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 高速を利用するドライバーにとって、もはや切っても切れない存在がETCだろう。装着率がかなり高くなったETCだが、みなさんカードはどうしているだろうか? 車載機に入れっぱなしにしている人もいると思う。

 なぜなら、カードを入れ忘れるとETCゲートでひっかかり、後ろのクルマに申し訳ない状況を作ってしまうからだ。担当も先日カードを入れ忘れて東名高速のETCゲートに引っかかったのだが、最近は係員が直接現れることはない。

 スピーカーから指示が来るだけだ。「もう一度ETCカード入れてください」と言われたので、あらためて差し込むと、そのままゲートが空いたので、あまり後続車を待たせずに通過できた。

 それはさておき、ETCカードを入れっぱなしにすると、思わぬトラブルになることがある。車載器が「カードが残っています」といちいちアナウンスする理由を解説しよう!

文/藤田竜太、写真/AdobeStock(トップ画像=Paylessimages@AdobeStock)

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■あの「警告音」は伊達じゃない!

車載器にETCカードを挿したままエンジンを止めると警告音やアナウンスが鳴るのにはれっきとした理由がある。「いちおうお知らせします」というわけではないのだ(jaimax@AdobeStock)

 ETCの車載器にカードを挿したままエンジンを止めると警告音が鳴るようになっている。

 それでもそのままにしているユーザーは多いだろうし、そうする気持ちも分からなくもないが、ETCカードの常時挿しっぱなしは、下記の二つのリスクからやめた方がいい。

●リスクその1 熱によるICチップ(ETCカード)の破損

 ETCカードに埋め込まれているICチップは、高温に強いものではなく、耐熱温度(動作補償温度)は50℃前後と言われている。

 近年続いている真夏の猛暑日には、車内の平均温度が50℃を超すことも珍しくないので、ICチップの破損や熱によるカードの変形を避けるためにも、高速道路や有料道路を使用しないときは、車載器からカードを抜いて持ち歩くようにしよう。

 ETCカードが破損、変形してしまった場合、再発行まで時間(1~3週間)がかかるので、その間、高速道路でETCが利用できなくなってしまうし、再発行手数料もかかってしまう。

 年会費や発行手数料が無料のETCカードでも、再発行の手数料は有料というケースもあるので要注意だ。

●リスクその2 車上荒らし 盗難の危険

 ETC車載器は車外から見える位置にあることが多く、外からETCカードが車載器に挿入されていることがわかると、そのカードを目当てに、車上荒らしに遭うことがある。

 2018年以降、クレジットカードと一体型のETCカードは廃止になっているので、盗難に遭い、不正利用される可能性は減っているのは確かだが、油断は大敵。

 ETCカードを狙って、ドアや窓をこじ開けられたら、その修理費は馬鹿にならないし、カード以外のものも盗まれることも。何より、愛車が傷つけられたことの精神的なショックは大きいはず。

 カード会社大手、三井住友カードの問い合わせ窓口(FORYOUデスク)に確認したところ車載器からETC専用カードが盗まれ、不正に使用されたケースはほとんどないとのことだったが、車載器に挿しっぱなしにしていたETCカードを盗難され、不正利用が発覚した場合は、盗難補償が適用されない可能性があるらしい。

 ETCカードの車載機抜き忘れや車内置き忘れの場合は、規約の「会員の故意または重大な過失に起因する損害」に当たり、金銭的な被害があったとしてもすべて本人への請求となることを覚えておこう。

■ETCカードの破損&盗難を防ぐためには

ETCカードの破損や盗難を防ぐには、やはりクルマを離れるときには持ち歩くというのが一番(Kanazawa photo base@AdobeStock)

 こうしたETCカードの破損、盗難を防ぐためには、クルマを離れるときにETCカードを抜いて、財布などに入れて持ち歩くのが一番。

 高速道路のSAやPAで休憩するときも、車外からカードが見えるようなクルマなら、ETCカードを抜いて、クルマの外に出るようにしたい。

 グローブボックス内に車載器があったり、マツダのスマートインETC(サンバイザーの後ろに隠れるように車載器を収納)のように、外から車載器やETCカードが見えないタイプなら、短時間の挿しっぱなしは問題ない(施錠は必須)かもしれないが、それでも真夏であれば、カードを抜いてクルマを降りた方が安心だ。

 ちなみにBMWのミラー内蔵型の車載器は、ドライバー側からだと見えにくいが、意外と外から見えるので要注意。

 また今でもクレジットカード一体型のETCカードを使っている人は、早めにETC専用カード(クレジットカード分離型)に切り替えておこう。

 そして、車載器から抜き出したETCカードを、車内のどこかに置いておくのも当然NG。

 どうしてもETCカードを挿しっぱなしにしておきたい人は、防犯用のセキュリティシステムをインストールして自衛するのがベスト。

 盗難防止用のハンドルロックバーやタイヤロックなど、視覚的にも防犯意識をアピールできるアイテムと併用するのも有効だ。

 それでもETCカードを盗まれた場合(紛失した場合も)は、まずカード会社の紛失受付の窓口に連絡をして、ETCカードの利用停止手続きをする。

 そして警察に盗難届、遺失物届を出すこと。紛失したカードの不正利用があった際、カード会社から補償を受けられたとしても、警察に届け出ているのが条件になるので、速やかに警察に届け出ること。

■まとめ

 クルマから離れるときはETCカードを車載器から抜き取り、クレジットカードと同じように厳重に扱うこと。

 短時間でも挿しっぱなしにするのは、カードの有無が車外から見えない車載器のみ。

 クレジットカードと一体式のETCカードは即座に分離型にして、リスクをヘッジし、夏場は熱によるICチップの破損やカードの変形にも気をつけよう。

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投稿 もう聞き飽きた!! エンジン切るたび流れる「ETCカードが残っています」がマジで重要なわけとは?自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。