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Image:Pierre Dandumont/Shutterstock.com

最新のWindows PCやMacでは、エミュレーターを経由して過去のゲーム専用機のソフトを動かすことは(著作権問題をクリアしていることが前提として)、マシンパワー的にもたやすい。しかし、その逆に「懐かしのWiiをMacに変える」、つまりMac OSを動かすことを成し遂げた猛者が現れた。

マイクロソフトのWindowsと違い、アップルは自社製OSを他社ハードウェアに供給しない方針だ(一時期、ピピンアットマークという例外はあったが)。そのため今回の作業も、ゲーム機のディスクドライブにインストールCDを突っ込んで済むほど簡単な話ではない。

が、Wiiに搭載されたプロセッサ「Broadway」は、IBMにより設計されたPower Architectureベースのチップである。これはPower Macintosh G3等のPowerPCとかなり近いため、技術的なハードルは高いが不可能ではないと判明したという

この「Mac OS on Wii」を実現したPierre Dandumont氏は、Wii上でMac OS 9.2を動かす方法を自らのサイトで詳しく説明している。

その手順は、まずWiiにHomebrew Channel(自作アプリの起動を可能とするソフトウェア。もちろん非公式)を導入。そこから Linuxを手動でインストールした後に、Mac-on-Linux(Linuxが動作しているPowerPCマシン上でMac OSを動かすエミュレータ)を入れる。このうちMOL(略称)のコンパイルに最も手間取ったようだ。

それら準備が整ってから、Mac OS 9.2のディスクイメージ入りSDカードをWiiに挿入。ようやく懐かしのMac OSロゴが表示されるが、最大の問題は「あの起動音」が鳴らないことだろう。

また画面の解像度が不足しているため、一部のフォントは判読さえできない。とはいえ、オンラインに接続できないInternet Explorer 5や、音は鳴るがすぐにクラッシュするiTunes、さらには1分に1フレームしか動かないためプレイできないDoomの起動には成功している。

Dandumont氏はMac OS X、つまりMac OS 9の次期OSも試してみたという。が、Mac OS Xは少なくとも64MBのRAMを必要とするが、Wii上では52MB以上を確保できず(物理的には64MBあるとの説もあるが、LinuxやMOLもRAMを消費しているためだろう)、起動時にクラッシュしてしまうようだ。

この試みが特に生産性を向上させるわけでもなく、ウェブブラウズもゲームも満足に利用できないが、「任天堂のハードとアップルOSの合体」という歴史のifが叶えられたことに感動を覚える人も少なくなさそうだ。