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 週末の休みを使って山梨県へ向かうのに静岡からいい移動方法がないか調べていたところ、知り合いから「ホテルが運行している無料のバスがあるから一度乗ってみたら?」と教えてもらい乗車してみることにした。やってきたのは真新しいヒョンデ・ユニバースだった。

文/写真:東出真
編集:古川智規(バスマガジン編集部)


遠地を結ぶホテル送迎バスだが…

 8月の終わりに静岡県三島市へ向かった。三島駅北口にある東横INN富士山三島駅に宿泊し翌日を移動開始日とした。今回利用するのは東横INN富士山三島駅と山梨県の 大月市にある東横INN富士山大月駅を結ぶ無料送迎バスである。

 ただし無料といっても誰でも乗車できるというわけではなく、ホテル送迎バスなのでこのバスが結んでいる東横INN富士山三島駅か東横INN富士山大月駅に宿泊すること(前日宿泊でも当日宿泊でもOK)、または東横インの会員登録をしていることが条件である。

以前は三島-大月-甲府で走っていた無料送迎バス

 今回は前日に宿泊し、翌日週末の土曜日に利用した。フロントでチェックアウトする時にバス利用のことを聞くと「ロビーでお待ちください」とのことだった。聞くとバスがホテルに横付けできないので、運転手がこのロビーにやってきて案内してくれるようだ。出発は10時30分なので外を見ながら待つことにした。

 ちょうど三島駅を10時に出発する三島エクスプレスを見ることができた。こちらは東海バスが運行する三島と新宿を結ぶ高速バスである。

 この10時の便は沼津市を舞台にしたアニメ「ラブライブ! サンシャイン!!」のイラストがラッピングされた車両が使用されており、この便を狙って乗車する観光者も多いということなので機会があれば利用したいと思いながら待機した。

登場したのはユニバース!

 しばらくするとホテルの反対側にある駐車スペースにバスが到着し、ロビーで乗客の点呼受付が始まった。この便には私を含めて6名乗車するということだった。土曜日ということもあり、もっと乗車する人は多いのではと思っていたが、乗車する条件が意外と厳しいからなのか、それほどではないように感じた。

ヒュンダイユニバース

 運転手に案内されバスに乗車。使用しているのはヒョンデのユニバースである。高速バスの利用はそれほど頻繁ではないが、ヒョンデ車は初乗車だ。そして運行を行っているのは東横インバス、ホテルの直営ではなく東横イングループのバス会社というのも珍しい形態なのでワクワク感がつのる。

 車内は4列のシートで可動式の肘掛、ドリンクホルダーと必要にして十分な設備となっていて、コンセントは設置されていない。またシートベルトは全席が3点式で、バスではまだ珍しいタイプ、安全に対する高い意識を感じた。

おどろきの長時間停車!

 定刻からやや遅れて東横INN富士山三島駅を出発。一般道から新東名高速道路、東富士五湖道路を経て河口湖へ向かう。晴れているので富士山も綺麗に見ることができた。

 週末ということもあり、交通量は多く河口湖周辺は渋滞が発生していた。バスは途中富士急ハイランドで停車した後、河口湖畔にある河口湖音楽と森の美術館に到着した。予定より少し遅れた12時過ぎに到着、ここで13時まで長い休憩時間となった。

全席3点式シートベルト完備

 周辺には観光施設や飲食店、コンビニがあるので昼食を取るため一旦下車することにした。乗客は全員降りたようだったので、バスもエンジンを切ってドアも施錠したようだ。

 しばらく湖畔を散歩したり昼食を買ったりしたあとにバスに戻ってきた。発車の10分前くらいに再びドアが開放となるので、貴重品以外の荷物をバスの中に預けて手ぶらで散策してもいいかもしれない。

 出発前に運転手が点呼を行うが1名少ない5名で出発となった。実はダイヤが少々複雑になっており、東横INN富士山三島駅と東横INN富士山大月駅を結ぶバスが1日2往復(平日は1往復)、そして東横INN富士山大月駅からこの河口湖音楽と森の美術館を結ぶバスが2往復(平日は1往復)設定されている。

富士山をあらゆる方向から見放題!

 また通常のバスと違い無料であることから、これをうまく組み合わせれば河口湖での滞在時間を増やすことや午後のバスで東横INN富士山三島駅に戻ること、また先に停車した富士急ハイランドで遊んで再び利用することも可能なようにダイヤが組まれている。

 また下車してそのまま違う場所へ向かうことも可能なので、行動の範囲を広げることもできそうだ。それに同じ行路を他のバス会社で利用するとなると、富士急行の特急三島・河口湖ライナーがあるが片道2300円だ。

大月に到着

 河口湖音楽と森の美術館を出ると再び富士急ハイランド方面へ。中央道の河口湖インターから大月に向けて走行していく。途中の都留インターを過ぎたところには現在建設中のリニア新幹線の実験線を見ることができる。

 さすがに走行している瞬間には出会えなかったが、大月からバスで見学センターへ向かうことも可能なのでぜひ立ち寄ってみたい施設である。

大月ではホテルに横付けする

 そうして無事に東横INN富士山大月駅にバスは到着。河口湖周辺の渋滞もあり、予定より15分ほど遅れての到着となった。ホテルはJR大月駅の北側にあり、今年3月にオープンしたばかりの新しいホテルだ。

 バスの車体にも大きく宣伝が書かれていて、今のところ観光客へのPRを含めて……、ということだろうか。ただJR大月駅には北口がないため鉄道利用のために駅へ向かうとなると、徒歩で7分程度かかってしまうので注意が必要だ。

観光に移動に乗りバスに!

 今回は東横インバスの無料送迎バスの乗車記をお届けした。ホテルの壁にも大きく宣伝されているこのバスであるが、どちらかのホテルの利用又は会員登録(東横INNクラブカード入会)が必要ということで、あまり知られていない印象は受けた。(東横INNクラブカード入会はホテルのフロントで受付する必要がある)

別に見学に行ったリニア中央新幹線(予定)

 とはいえ、うまく利用すれば静岡から山梨へ移動費用無料で抜けることが可能であり、さらに途中下車して河口湖で遊んだり再度乗車して移動したりも可能となれば、これは利用する価値は十分だ。

 1つだけ注意を要するのは、ダイヤはあるものの路線バスではなく、あくまでも送迎バス扱いであるため、渋滞や長時間停車がありタイトな旅程での利用は考慮したほうが良いだろう。

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