11月25日(金)、フィギュアスケートのグランプリシリーズ第6戦フィンランド大会が開幕する。
シリーズ最終戦となる同大会は、12月9日(金)から始まるグランプリファイナルの出場を懸けた最後の戦いでもある。
これまで男子シングル4名、女子シングル3名、ペア5組、アイスダンス4組がファイナル進出を決めており、日本勢は宇野昌磨、三浦佳生、山本草太、坂本花織、三浦璃来&木原龍一組が出場予定。フィンランド大会の結果で残りの出場者が決定する。
注目は、女子シングルの三原舞依。
先日開催されたイギリス大会で自身初のグランプリシリーズ優勝を飾った三原は、今大会で4位以上に入ればファイナル進出が確実となる。
◆涙の初優勝の裏にあった思い
イギリス大会フリーの演技後、三原はキス&クライで得点を確認すると、涙を流して優勝を喜んだ。
三原:「本当に今まで辛かったこととかいろいろなことがあったので、こうしてスケートできることがありがたいという気持ちのほうが大きかった。本当に嬉しくて、今日の金メダルは私の人生の中で一番大きな結果だと思います」
誰もが認める実力を持ちながら、平昌、北京と2度のオリンピック代表落選を経験。体調不良で一時は競技から離れたこともあった。
それでも決して諦めることなく、2022年の四大陸選手権では5年ぶり2度目の優勝。今シーズンは5月に海外での武者修行も行い、進化を続けてきた。
三原:「カナダに留学をお願いして、20日間行ったんですけど、いろんなことを学ぶことができました。体中バキバキになるくらい鍛えることができたかなとすごく思います」
指導を受けたのは、羽生結弦も指導したブライアン・オーサーコーチ。普段とは違う特別な練習を経験できたという。
三原:「トリプルアクセルと4回転サルコウを(補助器具の)ハーネスでやったんですけど、ハーネスなしで飛べるように練習を積みたいと思っているところです。あとはジャンプの浮き方や締め方を掴むだけだと思うので、教えていただいたことを毎日練習していきたいと思っています」
ショートに選んだ曲は「戦場のメリークリスマス」。世界的な振付師、デビッド・ウィルソンと作り上げた。
三原:「デビッドさんがすごく思い入れの強い音楽だそうで、自分のお母さまを思い浮かべる曲なんだとすごく感情を込めて振り付けをしてくれました」
フリーは、情熱的なフラメンコをイメージした「恋は魔術師」。
三原:「最初から結構インパクトの強い音楽なので、いろんな明暗をつけながら最後の最後まで盛り上げていけるようにしたいと思います」
印象の異なる2つのプログラムを持ち前の表現力で演じ分ける。
◆「スケートファンみんなが“報われて”と」
そんな今シーズンの三原に対し、荒川静香は「体の状態も非常に安定しているように見えるし、新しいプログラムにも意欲的に取り組んでいる様子なので非常に楽しみ」と期待を寄せる。
織田信成も「ジャンプさえ決まればファイナル進出は余裕でいけると思う」と太鼓判を押す。
さらに、「舞依ちゃんについては、スケートファンみんなが“報われて”と思っている。昨シーズンオリンピックに行けなかった悔しさを胸に、今年こそ舞依ちゃんの年にしてほしい」とエールを送った。
逆境乗り越え、進化を続ける三原が悲願のグランプリファイナル進出を決めるのか――。
三原:「悔しい思いがたくさんあった。それはスケートでしか返すことはできないし、たくさんの方々からの応援やサポートへの感謝はまだまだ足りません。
またこうして毎日元気に生きることができて、スケートをさせてもらえている以上は、一日一日を大切にしてスケートをもう少しがんばれたらなと思っています」