スマホもない昭和の時代、男の子はみんなクルマの絵を描いていた。当時はクルマが憧れで、光り輝いていたからだ。ところがいまやクルマは当たり前の存在。Zやスープラの絵を描いてくれる子供など絶滅寸前だ。昭和のオッサンとしては寂しくてしょうがない。
しかしがっかりばかりもしていられない。なんとかクルマの絵を復活させる方法はないものだろうか。いろいろ探してみたら、いま流行の画像生成アプリにたどり着いた。絵の内容をテキストで入力すれば、AI(人工知能)がそれを形にしてくれるというしろものだ。いまや人工知能の筆力は人間をも上回るといわれているから、こいつは楽しみではないか!
すでにいろいろなアプリがリリースされているが、今回はかのイーロン・マスク氏も出資するという「OpenAI」が発表した「DALL・E(ダリ)」というアプリを使ってみた。はたしてサルバドール・ダリ並みのクルマの絵を描いてくれるのか。結果はいかに?
文/ベストカーWeb編集部、写真/DALL・E(OpenAI)
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まずは発売間近といわれる新型プリウスを依頼
「DALL・E」の使い方だが、とても簡単で、スマホかPCがあれば誰でも利用できる。すでに高性能版の「DALL・E 2」もリリースされてはいるのだが、今回は筆者の知能程度に合わせて普及版の「DALL・E」を使うことにした。テキストは英語で入力したほうが正確なので、Google翻訳を使用している。
さて、なにを描いてもらうか。クルマ好きとしてはまもなく登場するという新型車が気になる。そこで一発目は、今冬に登場するという「次期型プリウス」を題材にしてもらった。ものすごい燃費をたたき出してくるという新しいプリウスははたしてどんなクルマになるのだろうか。「DALL・E」画伯の描いた新型プリウスが、これだ! どーん!
次期型プリウス!
あれ? ベストカーのスクープイラストとだいぶ違うぞ。なんか去年まで売ってたプリウスαとかカローラ・オーリスにそっくりだ。ここまでキープコンセプトでトヨタのゴーサイン出るかなあ。しかもクルマの左端が切れてるし。
それとさ、窓ガラスとかボンネットがいちいち汚いのはなんで? 中古車感を出したかったのかな新型なのに。ヘッドライトの縁から涙のようなものが流れ出ているのも謎。プジョーの牙みたいなデザインをまねしたんだろうか。
まあ初回作だから大目にみよう。次なんだが、「DALL・E」画伯はもっと複雑な構造のテキストも理解できるそうだ。そこで次期型プリウスが渋滞にはまった絵を描いてもらうことにした。はたしてどうなったか?
高速道路で渋滞にハマる次期型プリウス
お。リアから描いたのね。前から見た上の絵だと結構車高が高そうだったけど、後ろからみると低いんだな。次期型プリウスはクーペっぽくなるっていう噂だもんな。でもさ、テールレンズのデザインとかちょっと平凡過ぎない? ちょっと新興国っぽいテイストもあるよ。
それとさ。プリウスこれ合流しようとしてんの? 前のほう道がなくなってるよね。でもその先でもまた合流しようとしてるクルマがいるじゃん。こんな合流ばっかしてたら渋滞するはずだよ!
まあサイバー空間での妄想だろうからこの絵も許すよ。続いて、「DALL・E」画伯に、現実には存在しないような注文をしてみた。それが次の絵だ。どーん!
中華料理店でマーボー豆腐を食べている次期型プリウス
別々じゃん! ぜんぜん食べてないじゃん!! フロントグリルあたりでガツガツと食べてる絵を想像したのに。でもクルマ自体は今まで一番いいんじゃないか。ボディ側面に謎のキャラクターラインが走ってるのが気に入った。あんましカッコよくないけど。あとこれだとプリウスが5ドアハッチバックになっちゃうな。
もう1点。マーボー豆腐が独創的すぎる。豆腐だけ四角いゴハンの上に載せたんだな。でもこれじゃマーボー豆腐じゃなくてマーボー丼じゃん。お皿の周りにフランス料理みたくソースが飛んでるのも中華っぽくない。あ、クルマの屋根の上になんか飛んでるの、アンテナかと思ったけどあれも豆腐!?
ひょっとしたら「DALL・E」画伯にとってプリウスは苦手な題材だったのかもしれない。そこで次はみんな大好きジムニーに換えてお願いしてみよう。はたしてどうなっただろうか? お題はこれ!
東京タワーに登るスズキ ジムニー
また登ってないよ! 迫力の出るアオリカットで描いたところをホメてほしいんだろうけど、登ってなきゃだめだよ。
ジムニーもなんか謎のオフロード車になっちゃってるな。ちょっとジープ入ってる気もするし。フロントグリル、どっかにぶつけたな。グサグサだもんな。ボンネットになんか刺さってるような気もするけど、これはなんかの特殊装備なのだろうか。ドアミラーがリアドアからも生えてるところが斬新ではある。
さー、もうどんどんいこう。「DALL・E」画伯は自力で独創的な絵を描くだけでなく、人のマネもうまいらしいんだ。そこで「スタジオジブリ風に」ってお願いしてみた。はたしてどうなっただろうか。どーん!
東京タワーに登るスズキ ジムニーをスタジオジブリ風に
おおお! アニメっぽくなった! まあるい地球にジムニーを載せて、ジムニーのアクティブ感もよく出てるじゃないか! ジムニーは現行型じゃなくて2代目のSJとかJAだな。
でもジブリ風かといわれるとちょっと違うような。今回もぜんぜん東京タワーに登っていないし。あと上に書いてある「UT01」という文字も意味不明。なにかサイバー空間からのメッセージだろうか。
最後はもっとポップに行ってみよう。ポップアートの巨匠っぽく描いてと「DALL・E」画伯にお願いしたらどんな風になるだろうか?
東京タワーに登るスズキ ジムニーをアンディ・ウォーホール風に
うおおおおおお!!! 「DALL・E」画伯すごいじゃないっすか! 今回の最高傑作! もう東京タワーがどうだとかどうでもいい。こ、これは間違いなくアンディ・ウォーホールの作品っすよ!
もうこのまんまプリントして額に入れて、そこら辺の画廊に飾っといたら、買い手がつくんじゃないだろうか。この企画どうなるかと不安だったが、最後に思わぬ傑作が見れて筆者も胸をなでおろしたぜ。
というわけでいかがだったろうか。一昔前まで、AIに絵を描かせるには「GAN(敵対的生成ネットワーク)」という深層学習の手法が一般的だった。ところがこの「DALL・E」を含む最新の画像生成アプリは「拡散モデル」という新たな手法を使っていて、GANを上回る効果をあげているらしい。
今回の実験が気になった皆さん、ぜひ画像生成アプリをスマホに入れてお試しあれ。それと、お子様にクルマの絵を描くことの楽しさを教えることもお忘れなく!
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投稿 AIが書いた新型プリウス趣深し!! イーロンマスクが出資するお絵描きアプリがスゴい は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。