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viaductk /iStock

台風15号に伴う記録的豪雨に見舞われた静岡市で、発生から3日経過した今も同市清水区を中心に今も断水が続いている。静岡市の公式ツイッターアカウントは25日夜、次のようにツイートし、現状を説明した。

静岡市「施設の破損は甚大」

静岡市長から市民の皆様へ

本日、市内各所の台風15号により被害を受けた箇所を確認させていただきました。

葵区での道路の崩落、駿河区をはじめとする各地での浸水被害、市内約12万戸の大規模停電、そして、中でも清水区の水道の断水が今でも続いていることは非常に心苦しく思っています。

施設の破損は甚大です。現在は人力で復旧作業を進めておりますが、機械での作業が可能となれば、最短で4日間での給水、まずは生活用水の給水が順次可能となる見込みです。

こうした中、ネットでは「なぜ自衛隊を派遣しない」と政府への疑問の声が上がっていた。

「自衛隊を静岡県に出してください。特に断水中の清水区に!!!本当にお願いします!!!」

国葬には1000人もの自衛隊員が派遣され、台風で甚大な被害の静岡には派遣されてない。

静岡県清水市に自衛隊の救助はなぜないのですか。大変な災害時どこからも救助の手が差し伸べられない信じられません。

川勝知事が派遣要請やっと

しかし、実は静岡県の川勝知事が自衛隊の派遣を要請していないようだ。
来年2月に行われる予定の愛知県知事選に立候補予定の山下俊輔氏が26日朝、ツイッターで静岡県災害対策課とのやり取りを明らかにした。

#静岡県 災害対策課との応答

私「自衛隊に災害派遣要請をしましたか」

静岡県「知事が自衛隊に災害派遣要請するかどうかは、これから会議。会議の時間は決まっていない」「風呂はない」「(何戸断水)詳細状況は静岡市に聞いて下さい」

私「自衛隊に災害派遣要請をして下さい」」

元御殿場市長で自民党参院議員若林洋平氏は、「(自衛隊は)当然の事ながらいつでも出動可能です。但し、要請が無ければ動けないのが自衛隊でもあります」とツイートしていた。

板妻駐屯地に確認したところは正式な要請は無いようです。駐屯地には状況確認をしたうえで要請を促すようお願いしました。当然の事ながらいつでも出動可能です。但し、要請が無ければ動けないのが自衛隊でもあります。どうか隊の立場を理解し隊への誹謗中傷や穿った見方はしないようお願い致します。

自衛隊法83条には、災害派遣について次のように記載されている。

都道府県知事その他政令で定める者は、天災地変その他の災害に際して、人命又は財産の保護のため必要があると認める場合には、部隊等の派遣を防衛大臣又はその指定する者に要請することができる。

また、陸上自衛隊のホームページでは、災害発生から自衛隊派遣までの流れを次のように説明している。

自衛隊は、天災地変その他災害に対して人命または財産の保護のため必要があると認められる場合は、都道府県知事等の要請(ただし、特に緊急を要する場合は、要請を待たずに)に基づき、防衛大臣またはその指定する者の命令により派遣され、捜索・救助、水防、医療、防疫、給水、人員や物資の輸送など、様々な災害派遣活動を行います。

川勝知事(米海兵隊撮影、2014年の防災訓練 パブリック・ドメイン

法律上、都道府県知事の要請がなければ自衛隊は動けないということだ。

25日18時時点で、静岡市清水区の断水世帯は、約5万5000戸に上る。清水区の総世帯は約9万6000世帯のため、6割近くの世帯が断水になっているということだ。地元紙・静岡新聞によると、体調を崩し救急搬送される人も増えているという。静岡市消防局によると、25日21時時点での管内の救急搬送は117件に上る。

この状況のなか、川勝知事はいつ自衛隊の派遣要請をするつもりなのか。川勝知事は26日に行われた静岡県議会本会議の冒頭で「派遣要請をした」と発言したが、正式要請はこれからのようだ。

静岡県庁はSAKISIRUの取材に「今後、正式要請する予定です」と回答したが、正式要請がいつになるのかは「回答できない」ということだった。

【追記】派遣要請に動き始めたのでタイトルを一部変更しました。