もっと詳しく
Image:Disney

『スター・ウォーズ』(以下「SW」)シリーズでダース・ベイダーの声を45年以上にわたってジェームズ・アール・ジョーンズ氏(91)が、同役を引退したことが明らかとなった。米Vanity Fairは、その“後任”がAIによる合成音声であることも報じている。

最後にジョーンズ氏がベイダー役を演じたのは、2019年公開の「スカイウォーカーの夜明け」での短いセリフだ。その後、同氏はディズニーに対して「このキャラクターを引退することを検討している」と述べたという。そこから最終的に出された答が、ウクライナのスタートアップ・RespeecherのAIによる音声クローニング技術を使うことだった。

Respeecherは録音アーカイブと「独自のAIアルゴリズム」を使って、あたかも当時の俳優が発したような新たなセリフを作り出す。分かりやすくいえば、音声版のディープフェイクである。最近のSW実写ドラマでいくつか仕事をしているが、その1つが「オビ=ワン・ケノービ」だったと明かされたしだいだ。

同社はジョーンズ氏の45年前の声、つまり1977年に初めて映画の観客がダース・ベイダーの声を聞いたときの声を再現したとのことだ。ジョーンズ氏はRespeecherの作品を提示された上で、アーカイブの録音を使って人工的にベイダーに命を吹き込むことに同意したという。

数々のSW作品でサウンドエディターを務めてきたマシュー・ウッド氏(グリーヴァス将軍の声優でもある)は、「オビ=ワン・ケノービ」での暗黒卿の演技をジョーンズ氏が指導し「慈悲深い名付け親」のように振る舞ったと語っている。が、多くのシーンでベイダーの声を演じたのは、結局AIだったようだ。

Vanity Fairでは、ロシアのウクライナ侵攻が始まり空襲警報が鳴り響くなかで、Respeecherの社員がネット接続を確保してベイダーの声を“納品”した当時の様子が生々しく描かれている。

また同社は「マンダロリアン」で若き日のルーク・スカイウォーカーの音声合成も担当していた(賛否両論あった)が、今後もSW関連作品で活躍することになりそうだ。