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カワサキからニンジャとZのEV、ホンダ初の個人向けEVが公開!【EICMA注目125cc特集①】

 世界最大級の二輪見本市であるミラノショー(EICMA)が11月8日~13日、イタリアで行われた。

 今年は特に125cc以下のモデルが豊作。カワサキは大手バイクメーカーで初の電動スポーツバイクを発表し、ホンダは一般ユーザー向けで初の電動モデルを公開した。今回はこれら電動バイクを中心に紹介しよう!

文/ベストカー編集部

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オートマ小型限定で乗れるカッコイイEVスポーツ誕生!

 他社が内燃機関のバイクを発表する中、カワサキは大々的に電動バイク(EV)とハイブリッドをメインに打ち出した。

 中でも注目を浴びたのがNinja(ニンジャ)とZのEVだ。ともに同社の柱となっているブランドで、前者はフルカウルスポーツ、後者はネイキッドのスタイルを持つ。スクーターではないモーターサイクルのEVは、大手バイクメーカーでは初となる。

 8月の鈴鹿8耐でデモランを行ったZに加え、ニンジャもEICMAで初めて発表された。ともに試作品だが、完成度は高く、ほぼ市販版と言ってよさそうだ。

EV ninja z
Z EV(左)とニンジャEV。2車は基本設計を共有しており、トレリスフレームは新設計。外装や足まわりは現行のニンジャ250、Z250と同様だ。出力区分は原付2種(51~125cc)相当

 外観は普通のバイクにしか見えないが、通常はエンジンの部分にバッテリー、スイングアーム手前に電動モーターを搭載。スペックなどの詳細は未発表だが、欧州のA1免許(~125cc、15ps以下)に対応する。

 バッテリーは着脱式で2個搭載。単体重量は約12kgとかなり重いが、駐車場に停めた後、室内まで運んでの充電も可能だろう。なお、共通規格バッテリーのシェアリングサービス「Gachaco(ガチャコ)」(後述)に使用されるホンダモバイルパワーパックe:とは規格が異なるようだ。

 2019年のミラノショーで初公開された研究用の電動ニンジャは4速ミッションを備えていたが、今回発表されたEVは、クラッチレバーとシフトペダルがなく、オートマと見られる。欧州では2023年中に発売されるものの、日本導入は不明。日本で発売された際は、オートマ限定小型二輪免許で乗車できるだろう。

 既にZ125プロが生産終了になり、カワサキの国内ラインナップで125cc以下のクラスはゼロ。欧州では125cc単気筒エンジンを搭載するNinja125、Z125がリリースされているが、国内には導入されていない。

 カワサキは125クラスに電動スポーツバイクを投入し、いち早く新時代を切り開くに違いない。

カワサキの世界初ストロングハイブリッドは400cc相当か

 125cc以上となるが、鈴鹿8耐でデモ走行したカワサキのHEV(ハイブリッド)モデルも欧州で初公開。エンジンのみ、モーターのみでも走行できるストロングハイブリッドモデルは、二輪で世界初。欧州で2024年発売予定だ。

 ニンジャとZのEVが近距離移動向けのシティコミューターなのに対し、HEVはより遠距離を想定。排気量は未発表だが、エンジンは250~400ccになるとの情報だ。ハンドルには「e BOOST」ボタンがあり、エンジン走行中にモーターのアシストで燃費を向上したり、加速させることもできる。

 さらにオートマとマニュアルの切り替えボタンがあり、ミッションが搭載される模様。クラッチレバーやペダルは見当たらないため、ボタン変速のセミオートマになるようだ。

 エコだけではなく、操る楽しさまで健在。EVを含め、カワサキらしいエキサイトメントを味わえるはずだ。

ミラノショーで車名「Ninja HEV」が判明。高速道路はエンジン、発進と停止を繰り返す街中はEV、郊外のツーリングはハイブリッドといった使い方が想定されている

ホンダ初の個人向けEV「EM1 e:」はE-ビーノ越えの航続距離!

 一方、ホンダは個人向け電動スクーターの「EM1 e:」を世界初公開。2023年夏に欧州で発売する。

 意外にもホンダが欧州でEVを販売するのは初。日本国内においても、これまで法人や官公庁向けの販売またはリース専用車のみで、一般ユーザー向けのEVは登場していない。

 「EM」は Electric Moped の略で、出力は原付一種(~50cc)相当。後輪にモーター備え、シート下に着脱式バッテリーを1個搭載する。フル充電での航続距離(WMTCモード)は40km以上、最高速度は45km/hを誇る(ちなみに国内の場合、原付一種の最高速度は30km/h上限)。

 バッテリーは国内のバッテリー共通規格であるホンダモバイルパワーパックe:を搭載。エネオスのガソリンスタンドや公共施設などに充電済みのシェアリングバッテリーを設置する新サービス、ガチャコに対応している。ガチャコは10月25日、東京都西新宿の都庁前にバッテリーステーション1号機を設置しており、東京、大阪など大都市圏から順次エリアを拡大していく。

 なおライバルのヤマハE-ビーノは、満充電での航続距離は約32km(30km/h定地テスト値 標準モード)。ただし、E-ビーノは別売のスペアバッテリーをシート下に一つ積むことができる。電費性能はEM1 e:に軍配が上がるが、結果的に長く走れるのはE-ビーノだ。

 とはいえ、E-ビーノのバッテリーは共通規格のモバイルパワーパックe:とは異なる。ガチャコが普及すれば、EM1 e:は電池切れの心配が大幅に減り、飛躍的に使い勝手がアップするだろう。

ホンダEV
ホンダEM1 e:はスマートでクリーンな外観。足元のフラットフロアは前後幅300mmと余裕がある。灯火類は電力消費が少ないフルLEDだ。現地価格は未定

EM1 e:は国内でも来春導入へ、ただしレンタルの可能性も?

 今回のEM1 e:は、中国現地法人の五羊ホンダが2021年から発売している電動スクーター「U-GO」と外観がほぼ共通。しかしU-GOはフロア下に電池を内蔵しており、接続プラグの着脱操作が必要だ。

 EM1 e:の国内導入は未発表ながら、情報筋によると「2023年4月ごろ登場する」らしい。ホンダは全国にホンダゴーバイクレンタルを展開しており、一般販売ではなく、レンタル車として導入される可能性もあるようだ。

 欧州での価格は未発表で、モバイルパワーパックと専用充電器は別売だ。なお、中国で販売されている前述のU-GOはバッテリー込みで7499~7999人民元(14万8000~15万8000円)と激安。国内で販売された際も、これに近い価格だと一気に普及が進むかもしれない。

 3月に国内で開催される東西モーターサイクルショーで詳細が発表されることを期待したい。さらに、ホンダは 2025 年までに世界で10以上のEVを導入する計画だが、その皮切りとなるのがEM1 e:。今後の新型EVにも注目だ。

ガチャコのバッテリーステーション。充電切れバッテリーを充電済みと交換することで、航続距離の少なさをカバーでき、充電の待ち時間もナシ。もちろん「充電させてもらえませんか」と頼む必要もない(笑)

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