の実力を考えた場合、普段通りに走ればチャンピオン獲得は難しくないはずですが、Team Plusone勢と激しいバトルを繰り広げ、魅せてくれました。

尾野弘樹選手とP.MU 7C GALESPEED
尾野弘樹選手とP.MU 7C GALESPEED

レースの勝者は、成長著しい上原大輝選手(Team Plusone)。
連載では文字数の都合で取り上げられる機会が少なかったですが、今シーズンは終始、尾野選手、木内尚汰選手(Team Plusone)の3選手で、バトルを繰り広げていました。

J-GP3トップ争い。右から上原大輝選手、尾野弘樹選手、木内尚汰選手
J-GP3トップ争い。右から上原大輝選手、尾野弘樹選手、木内尚汰選手

若人の来シーズンの飛躍に期待しましょう。

ST600のチャンピオンは荒川晃大選手(MOTOBUM HONDA)。
2022年のSUGOラウンドで紹介したのを覚えていますでしょうか?

荒川晃大選手。はにかむ甘いマスクが印象的
荒川晃大選手。はにかむ甘いマスクが印象的
荒川晃大選手の走り
荒川晃大選手の走り
荒川晃大選手とMOTOBUM HONDA
荒川晃大選手とMOTOBUM HONDA

一発の速さではピカイチの荒川選手ですが、今シーズンの勝利はSUGOラウンドのレース2のみ。
今シーズンのST600は毎回勝者が異なり、このクラスの激しさを物語っています。
なお、今回の勝者は井手翔太選手(AKENO SPEED・YAMAHA)。

ST600トップ争い
ST600トップ争い

ST600は個人的に注目している、楽しみなクラスです。
来シーズンも個性豊かな選手たちが楽しませてくれるでしょう。

ST1000のチャンピオンは、渡辺一馬選手(Astemo Honda Dream SI Racing)でクラス2連覇。
MFJ-GPで最も熱いレースを繰り広げました。

表彰台で喜ぶ渡辺一馬選手
表彰台で喜ぶ渡辺一馬選手

岡山ラウンド終了時後、國峰啄磨選手(TOHO Racing)と同ポイントで最終戦を迎え、前でチェッカーを受けた方が年間チャンピオンという単純明快な状況となりました。
そこへ、2020年チャンピオンの高橋裕紀選手(JAPAN POST HondaDream TP)がラインキング3位につけて漁夫の利を狙う、三つ巴の展開に。

レース自体もこの3選手による手に汗握るバトルとなり、撮っていて「これは、どうなるんだ……」とカメラを持つ手に力が入りっぱなしでした。

一時、國峰選手がトップに浮上した時は、これは逆転チャンピオンか? と思いましたが……

トップを走る國峰啄磨選手
トップを走る國峰啄磨選手

渡辺一馬選手が成長著しい國峰選手を抑えて優勝し、ST1000連覇。

渡辺一馬選手の走り
渡辺一馬選手の走り
渡辺一馬選手とAstemo Honda Dream SI Racing
渡辺一馬選手とAstemo Honda Dream SI Racing

JSB1000のチャンピオンは先の岡山ラウンドで早々にタイトルを決めた中須賀克行選手。
連勝記録をどこまで伸ばせるかに注目が集まります。

今回、編集部がインタビューを行い、あまり見られない『レース以外の顔』を覗かせてくれました。
記者会見では淡々と記者の質問に答えるため、個人的には「感情の起伏が少ない、冷静沈着な選手」だと思っていましたが、いざインタビューが始まると「ほかのどの選手よりも、むしろ、人間くさいぞ」と感じたのが意外でした。

ツナギを脱ぐと、筋肉ムキムキ
ツナギを脱ぐと、筋肉ムキムキ

今回は3レースありましたが、中須賀選手は清成龍一選手(TOHO Racing)や亀井雄大選手(Honda Suzuka Racing Team)、渡辺一樹選手(YOSHIMURA SUZUKI RIDEWIN)らとバトルを繰り広げつつも、3連勝し、連勝記録を23に伸ばしました。
JSB1000もST1000に劣らず魅せてくれました。

JSB1000レース3。一時、亀井雄大選手がトップに躍り出た
JSB1000レース3。一時、亀井雄大選手がトップに躍り出た
中須賀克行選手とYAMAHA FACTORY RACING TEAM
中須賀克行選手とYAMAHA FACTORY RACING TEAM

さて、さりげなく掲載している年間チャンピオンの集合写真ですが、意外に大変です。
『チャンピオン獲得』の取材が長引くこともあり、また、チームから集合写真撮影のアナウンスがあるわけではないため、他のメディアたちの動きを観察して「いつぞや撮影があるらしいぞ」というのを何となく掴んでピットに向かいます。
今年は運良く全てのクラスを撮影できましたが、撮り逃してしまうこともあります。
心の中でガッツポーズし、今シーズンを撮り切りました。

いかがでしたでしょうか?
全日本ロードは例年通りのスケジュールでフィナーレを迎えました。
完全にコロナ前と完全に同じ状況には戻っていませんが、今年は鈴鹿8耐やMotoGP日本GPも開催され、コロナ前に戻りつつあるように感じています。

2022年シーズンの当ブログは、レースと同時進行で連載することになり、例年以上に忙しいシーズンとなりました。
レースをどのように撮ろうかと頭を悩ませ、帰宅してからは慣れないライターの真似事をしつつ、「どう書けばロードレースの魅力が伝わるんだぁぁぁ?」と半ば発狂しながら執筆していましたが、読者の皆様は楽しんでいただけましたでしょうか?

シーズンオフは、過去のブログを振り返っていただけると幸いです。
当ブログが好評であれば、来年もまたお会いできるでしょう!
また、当ブログの感想はもちろんのこと、来シーズンは「コレが知りたい」というご意見もお待ちしております。
編集部へどしどしご連絡ください。

中須賀克行選手のウイニングラン
中須賀克行選手のウイニングラン

またお会いできる日を楽しみにしております!