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このグレードアップはお値段以上!! ヤリスクロスGRスポーツのコスパ

 人気のコンパクトSUVヤリスクロスは、サイズ感やパッケージ、コストパフォーマンスに加えて、その個性的なスタイリングが大きな魅力となっている。

 そんなヤリスクロスに2022年8月8日にさらに走りをグレードアップしたGRスポーツが追加された。トヨタスポーツ「GR」の魅力がつまったこの新グレードには、専用のスタイリングが与えられ、サスなどに性能アップを狙ったパーツが追加されている。

 従来グレードに比べて進化したポイントやそのコストパフォーマンスをを検証した。

文/渡辺陽一郎、写真/ベストカー編集部、TOYOTA

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■人気のトヨタ ヤリスクロスにGRスポーツ登場

2022年8月、ヤリスクロスの一部改良と同時に追加グレードとして登場したトヨタ ヤリスクロスGRスポーツ

 今はSUVが人気のカテゴリーになり、各メーカーとも新型車を活発に投入している。軽自動車は人気が高くても国内専売の低価格車だが、SUVなら海外でも販売できて1台当たりの粗利も大きい。SUVは量産効果が強くメリットの大きなカテゴリーだから、新型車も増えている。

 日本で販売される小型/普通乗用車に占めるSUVの比率は、2010年頃は約10%だった。それが今は約30%だから、コンパクトカーの約35%に次ぐ売れ筋カテゴリーだ。逆にミニバンは比率を下げて約25%に留まる。そしてSUV/ミニバン/コンパクトカーを合計すると、小型/普通乗用車の約90%に達する。

 好調に売られるSUVの中でも、特に登録台数の多い車種がヤリスクロスだ。2022年1~10月における登録台数は、1か月平均にすると約7200台に達した(ヤリスとGRヤリスを除く)。

 ライズの約7500台に比べると若干少ないが、カローラクロスの約5000台は大きく上まわり、SUVの販売ランキングでは2位にランクされる。

 そしてヤリスクロスは2020年8月に発売され、2022年7月の一部改良ではGRスポーツを加えた。「GRスポーツ」とは、トヨタ車をベースに開発されるライト感覚のスポーツモデルだ。SUVではC-HR、ランドクルーザー、ハイラックスなどに用意され、売れ筋車種ではヤリスクロスが挙げられる。

 メーカーの生産/販売効率を考えると、GRスポーツのような仕様は、好調に販売できる車種に設定するのが好ましい。例えば国内販売総数の5%がGRスポーツとなった場合、1か月に100台しか売られない車種なら5台だが、1万台の人気車なら500台に達する。

 またGRスポーツのような仕様を用意するには、ある程度スポーティで趣味性の強い車種であることも大切だ。実用重視では、GRスポーツを設定しても売れ行きを伸ばせない。その意味でヤリスクロスは、販売台数が多く、なおかつ趣味性も伴うから、GRスポーツにはピッタリな車種となった。

■他グレードとGRスポーツの違いは

2022年8月に一部改良を受け登場したトヨタ ヤリスクロス

 ヤリスクロスのGRスポーツは、直列3気筒1.5Lノーマルエンジンと、1.5Lハイブリッドの両方に設定される。

 GRスポーツとベースグレードのZを比べると、まず外観が異なる。GRスポーツには、専用デザインのラジエターグリル、フロント/リヤバンパー、アルミホイールなどが装着される。前後のブレーキキャリパーもレッドに塗装された。

 内装も異なり、前席には専用のスポーティシートやアルミペダルが採用される。シート生地は、エアヌバックと合成皮革だ。内装の塗装も変更した。

 走りに関係した装備では、ボディ底面の中央部と後部に、ボディ剛性を高める補助パーツを装着する。サスペンションのセッティングも異なり、コイルスプリング、ショックアブソーバー、ブッシュは専用タイプだ。車高は10mm低く抑えた。

 タイヤサイズはベース車と同じ18インチ(215/50R18)だが、ブランドは住友ゴムの「ファルケンFK510SUV」で、サスペンションも含めて総合的にバランス良くチューニングされている。電動パワーステアリングの手応えも最適化した。

 このほかGRスポーツのハイブリッドでは、ドライブシャフトの捩り剛性も高めた。ハイブリッドでは、駆動力を素早く増減できるモーターを併用しており、このメリットを生かすために、ドライブシャフトの捩り剛性も強化して反応の遅れが少ない運転感覚を実現させた。

 以上のようにGRスポーツには、さまざまな装備が加わっている。ヤリスクロスZと比べた場合、GRスポーツのノーマルエンジン車には、価格に換算すると約23万円相当の装備が追加された。ハイブリッドはドライブシャフトも強化されるから約24万円に換算される。

■GRスポーツのコストパフォーマンス

GRスポーツでは、他グレードで標準装着される機能が省略される部分もある。それを踏まえた上でコストパフォーマンスを算出してみた

 その一方でGRスポーツでは、Zに標準装着されるオプティロトンメーターと運転席の電動調節機能が省かれ、マルチインフォメーションディスプレイのサイズも7インチから4.2インチに小さくなる。

 ステアリングやシートヒーターもZと違って標準装着されず、セットオプション(3万8500円)に変更された。この省かれた装備の価格換算額は約9万円だ。

 ノーマルエンジン車の場合、この9万円を前述の23万円から差し引くと、GRスポーツに加わる最終的な装備の価格換算額は14万円だ。ハイブリッドは24万円から9万円を差し引くから15万円になる。

 そしてノーマルエンジンを搭載するGRスポーツ(2WD)の価格は236万7000円だから、Z(2WD)の223万2000円に比べて13万5000円高い。最終的な装備の価格換算額になる14万円に比べると若干割安だ。

 ハイブリッドGRスポーツ(2WD)も同様で、価格は275万円だから、ハイブリッドZ(2WD)の260万6000円に比べて14万4000円高い。ドライブシャフトの強化によって、価格差がノーマルエンジンに比べると9000円拡大した。

 ハイブリッドGRスポーツの最終的な装備の価格換算額は15万円だから、14万4000円の上乗せであれば、若干割安になる。

 ちなみにハイラックスの場合、ZとZ・GRスポーツの装備の違いはヤリスクロスと似ているが、価格はZ・GRスポーツが43万円高い。ハイラックスの1か月平均登録台数は約1000台だから、ヤリスクロスの約14%に留まり、価格帯も400万円前後と高い。

 その結果、ハイラックでは、Z・GRスポーツも割高になり、Zとの価格差が43万円に達した。

 つまりヤリスクロスのGRスポーツの価格は、同じトヨタ車と比較しても、割安に抑えられている。趣味性を強めた割に買い得度が強いから、内外装や運転感覚が気に入ったなら、積極的に選ぶと良いだろう。

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