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岸田首相が25日の衆院予算委員会で、電気自動車(EV)時代を想定した走行距離課税の導入について“得意”の検討をしたことがないと答弁したことがネットの話題になっている。

走行距離課税について答弁する岸田首相(25日、衆院ネット中継)

岸田首相はこの日、立民・泉代表から「昨今話題の走行距離課税はやらないのか、明快にお答えいただきたい」と質問されたのに対し、「議論をしていることは承知しているが、政府として検討したことはない」と他人事のように述べた。

いまのネット世論は増税論議には敏感だ。ヤフーニュースのコメント欄では同日深夜までに2000を超える書き込みが相次ぐなどネット上で話題になった。その多くは走行距離課税への反対派。「岸田首相は、聞いているだけで参考にしないだけ」「今の政府及び与党自民党は何かにつけて、どうすれば国民から税金を取れるのかということばかりを考えている」といったように、全く信用されていない。

ネット民だけではなく、自動車業界も猛反発。日本自動車工業会(会長:豊田章男トヨタ自動車社長)が17日の定例記者会見で、永塚誠一副会長が「国民的議論がないまま拙速に導入することには断固反対する」と述べたことも注目されていた。

政府の税調から走行距離課税の話が出てきたのは、周知の通り、現行の自動車税制がガソリン車を前提とした制度になっており、EVの普及が本格化した場合、今のままでは税収が減ることが容易に予想されるからだ。

いまやネットで「増税王」の異名も定着しそうな岸田首相だが、ただでさえ旧統一教会問題の影響もあて支持率は続落傾向。さらにこの1か月で3人の閣僚が不祥事続発で辞任に追い込まれたばかりだ。走行距離課税は自民党の票田である地方では特に死活問題となることから反発の声が根強い。

「検討しない」=「導入しない」でない

Blue Planet Studio /iStock

EVに将来性はあっても、現在の日本の普及率は先進国でも最低クラスの1%。岸田首相が目先の政権延命を優先し、走行距離課税の話題の火消しに走るのは想定内だ。しかし、「検討しない」=「導入しない」では全くない。

財務省が政府税調に提出した資料をみると、岸田政権が仮に現在の苦境を乗り切って数年続けば復活する可能性は十分にあると言える。

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